Topics 1 中央防災会議

中部圏・近畿圏直下地震対策大綱の決定について

平成21年4月21日の中央防災会議において、「中部圏・近畿圏直下地震対策大綱」が決定されました。

 同大綱は、中部圏・近畿圏の直下地震を対象とした、予防対策から応急対策、復旧・復興対策までを含んだ地震防災対策のマスタープランであり、昨年12月の中央防災会議で報告された「中部圏・近畿圏の内陸地震に関する報告」(東南海、南海地震等に関する専門調査会)に基づいて策定されたものです。
 今後、政府としては、本大綱に基づき、定量的な減災目標と具体的な実現方策等を定める地震防災戦略及び地震発生時に各機関が取るべき行動内容等を定める応急対策活動要領等を策定する予定です。
 大綱の主な内容は、以下のとおりです。

[1]膨大な被害への対応

  1. 予防対策
     膨大な人的・物的被害の軽減を図るため、住宅や公共施設等の建築物の耐震化、出火防止対策等の火災対策、屋外転倒物・落下物の発生防止対策等の屋外における安全確保対策等を進める。
  2. 応急対策
     地震発生時の応急対策を迅速かつ円滑に実施するため、救助・救命対策、消防力の充実・強化、災害時要援護者の支援体制の整備、緊急輸送・搬送体制の強化等を進める。
  3. 復旧・復興対策
     被災地域の適切かつ速やかな復旧・復興を図るため、震災廃棄物処理対策、ライフライン・インフラの復旧対策等を進める。
  4. 避難者、帰宅困難者等への対応
     多数の避難者及び帰宅困難者等の発生が予測され、避難所、応急住宅等の不足や路上等における混雑による混乱の発生等が懸念される。そのため、避難所としての公的施設や民間施設の利用の拡大、応急住宅としての空き家・空き室の活用、一斉徒歩帰宅者の発生の抑制、円滑な徒歩帰宅のための支援等について検討する。

[2]中部圏・近畿圏における特徴的な被害事象への対応

  1. 木造住宅密集市街地の防災対策の推進
     近畿圏及び中部圏の大都市部においては、木造住宅密集市街地の集積度が高い場所が多く、地震時に建物の倒壊や火災被害等の物的被害やそれに伴う人的被害が発生しやすい地域特性がある。そのため、市街地の再開発や土地区画整理事業等による面的整備、道路・公園等のオープンスペース確保等を進める。
  2. 文化遺産の被害軽減
     京都や奈良を中心に文化遺産の数が極めて多く、地震が発生した場合には多くの貴重な文化遺産が失われる可能性がある。そのため、所有者・管理者による建造物の倒壊防止対策や消火設備の整備、周辺地域における公園・空地整備、消火施設の整備、建築物の耐震化・不燃化等、文化遺産と地域を一体としてまもる対策等を推進する。
  3. 地下街、高層ビル、ターミナル駅等の安全確保
     大規模な地下街、高層ビル、ターミナル駅等では、膨大な数の人が滞留していることから、施設被害に伴う多数の死傷者やパニックが発生しないよう、施設の耐震化、出火防止対策、落下物防止対策等を促進する。
  4. ゼロメートル地帯の安全確保
     中部圏・近畿圏の湾岸地域には広大なゼロメートル地帯が分布しており、地震時に海岸や河川の堤防等が損壊して浸水被害が発生する危険性がある。そのため、堤防等の耐震点検を進め、耐震化を図るとともに、発災時の情報収集・伝達体制の強化、公的施設や民間ビル、マンション等の避難施設としての活用、避難誘導体制の整備等に努める。
  5. 大阪湾、伊勢湾に集積する石油コンビナート地域及び周辺の安全確保
     伊勢湾・大阪湾には大規模な石油コンビナート地域が集積し、これに近接して市街地が形成されているため、地震による危険物の漏洩や火災等が生じた場合、周辺市街地への被害波及や環境汚染等の問題が生じるおそれがある。そのため、引き続き石油コンビナート等災害防止法に基づく対策を進める。また、石油コンビナートの被災による隣接市街地等への影響評価を充実するとともに、臨海部の老朽化した工場地帯の再開発等による地震防災性の高い臨海部の整備等を促進する。
  6. 6.中山間地域等における孤立危険性の高い集落への対応

中部圏・近畿圏では、地震時における孤立危険性の高い集落が中山間地域等に多数分布している。そのため、衛星携帯電話等の通信手段の確保、ヘリコプター離着陸適地の選定・確保・整備、水、食料等の生活物資、医薬品等の備蓄等を促進する。

中部圏・近畿圏直下地震対策大綱の概要

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.