Disaster Management NEWS- 防災の動き

雪処理に係る事故による犠牲者ゼロのための地域防災力向上に向けて

雪の事故による犠牲者は自然災害の犠牲者の3割を超え、風水害に次ぐ第二の自然災害です。
「雪害による犠牲者ゼロのための地域の防災力向上を目指す検討会」では、雪処理に係る事故防止の対策について取りまとめました。

雪による事故の概要

 平成18年豪雪では全国の死者が152人を数えるなど、戦後2番目の被害となりました。平成19年度冬期では降雪量が平年並みか少なかったにもかかわらず、47名の犠牲者が発生。その事故原因を調査した結果、以下の特徴が明らかになりました。

  1. 除雪作業中、特に屋根からの転落による事故が多い
     死者に関しては除雪作業中の事故が8割以上。事故原因としては屋根からの転落が約6割。
  2. 高齢者の事故が多い
     死者の場合、65歳以上の高齢者が約6割 、そのうち約3分の2が75歳以上。
  3. 1人での作業中の事故が多い
     事故発生時に1人で作業していた割合は、死亡事故では約8割。
  4. 作業を始めてから間もない事故が多い
     除雪作業開始から事故発生までの時間は、10分以内が3分の1、11~30分が約3割と30分以内が6割。
  5. 発見時間が遅れるほど死者が多い
     事故発生から発見までの時間は、重傷者では10分以内が約8割を占めているが、死者の場合は30分を超える事例も多い。
  6. 「気兼ねする」「無理と思わない」高齢者が多い
     被災者の3分の1が「他にやってくれる人はいるが気兼ねをして自分で実施」「体力的に困難なのに無理と思わず油断して実施」などの理由で1人で作業。
平成19年度冬季における雪による事故の死者 原因別構成

 原因別にみた事故の特徴も調査。
「除雪中の屋根からの転落」 …屋根の上からの転落が約6割、はしごからの転落が約4割。シーズン1回目の雪下ろしによる事故が3分の2。被災者は命綱を未使用。
「屋根からの転落」 …気温上昇時に軒下にいて事故発生したケースが多い。
「除雪機による事故」 …雪詰まり除去時の事故が多く、高齢者以外の被害も。
「除雪中の水路等への転落」 …死者の割合が高く、発見までの時間が長い事例が多い。
「除雪に伴う発症」 …寒い屋外で重労働を伴うことから、発症したと推測。

平成19年度冬期における雪による犠牲者(死者)年齢別構成

雪処理に係る事故の対策

 雪害による犠牲者ゼロのための地域の防災力向上を目指し、平成19年度冬期の事故調査を踏まえた対策の視点としての4つのポイント。

  1. 「必ず2人以上で」
     2人以上で作業を行うことの意義を的確に周知。地域コミュニティの共助による雪処理活動を行うことの徹底。それが難しい場合は、家族、親戚と一緒に行う。また、地域コミュニティによる共助が困難な場合は、地域内外のボランティアなど、雪処理の担い手による協力の仕組みをつくる。
  2. 「安全性を高める」
     雪の事故が起こりやすいタイミングに合わせて、雪処理の危険性について適確に周知徹底する。また事故防止に役立つ道具、器具、機器を開発・普及。安全に作業を行うため、住民に対する技術指導や講習会を行う。
  3. 「被害の程度を軽減」
     事故が発生しても被害の程度を最小限にとどめる「フェールセーフ」という視点から事故に備えて、救急救命講習を実施し、AEDの普及を図る。また、事故発生時の連絡のため、除雪作業時に携帯電話を携行すること、早期発見のための機器の開発が大事。
  4. 「作業から解放」
     自力での雪処理が困難な世帯は、高齢化の進展により今後一層増加する傾向。このような世帯が無理に雪処理をしなくてもいいような対策が必要。雪処理が困難な世帯の状態を把握し、雪処理の費用の支援や、克雪住宅の普及・開発、雪処理が困難な人のために居住施設の確保を図ることが求められている。

 こうした検討結果を基に、「除雪中の事故防止のための10か条」を作成しました。下記をご覧ください。

命綱を使用した雪下ろしの実演(山形県尾花沢市)

一斉除雪の実施(山形県尾花沢市)

心がけましょう!除雪中の事故防止のための10か条

  • 作業は家族、となり近所にも声掛けて2人以上で!
  • 低い屋根でも油断は禁物!
  • 建物のまわりに雪を残して雪下ろし!
  • 作業開始直後と疲れたころは特に慎重に!
  • 晴れの日ほど要注意、屋根の雪がゆるんでる!
  • 忘れずに!命綱とヘルメット
  • はしごの固定を忘れずに!
  • 除雪道具はこまめに手入れ、点検を!
  • エンジンを切ってから!除雪機の雪詰まりの取り除き
  • 携帯電話の携行を忘れずに!

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.