Disaster Report 国内災害レポート

新潟県中越地震から5年
新潟県

平成16年10月に発生した新潟県中越地震
その後も大きな地震に見舞われました。5年を経た現在の復興状況を報告します。

被害の概況

 平成16年10月23日17時56分頃、最大震度7の地震が発生し、新潟県内において人的被害は死者68人、重軽傷者4795人、住家被害は全壊3175棟、大規模半壊2167棟、半壊1万1643棟、一部損壊10万4619棟となりました。
 また、この地震により、新幹線が国内で初めて脱線したほか、高速道路など多くの幹線道路が被災しました。
 被災地の多くを占める中山間地域では、激しい揺れで地盤が崩壊したため、道路が寸断され、多くの孤立集落が発生しました。特に旧山古志村では長岡市内へ、自衛隊などのヘリコプターで全村民が避難をすることになりました。
 小千谷市との境にある長岡市妙見町では、県道を走行中の自動車が崩落した土砂に巻き込まれ親子3人が生き埋めとなりましたが、東京消防庁のハイパーレスキュー隊を始め全国でも精鋭の消防隊員の活躍により、発災から約92時間後に奇跡的に男の子が救助されました。
 また、この地震により首都圏との主要道路が寸断されたこともあり、新潟県内各地の観光地では、直接の地震被害がほとんどなかったところでもキャンセルが相次ぎ、大きな打撃を受けました。

長岡市濁沢町(長岡市提供)

長岡市妙見町

避難生活について

 被災直後から開設された避難所は、最大で603箇所で、10万人を超える方が自宅から避難をしました。
 新潟県は雪国であり、降雪前の避難所解消に向け急ピッチで応急仮設住宅の建設を進めたところ、12月14日から順次入居を始め、年内には避難所を解消することができました。
 応急仮設住宅の入居にあたり、同じ集落の方がまとまって入居できるような配慮がなされ、国内の災害では初めて仮設のデイケアセンターも設置されました。

住宅の再建

 現在、インフラの復旧は終了し、最大で約9600人の方が入居された応急仮設住宅の入居者の皆様も平成19年末にはすべての方が退居されています。
 また、住宅の再建では、鉄筋コンクリート建ての公営住宅のほか、中山間地域の特性に配慮した木造分散型の公営住宅などの整備や、防災集団移転促進事業なども活用して、故郷での生活再建や新天地での新たな生活が始まっています。

復興に向けて

 新潟県中越地震での特徴として、ボランティア元年といわれる阪神・淡路大震災からボランティアの活動が発展し、行政と地域の間に入って活動をコーディネートする中間支援組織が育ち、今では地域復興支援員による持続可能な地域社会を目指した取組が進められています。
 そのほか、若いお母さん方が中心となった、被災地の子どもたちや高齢者の方々をはじめとする多世代の交流活動も活発化しています。
 また、長岡市山古志地域(旧山古志村)の中でも、河道閉塞により水没した木篭集落など、大きな被害を受けた6集落では、集落再生計画が策定され、集落移転などを含む新しい集落づくりが行われました。
 そして、長岡市小国法末地区、小千谷市東山地区など多くの集落では、地域の特性を活かした集落コミュニティの維持・活性化に向けた取組や、被災した時に支援いただいたボランティアの方々との交流が続いています。
 そんな交流の場から、復興に向けた求心力・シンボルとなるような「地域の宝」を一緒に発見し、また、都市にお住まいの方々とのさらなる交流の場として、古民家再生や棚田保全、農家民泊の実施、郷土料理の提供など、復興の芽が出始めています。
 また、「防災グリーンツーリズム」を提唱し、首都圏の人々と県民が日頃からグリーンツーリズムを通じた「顔の見える」交流を深めることにより、新潟を「第2のふるさと」としていただき、首都圏で災害が発生した場合に、被災経験があり、被災者ケアのノウハウを有している新潟にスムーズに避難していただくための取組を進めております。

中間支援組織による地域復興交流会議

復旧・復興の検証と経験発信

 これまでの復興プロセスと復興支援策を客観的に評価するため、国内の災害復興研究者による「復興評価・支援会議」が平成21年3月に設置されたことから、この会議による外部評価を今後の復興への取組に反映させていくことにしています。
 また、新潟大学災害復興科学センターと連携して、調査研究を行うとともに、長岡技術科学大学、長岡造形大学、長岡大学の3大学などが中心となって設立された社団法人中越防災安全推進機構などで、被災資料の収集、地域振興に関する調査研究や普及活動の取組を行っています。

全国の皆様へ

 新潟県は、平成16年の中越地震に続き、3年を経ずに再び大きな地震に襲われました。この平成19年中越沖地震による人的被害は死者15人、重軽傷者2316人、住家被害は全壊1331棟、大規模半壊856棟、半壊4854棟、一部損壊3万6949棟となり、二重被災された方も多数おられました。
 そんな中、全国の皆様から数々の御見舞いや励ましをいただき、また、ボランティアとして被災者と一緒になって汗を流していただいたこと、さらには被災者のために多くの義援金をお送りいただいたことは、県民一同にとって復興への大きな励みとなりました。  改めて全国の皆様からの多大な御支援に心から感謝申し上げます。新潟県では、2度の地震で受けた被災経験や教訓を全国にお伝えするとともに、被災地ならではの経験や教訓を活かした活動を展開するなど、御恩返しをしてまいりたいと考えております。

全国の皆様との交流

復活した牛の角突き

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