防災リーダーの素顔 第5回

(特活)災害福祉広域支援ネットワーク・サンダーバード 蓮本浩介さん

阪神・淡路大震災後、兵庫の社会福祉協議会でケア付き仮設住宅の人々と出会った

福祉を学びいつのまにか防災に関わっていた

「私は熱い活動家じゃない」と語る蓮本さんは、大学で社会福祉士を目指していた平成7年、阪神・淡路大震災が起り、教授から、兵庫県社会福祉協議会へ就職を勧められた。
 そして、特別養護老人ホーム喜楽苑が運営していた被災地芦屋のケア付き仮設住宅に、生活や住宅のための融資業務で行き、プライベートでも住んでいる人たちの支援のため通った。これが転機となった。
「そこのスタッフや住民の方々に大きな影響を受けました。ほかにも被災地で家も仕事も失いアル中になった人、瓦礫の中に生きている人がいるのに火事で助けられなかったと悔やんでいる人。いろんな方と出会いました」
 この住宅では、コミュニティも家族も失った人にとって、人々と触れ合う共用スペースが、とても重要な意味を持っていた。
「新しい住宅に移ることができるのに、ここのほうが良いという人がいるくらいでした」
「被災後の復旧・復興では元に戻らないものがある。それよりも災害に遭わない、起きても被害を少なくすることが大事だと思いました」
 こうして、社会福祉に進んだ若者は、防災・災害に関わる活動に深く関わることになる。
「福祉と防災は少し視点が違います。例えば要援護者といっても、同居でも昼間独りの高齢者、多くの幼い子を育てる母親、生活課題を抱える方など配慮すべき対象者は多い。両方の視点をつなぐのが私の役割です」
 災害ボランティアセンターの設置運営、DIG(災害図上訓練)に携わり、震災から10年を一区切りとして社会福祉協議会を退職。現在、DIG講習、BCP(事業継続計画)指導、福祉学校講師などを務める。
「平成17年の中越地震では、被災地の福祉施設こぶし苑が、仮設住宅で暮らす高齢者のために、災害サポートセンターをつくりました。そこから災害福祉広域支援ネットワーク・サンダーバードは、生まれました。経験を生かして、他の福祉施設とネットワークを作っています」
「災害時、福祉施設などが要援護被災者を受け入れることになっています。でも入所者も職員も被災し万全な対応はできない。被災していない地域の福祉施設が協力する体制が必要ですが、どこも日常の仕事で手一杯。この状況を解決する仕組みを検討していくことが課題です」
「おしゃれで楽しい防災」も構想・提案する蓮本さんは、新世代の防災リーダーとして、さらに活躍していくことだろう。

研修で講師を務める

太田直子さん

はすもと・こうすけ
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉学科卒。阪神・淡路大震災後の兵庫県社会福祉協議会で被災者支援、災害ボランティア支援など。全国社会福祉協議会を経て現在は、(特活)災害福祉広域支援ネットワーク・サンダーバード理事、(財)消防科学総合センター客員研究員・防災図上訓練指導員など。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

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