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平成20年防災功労者活動報告

内閣府では平成20年度防災週間行事の一環として防災功労者(団体、個人)を表彰しました。今回、内閣総理大臣表彰を受賞された「こども防災大学」と防災大臣表彰を受賞された黒田裕子さんの活動を報告します。

こども防災大学(神奈川県)
小学5年生を対象にさまざまなプログラムを実施。防災に関する意識を高める

 平成20年防災功労者内閣総理大臣表彰を受賞したのが神奈川県横須賀市北消防署が開校している「こども防災大学」。平成14年から、毎年、夏休みや土曜日を中心に8回ほどのカリキュラムを組んで、火災の時の避難方法や1泊2日の避難所体験などを実施しています。横須賀市は自主防災組織の結成率が95%を超えるなど、防災意識が高い地域です。しかし、地域の防災活動を担う方が高年齢化し、次世代の地域防災リーダーの育成が課題になっています。
 子どもたちが小さい頃から防災意識を強く持つことで、将来、地域防災のリーダーとして活躍してくれることを期待して開校されました。参加するのは北消防署管内にある9校の5年生。
 授業は防災に関するさまざまな分野の専門家の協力により行っています。
 博物館学芸員の授業では、過去の文献から、以前横須賀市でどのような災害が起きたか、またそこからの教訓と、どう備えるのか、などを学びました。
 米海軍横須賀基地の消防隊が担当する授業では危機管理に関して先進的なアメリカ式のサバイバル訓練を体験。
 また、避難所体験も行われました。自衛隊の協力で、食料の配給は本物の炊飯車両を使用しました。
 こうした総合的なプログラムを通して、子どもたちが防災に関する正しい知識を身につけ、技術を向上させ、警戒する意識を持つようになることを目指しています。こども防災大学を体験した子どもは修了証を交付され、防災博士として、学校内の防災に関心を持つようになるだけではなく、同級生などに防災への意識を伝える役割を果たしています。現在までに卒業した子どもたちは300名を超えました。
 北消防署長の菊田重治さんは「こども防災大学を実施して今年で7年目を迎えます。今までたくさんの職員が携わってきましたが、その努力が認められて賞をいただくことができてうれしく思います。これから将来の担い手となる子どもたちに地域防災について指導していく上で励みになります。また、今までは北消防署だけの取り組みでしたが、次年度から横須賀市消防局全体としての取り組みになる予定ですので、横須賀市の多くの子どもたちが参加してくれることを期待しています」と話してくれました。

災害時に貴重な飲料水を提供してくれる給水車を見学(横須賀市立夏島小学校)

ホースによる消火活動を実体験(米海軍横須賀基地統合消防隊)

黒田裕子 NPO法人 阪神高齢者・障害者支援ネットワーク 理事(兵庫県)
阪神・淡路大震災で、高齢者・障害者などの支援に活躍。現在も24時間体制で継続的な支援を行う

 阪神・淡路大震災で、宝塚市立病院で看護師として在職中に被災した黒田裕子さん。公園でうずくまっている老人など、高齢者たちが急速に健康を悪化させているのを目の当たりにして、ボランティアとして活動し始めました。
 その後、「阪神高齢者・障害者ネットワーク」を設立。当時の仮設住宅はサポート体制が不十分で、車椅子の方が舗装されていない道を進まなければいけなかったり、視覚障害の夫婦がゴミを捨てる場所がわからず、さまよっているような状況でした。
 黒田さんたちは仮設住宅に大きなテントを設置し、泊まり込み、24時間体制でサポートしてきました。「4年3カ月、仮設住宅で生活し、車椅子の方や目の不自由な方、高齢者のひとり暮らしの方などと接して、病院以外のサポートが必要だと痛感しました。震災で亡くなった6434人のメッセージを伝えることが私たちの役割。避難所、仮設住宅、復興公営住宅と各状況の24時間を知っている私だからできる要援護者の支援をしたいんです」
 そう話す黒田さんは、新潟県中越地震や能登半島地震など、災害が起きるたびに被災地に駆けつけ、医療相談や現地のボランティア活動の支援を行ってきました。中越沖地震では、聴覚障害のある老夫婦に手話で応対し、夫婦の疲労とストレスをやわらげるなど、被災者の心のケアに尽力しています。
 今回の防災大臣表彰について「今回の受賞は、ともに活動している仲間や支援してくれているみんなに与えられたものだと思っています。被災地で自分を受け入れてくれる人がいたからこそ、活動を続けることができたんです。その中で培った経験を次につなげます」と話す黒田さん。
 現在は、神戸市西区にある「伊川谷工房・あじさいの家」でデイサービスや竹細工などの内職仕事を提供。喫茶店代わりに立ち寄る人も多いそう。ここを拠点に復興住宅に移った高齢者・障害者への巡回訪問や配食サービスを続けています。
 高齢者の方や障害のある方が安心して生きられる社会に向けて活動を続けています。

西神方第7仮設住宅で開催された運動会の様子

現在も続けている「デイサービス」の様子

新潟県吉田村で被災者の話を聞く黒田裕子さん(写真左)

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内閣府政策統括官(防災担当)

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