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平成20年度総合防災訓練

前号では9月1日『防災の日』に実施した総合防災訓練の概要をお伝えしました。本号では、 I 政府訓練と連携した近畿府県合同防災訓練等の現地訓練、II 大規模津波防災総合訓練、III 原子力総合防災訓練の実施状況についてお伝えします。

1 (1) 近畿府県合同 防災訓練 〜Total Relief In Kinki (TRIK)〜

大阪府総務部危機管理室

 9月1日の「防災の日」に、東南海・南海地震を想定して、「多様な機関による総合一体的な救出・救助」、「住民の自助・共助意識の高揚」をコンセプトに、近畿の2府7県、大阪府泉南地域の5市3町等の主催により、政府訓練とも連携した防災訓練を、大阪府岸和田市のちきりアイランドとその周辺海域、関西国際空港等において実施しました。
 訓練は、消防・警察・自衛隊・海上保安庁等の防災機関をはじめ、医療・港湾関係機関、企業、NPO、自主防災組織、住民などの幅広い参加協力により、所期の目的を達成し無事終了しました。
 東南海・南海地震を想定して政府訓練と連携したのは初めてです。

【訓練の概要】

1 図上訓練
(1)第一部訓練(大阪府庁、総理官邸)
 大阪府災害対策本部と政府緊急災害対策本部との連携を検証するため、政府支援等に関する内閣総理大臣と大阪府知事・内閣府副大臣のテレビ会議等を実施しました。
(2)第二部訓練(各府県庁舎)
 近畿2府7県による広域応援について、ホームステーションプレイにより応援調整の手順等を確認しました。

2 実動訓練
 東南海・南海地震による津波と地震動により、大阪府南部において孤立激甚被災地が発生したとの想定で、岸和田市のちきりアイランド(阪南2区)とその周辺海域、関西国際空港において、多様な機関が緊密に連携した総合一体的な救出・救助、医療救護、消火等の訓練を実施しました。
 ちきりアイランドでは、内閣総理大臣をトップとする政府調査団と大阪府知事等が、陸上・海上で同時に展開する訓練を視察しました。
(1)陸上訓練(主な種目)
○自衛隊の陸・海の機動力をフルに活用した広域応援部隊等の被災地投入
○広域応援部隊等による列車(実車)や半壊ビル等からの救出
○応急救護所の開設、負傷者のトリアージ
○海上・陸上からの大型石油タンク火災の消火
○関西国際空港を拠点とした重傷者の広域医療搬送
(2)海上訓練(主な種目)
○船舶、ヘリによる漂流者、座礁フェリーからの負傷者救出
○海上自衛隊、海上保安庁の艦船内における洋上医務室の開設
○消防艇等による座礁フェリー火災の消火

3 防災啓発
 府民への自助・共助意識の高揚による地域防災力の強化を図るため、実動訓練会場に近接する浜工業公園において、地域住民、高校生等と自衛隊による応急避難所の開設や非常食の炊き出し等を実施しました。
 また、起震車による地震動体験、AEDの操作体験、関係自治体及び企業による防災展示・防災啓発等を同時に開催し、多くの参加住民で賑わいました。
 会場では、総理大臣をはじめとする政府調査団と知事が訪れ、展示ブースを視察するとともに、炊き出しのカレーライスを喫食しました。

閉会式での内閣総理大臣あいさつ

消防による負傷者搬送

ホバークラフトによる警察車両の輸送

海保ヘリによる負傷者救出

炊き出し食を喫食する大阪府知事

1 (2) 近畿府県合同防災訓練と連携した広域医療搬送実動訓練

1 広域医療搬送実動訓練の概要

 平成20年9月1日(月)の「防災の日」に政府における総合防災訓練の一環として、広域医療搬送実動訓練を行いました。
 広域医療搬送とは、東南海・南海地震等の大規模地震により多数発生すると想定される、被災地内では十分な医療行為が受けられない重傷患者を、被災していない自治体(被災地外)へ搬送し、救命する活動です。
 今年度の実動訓練には、国の関係機関の他、大阪府(被災地内)、徳島県及び長崎県(被災地外)、関係消防本部、災害派遣医療チーム(DMAT)並びに関係医療機関等が参加しました。

2 広域医療搬送の流れ

 広域医療搬送の主な流れは次のとおりです。
○被災自治体から政府に広域医療搬送の実施を要請
○政府から全国各地のDMATに被災地への派遣を要請
○被災地に到着したDMATの支援等により被災地内の病院から被災地内広域搬送拠点へ患者を搬送
○自衛隊機により被災地内広域搬送拠点から被災地外拠点へ患者を搬送
○被災地外の自治体が調整した救急車により、被災地外拠点から病院へ患者を搬送

3 今年度の試み

 今年度の訓練では、広域医療搬送実動訓練として初めて、民間空港(関西国際空港)を被災地内広域搬送拠点として運営しました。
 DMATも、これまで行ってきた自衛隊機での被災地への参集に加え、民間航空機を活用しての参集を実施するなど、実災害を想定した新たな試みを行いました。

訓練のイメージ図

被災地内広域搬送拠点での治療

患者搬送用航空機

1 (3) 八都県市 合同防災訓練

 首都直下地震を想定し、横須賀新港埠頭(横須賀市)を中心として、訓練を行いました。
 主な訓練項目は、次のとおりです。

1 自主防災組織の対応訓練
 住民による救出、消火、避難訓練

2 救出救助訓練
 中高層建物の消火、災害救助犬を活用した救出、孤立地域からの救助訓練

3 広域応援訓練
 ヘリ、艦船による広域援助部隊の派遣訓練

4 医療救護活動、災害派遣医療チーム活動訓練
 救護所の開設、負傷者の応急救護、トリアージ、県外の医療拠点病院への重篤患者の搬送

5 在日米軍応援要請訓練
 在日米軍への応援要請、在日米軍による消防、医療救護、負傷者搬送、応援物資搬送訓練

閉会式での並木内閣府大臣政務官あいさつ

中層建物からの救出

1 (4) 静岡県 総合防災訓練

 東海地震を想定し、静岡市の中央会場を中心として、訓練を行いました。
 中央会場では、4会場を設けて、地域特性に応じた訓練を行いました。
 主な訓練項目は、次のとおりです。

1 市街地会場
 静岡市役所周辺で実際の道路や地下街・高層ビルを使った、都市型災害への対応訓練

2 葵区会場
 孤立地域への対策を主眼とした対応訓練

3 駿河区会場
 住宅地における災害を想定し、避難所運営訓練、自主防災組織や中高生による対応訓練

4 清水区会場
 海上からの支援訓練、海上保安庁の巡視船及び各防災関係機関のヘリコプターを利用した広域患者搬送訓練

中学生による救出

震災工作車による瓦礫の排除、道路啓開

2 大規模津波 防災総合訓練

 東南海・南海地震による津波を想定し、10月19日(日)に、メイン会場の宮崎港(宮崎市)を中心として、訓練を行いました。
 主な訓練項目は、次のとおりです。

1【第一部】地震発生直後の対応訓練
 津波情報の伝達訓練、住民の避難訓練、水門・閘(こう)門の閉鎖訓練、津波情報表示板活用訓練、現地対策拠点設営訓練、災害ボランティアセンターの設営訓練

2【第二部】津波発生直後の対応訓練
 被害情報の収集・伝達訓練、道路・港湾の啓開訓練、緊急物資の輸送訓練、被災者の救助・救急訓練、火災消火訓練、ライフラインの復旧訓練、堤防・道路の応急復旧訓練、津波浸水の排水訓練

閉会式での内閣府特命担当大臣(防災)あいさつ(田口官房審議官代読)

海上漂流者の救助

3 原子力総合防災訓練

 東京電力(株)福島第一発電所3号機における原子力災害の発生を想定し、10月21日(火)から22日(水)にかけて、総理大臣官邸、経済産業省緊急時対応センター、福島県原子力災害対策センター(オフサイトセンター)等において、訓練を行いました。
 主な訓練項目は、次のとおりです。

1 緊急時の通信連絡、情報収集・伝達訓練
2 警戒段階における緊急事態応急対策の準備のための連携活動訓練
3 オフサイトセンターの運営訓練
4 原子力緊急事態宣言等に係る訓練
5 緊急事態における対応訓練
6 広報訓練
7 自治体災害対策本部等の運営訓練
8 事故拡大防止訓練

第1回原子力災害対策本部会議(総理大臣官邸4階大会議室)

負傷者の搬送

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内閣府政策統括官(防災担当)

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