防災 Q&A

Q:災害に備えて家族で決めておくことは?

A:家庭によって生活スタイルはさまざま。そこで、普段の生活を考えながら、災害時に困ることを家族で話し合えば、「必要なこと」が見えてきます。わが家では、「家族のマニュアル」を作って紙にプリントし、家族全員が持ち歩いています。その一部を紹介します。

1. 非常時の連絡方法
災害伝言ダイヤル、携帯電話、ドアに張り紙、県外の知人・親戚

 災害時はいったん自宅に戻ることが想定できるので、自宅のドアに張り紙をすることにしています。また、被災地は電話がつながりにくいので、県外の人を中継して連絡を取ります。

2. 避難場所のルート
指定の避難場所、2次避難場所、各避難場所への具体的なルート

 どの道を通って避難場所へ向かうのかを具体的に記しています。理由は、災害時にお互いを探すとき、行き違いになることを防ぐためです。

3. 地震直後の家族の分担
家の中:まず身を守る体勢をとり、落下物による被害を防ぐ
外へ出るとき:夫は大きい非常用持ち出し袋とブレーカーを落とす、私は子どもの保護と貴重品、母は自分用の持ち出し袋と家の戸締まり

4. 誰かが下敷きになったら
近所の人、近くを歩いている人、町の消防団、避難所にいる人

 これは、助けを求める順番のこと。具体的に決めないと、いざというとき、子どもは分かりません。

5. 家を離れるときにすること
ブレーカーを落とす、火元の確認とコンセントを抜く、戸や窓のカギを締める、避難先をドアや外壁に張る

 そのほか、日頃かばんの中に常備しておくもの、スーパーや塾など家族がよく出かける所からの避難場所なども決めてあります。
 また、私と夫は貴重品リストも持ち歩いています。銀行・保険・印鑑や家の証書など、女性でないと把握できない書類は意外に多いもの。そこで、口座番号や印鑑の種類などを紙にリストアップしています。よく「個人情報なのに、落としたらどうするのですか?」と聞かれますが、通帳やカード、印鑑さえ紛失しなければ、大きな問題はありません。災害時、証書類が焼失しても、リストがあれば後の対応もスムーズです。
 災害で必要なものは、時系列で考えていくと合理的です。荷物や決めごとが足かせにならないよう、まずは、生命を守るために必要なことを考えてください。長期的な避難所生活に必要なものは、後から自宅に取りに行くことも可能。また、身近なものの災害時に有効な使い方を、家族で話し合うのもいいと思います。例えば、携帯電話は、通信手段のほか、情報を得るラジオ、液晶画面はライト、着信音は笛の代わりになります。気楽でいられる平常時に、このような話をしておくことが大切です。

災害に備えて家族で決めておくことは?

イラスト:井塚剛

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危機管理教育研究所 危機管理アドバイザー
国崎 信江

くにざき・のぶえ
阪神・淡路大震災を機に、女性の視点を生かして自然災害から子どもを守るための研究を始める。防災・防犯関連の著作、講演のほか、内閣府・文部科学省など多くの防災関連の専門委員も務めている。

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