Topics 2008 防災週間レポート in さいたま市 みんなで目指す災害の犠牲者ゼロ

REPORT 2 防災フェア 2008 in さいたま
今こそ、災害への関心を自助・共助の行動へとつなげよう!〜あなたの行動と地域のつながりで高める防災力〜

内閣府、さいたま市、防災推進協議会は、8月22日から25日の4日間にわたり、さいたま市大宮区大宮ソニックシティ周辺において「防災フェア2008 inさいたま」を開催しました。

 あいにくの雨のために一部のイベントは中止となりましたが、気軽に参加できる催しが多く、家族連れからお年寄りまで、幅広い世代が訪れました。
 列ができるほどにぎわったのは、地震を体験できる起震車。さばの味噌煮やハンバーグ、ケーキなど、非常食の試食も人気。防災に関するクイズや紙芝居のほか、模型を使った建物の耐震実験や防災ガラスの破壊実演、心臓マッサージ体験などは、大人も子どもも興味津々でした。

会場入り口の様子。屋外会場の鐘塚公園などには、防災グッズや設備を展示したブースが並んだほか、起震車や土砂災害体験車、降雨体験車なども用意され、特に家族連れでにぎわった

消防局による応急手当体験では、隊員の指導を受けながら、人形に心臓マッサージ。脈も測れるリアルな作りで、蘇生すると目が開いたのには、お母さんもびっくり!

(社)日本建設業団体連合会による、子ども向けの実験。ビーカーを使った液状化の実験や、模型を実際に揺らしての建物の耐震・免震実験など、子どもたちの表情は真剣

大きな揺れに悲鳴が上がった起震車。「もう一回乗りたい!」という子どもも

国内外の災害写真が並んだ防災パネル展。今年度の防災白書のパネルも展示

非常食の試食コーナー。最近の非常食は、ごはん以外のおかずも豊富

子どもも大人も簡単に建物の耐震が学べる「かみぶるる」

日本赤十字社による応急手当講習。参加者にも三角巾が配られ、手当を学んだ

PICK UP 1 防災集中講座

防災集中講座

最新の防災の知識を学び災害に備える

 自助を促す取り組みとして、地震研究や危機管理を専門に活躍している講師をお招きし、防災の実践的知識を学ぶことができる「防災集中講座」が行われました。
 3つの講座を聴講すると修了証がもらえることや、災害に関する第一人者への質問のコーナーがあるとのことで、子どもから大人まで多くの方が参加し、活発な質疑応答が行われました。
 翠川三郎氏(東京工業大学大学院教授)は、「地震発生のメカニズム、どこで、どんな大地震が発生するのか」をテーマに、揺れやすく被害を受けやすい場所はどのようなところなのかについてを示唆しました。
 鈴木淳氏(東京大学大学院准教授)は「過去の災害(関東大震災)に学ぶ」とし、流言などによる被害拡大を繰り返さないために、不確実な情報に惑わされず、自分で判断することが重要だと説きました。
 国崎信江氏(危機管理アドバイザー)は、「家庭で職場で災害にどう備えるか」と題し、災害への備えは、災害時のイメージを明確にもつことからと訴えました。被災時には、第三者が支給してくれない、薬などの「無いと困るもの」をイメージし、それを中心に持ち出すようにと呼びかけました。

PICK UP 2 防災教室

防災教室

中学生の「防災」に関する疑問に専門家が答える

 防災フェア3日目の8月24日には、さいたま市立八王子中学校の生徒35人が参加して防災教室が開催されました。講師は伊藤和明氏(NPO法人防災情報機構会長)。親水公園が氾濫していく様子などをスライドで見せながら「楽しい遊びを提供してくれる自然がひとたび災害となると一瞬にして恐ろしい顔を見せる」と自然災害の脅威とその対処法についての話がありました。
 続いて、質疑応答。「防災訓練はなぜ必要なんですか」という質問に、1983年の三宅島噴火の際に日頃の防災訓練のおかげで犠牲者が出なかったという例を示しながら、「地震でも集中豪雨でも、災害が起きると想定して備えをするのが防災訓練。家庭用の消火器も訓練しないと使い方がわからない。普段からやっておくことで、防災の力が増すんです」と伊藤氏。
「防災について後世に残したいことは何ですか」という質問には「日本ではたびたび災害が起きてきました。そのとき何が起きたか、過去に自分達が経験したことを伝えることは大事なことです。現在、内閣府の中央防災会議で、過去に起きた災害を一つひとつ報告書にまとめていますが、それも将来の人に学んでもらい、役立ててもらうためです」と答えてくれました。その他にも興味深い質問が幾つも。伊藤氏の回答に子どもたちは真剣に耳を傾けていました。

PICK UP 3 シンポジウム

シンポジウム

過去の災害経験から日本の災害対策を考える

「日本の災害対策を考える」と題して行われたシンポジウムでは、講演に先立ち、内閣府参事官(災害予防担当)田尻直人氏が主催者あいさつを行いました。
 伊藤和明氏(NPO法人防災情報機構会長)は、「歴史に学ぶ震災への備え」と題し、約1万人が犠牲となった1855年安政江戸地震(M7.0〜7.1)や、1931年西埼玉地震(M6.9)のデータを元に、首都直下地震への備えの必要性を示唆しました。
 重川希志依氏(富士常葉大学大学院教授)は、「防災に対して、いま求められている女性像とはどのようなものか」と題し、女性や子ども、高齢者など、これまで助けられる側と考えられていた立場の人たちが、防災に果たす役割について語りました。また、新潟県中越地震で被災した生徒の作文を取りあげ、被災者の気持ちの移り変わりを紹介しました。
 山●(山へんに竒)登氏(日本放送協会解説主幹)は、「地域の防災の力を高めるために」と題し、大規模地震発生の切迫性が高まっている中、国民の防災意識をいかにして実際の防災行動へとつなげるかについて語りました。自らの取材経験に基づき、自主防災組織の重要性と耐震補強の必要性を強調。また、緊急地震速報によって避難行動がとれた人々の例を、事例をあげて紹介しました。

撮影:相澤正

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内閣府政策統括官(防災担当)

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