Disaster Management NEWS— 防災の動き

Earthquake
中部圏・近畿圏の内陸直下地震による被害想定結果
〜経済、交通、ライフライン被害等〜

中央防災会議「東南海、南海地震等に関する専門調査会」(座長土岐憲三立命館大学教授)では、中部圏・近畿圏の内陸直下で発生する地震への防災対策について検討を進めてきました。今回は、平成20年5月14日に公表された結果をお伝えいたします。

専門調査会における検討経過

 本専門調査会では、中部圏・近畿圏に重大な影響を及ぼす可能性のある内陸直下地震について、平成18年12月に想定震度分布を公表し、その後、各地震が発生した場合に想定される被害について検討を進め、平成19年11月には建物被害・人的被害等の推計結果を、平成20年2月には文化遺産の被災可能性をそれぞれ公表しました。
 さらに今回、経済、交通、ライフライン等の被害の推計結果をとりまとめ、平成20年5月14日に公表しました。

会議の冒頭であいさつを行う、泉防災担当大臣。

専門調査会の様子。奥中央が土岐座長。

被害想定結果について

 今回の推計では、主に、大阪府を中心に近畿圏で最大の被害をもたらす上町(うえまち)断層帯の地震と、愛知県を中心に中部圏で最大の被害をもたらす猿投猿投(さなげ)-高浜(たかはま)断層帯の地震を対象とし、冬の昼12時、風速15m/sに地震が発生したケース(交通寸断による影響については6カ月復旧時のケース)を想定して計算を行いました。
 検討の結果、上町断層帯の地震により、経済被害額約74兆円(うち直接被害約61兆円、間接被害約13兆円)、交通寸断による影響人流量約5300万人、影響物流量約3700万トン、影響額約3.4兆円、高速道路橋梁・高架橋の大被害(注1)約10カ所(注2)、新幹線橋梁・高架橋の大被害約20カ所(注3)、避難者約550万人、帰宅困難者約200万人が想定されます。また、ライフライン被害では、1日後の大阪府内の値で、断水率約67%、停電率約41%、下水道機能支障率約31%、不通回線率約23%、ガス供給停止率約82%(注4)が想定されます。
 一方、猿投-高浜断層帯の地震では、経済被害額約33兆円(うち直接被害約25兆円、間接被害約8兆円)、交通寸断による影響人流量約6600万人、影響物流量約4000万トン、影響額約3.9兆円、高速道路橋梁・高架橋の大被害約10カ所(注2)、新幹線橋梁・高架橋の大被害約10カ所(注3)、避難者約250万人、帰宅困難者約96万人が想定されます。また、ライフライン被害では、1日後の愛知県内の値で断水率約56%、停電率約24%、下水道機能支障率約21%、不通回線率約14%、ガス供給停止率約99%(注4)が想定されます。
 また、中央構造線断層帯の地震では、大阪府、奈良県、和歌山県で計47集落、約6900戸の孤立集落の発生が想定されます。さらに、養老-桑名\四日市断層帯の地震では、四日市臨海地区の石油コンビナートで漏洩約50施設、破損等約700施設が想定されます。
 上記のほか、建物倒壊による道路閉塞の発生可能性、高層ビルの事務所や住宅内でのエレベータ内閉じ込め者数、地下街でパニックが発生した場合の死傷者数、ターミナル駅が被災した場合の駅滞留者の死傷者数等の想定項目について推計を行っています。

経済被害額の推計結果(冬の昼12時風速15m/s)
人流・物流寸断の影響(6ヶ月復旧時)

おわりに

 今後は、これまでの被害想定結果を踏まえ、被害軽減を図るための具体的な対策を含んだ専門調査会報告をとりまとめるとともに、予防対策から応急対応、復旧・復興対策まで含んだ総合防災対策のマスタープランである地震対策大綱を策定する予定です。
 なお、今回の被害想定結果や、本専門調査会の議事概要等につきましては、下記のホームページからご覧頂けます。
https://www.bousai.go.jp//kaigirep/chuobou/senmon/tounankai_nankaijishin/index_chukin.html

注1:
大被害:機能支障に至るような、崩壊、倒壊、変形の大きな損傷等の被害
注2:
平成16年度末時点の耐震対策率を用いて算出
注3:
平成17年度末時点の耐震対策率を用いて算出
注4:
電力、通信、ガスについては、各事業者のサービスエリア内を対象とする

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