特集 復興に向かう柏崎から

被災を通して、学んだこと -2/5-

中越沖地震の証言2 柏崎市松美町町内会長 関矢登さん
ボランティアの受け入れには適材適所にコーディネートする町のリーダーが不可欠

市の中心部に近い新興住宅街の松美町。毎年恒例のぎおん柏崎まつりにおける、事前の町内まわりの最中に震度6強の地震が発生した。みんな道路にうずくまって揺れに耐えつつ、ブロック塀が倒れ、路面に亀裂が走り、家屋が損壊するのを見た。
「町内の多くの人が屋外にいたのは幸いでした。近くの原っぱにまず避難して様子を見ました」
と、町内会長の関矢さんは振り返る。その後、近くのコミュニティセンターへ向かって一晩を過ごし、翌日の午前中には、すぐに各地からのボランティアの対応をすることになった。
「地域の情報は、自分が一番よく知っている。ニーズに合った協力を、ボランティアの方々にお願いしなければなりませんでした」

関矢さんは独自にアンケートを作成して配布し、町民の安否と被害状況の把握に努めていた。だが、次々と来てくれるボランティアに的確な指示を出すのは簡単ではない。
「その時、兵庫県のボランティアコーディネーターの方が来てくれたんです。そこで、私が町内の地図に被害状況やニーズを書き込んでいき、それをもとに彼がみんなに指示を出していきました」

だが、他人が自分の家に入ることに抵抗のある人もいる。そんな時は、町の副会長や役員を同行させた。
「ボランティアに対する認識が必要だと感じました。そのためにも行事をたくさん企画して地域のつながりを強くし、助けを借りるだけでなく、自分たちもボランティアをするという意識を根づかせたい」

支援の必要性を調べたところ、他人への遠慮からか「ボランティアは不要」と回答した人が多かった。ボランティア活動が身近になれば、そんな意識も変わってくるだろう。
「地域の活動を通して自分たちのことを考える……そんな中から、リーダーも生まれてくるはずです」

経験豊富なボランティアが多数集結。

静岡ボランティア協会の人たち。そのほか和歌山梅の里救助隊をはじめ、経験豊富なボランティアが多数集結。

関矢さん。

自治が自立しないと災害に強くはなれない」と関矢さん。非常時でも大きな混乱がなかったのは、松美町の地域力。それをさらに発展させようと緑化や川の環境整備も行っている。

敬老のお祝いと震災ボランティアの皆さんへの感謝のつどいの様子

昨年10月に行われた「敬老のお祝いと震災ボランティアの皆さんへの感謝のつどい」には300人が参加。楽しい行事を通して地域同士の交流を深めた。

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.