特集 地域の力でまちを守る みんなでつくる安全な暮らし

地域で、活動を始めたり、上手に継続させていくには、どのようにしたらよいのでしょうか。その知恵や工夫を室﨑先生に聞きました。

地域で「共助」の輪を広げるために

まずできるところから、やりたいところから始めてみよう

いきなりみんなでやろうとすると、反対意見が出たり、考え方の違う人を説得するだけで気疲れしてしまい大変です。志のある人が率先してやる。そして活動に共感した人を仲間に入れていきましょう。

アイデアを出し、工夫しよう

できるだけ楽しく、おもしろく、ためになるよう工夫することです。今、自分たちで考えたゲームや漫才、演劇などで防災を伝える取組が人気です。まさに企画力です。バケツリレーひとつとっても「どうすればおもしろくなるのか」マンネリにならないよう工夫すればみんな出てくるようになります。究極のアイデアは「食べ物」です。群馬県太田市はブラジル人が多く住むまちですが、地域活動への参加が少なかったそうです、そこで「今度の訓練では群馬名産の料理が出ますよ」と呼びかけると、「おいしいものが出るイベントがある」とたくさんの人が参加しました。一度参加した人たちは「また来てくださいね」と声をかけられると簡単に出てきてくれるようになります。

子ども中心の防災活動を

子どもが頑張れば、親も頑張り、地域も動いてくれます。「『ぼうさい探検隊』※で、子どもがまち歩きをします」となると、親も一緒にきて防災の勉強をして帰る。そのうち、親だけでやろうかということにつながります。防災は最も基礎的な人間が生きていくための素養・力であり、もっと地域で取り組んでいくべきだと思います。

※「ぼうさい探検隊」は、子どもたちがまちにある防災・防犯などに関する施設を見て回り、マップにまとめて発表する教育プログラム

地域の「防災のカレンダー」を持ち、目標を決めよう

地域の年間行事のなかに、「毎年この日は防災訓練」など、防災の行事を定例化する、そして、目標や目的意識を持つことが、長続きさせる重要なポイントです。例えば「1割の住民はAEDの使い方や応急手当の方法を身につけよう」それができれば目標を2割、3割と上げていく。家具転倒防止ができている家を増やそう、備蓄率を高めようと決めると、自分たちが何のためにやっているのか目的意識もはっきりし、達成感も得られます。そして、次の段階へと進むうちに、あらゆることができるようになります。

参加する人の「できること」をうまく活かそう

自分の「やりたいこと」や「能力」が活かせる、参加者がプラスになる取組がどんどん生まれてきています。
 兵庫県の加古川グリーンシティ防災会では、「あなたができることは何ですか?」と住民に問いかけ、仕事や趣味以外に「大声が出せる」「おいしいご飯がつくれる」「子守りが得意」などを登録した「チャンピオンマップ」をつくっています。災害時には、その特技を活かし、避難所の子どもの世話をしたり、炊き出しをします。「誰でもいい」ではなく、「あなたじゃないとできないんです」といわれると進んでやってくれるのです。自分が誰かの役に立ったり地域のためになることは気持ちのよいものです。参加者は「きてよかった、自分でも役に立った」と生き甲斐に感じてくれるはずです。
 共助の取組がうまくいっている地域の特長は、お祭りやまち美化運動など日常的につながりがあり、学校や商店街との連携もとれている。次に、アイデアを出したり、活動を牽引するリーダーがいる。そして、住民の話を聞き、良い事例を紹介するなど行政が上手に応援しています。そこの活動を見たり、まねてみることも大切かもしれません。

加古川グリーンシティ防災会では、炊き出しを「イカ焼き」にして、「楽しく・おいしく」のひと工夫(写真提供:加古川グリーンシティ防災会)

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