地域の防災2 女性ならではの力で家族と地域を守る
●女性防災クラブ 平塚パワーズ（神奈川県平塚市）
全国でも珍しい女性防災リーダー集団
平成7年の阪神淡路大震災をきっかけに、平塚市は「家庭を守る主婦」を対象として、女性防災リーダー育成研修（現在は女性防災コミュニティ講座）を開講した。
「あの震災は私たちにとっても衝撃的なものでした。研修に参加している人たちも、みんな意識が高かったんだと思います。でも研修期間は1年。せっかく学んだのだから、これで終わりにしないで、もっと知識を深め、地域の防災に役立てたいと結成されたのが『平塚パワーズ』です」
そう話すのは現在、会長をつとめる小林美枝さん。約30人のメンバーでスタートした。
「結成当初は、研修を受けた方の9割が入会していましたが、その割合は減ってきました。そこで防災に興味を持ち、活動意欲のある人なら誰でも入会できるようにしたんです」
現在、会員数は63人に上り、防災に関する研修を継続的に行い、知識と技術の取得につとめている。主な活動は、地域に密着した防災啓発活動を行うこと。平塚市内を6つのブロックに分け、それぞれの地域での防災活動に参加。女性ならではのきめ細かい指導が好評で、参加の要望は増えているそうだ。
「平塚市は各自治会ごとに防災訓練を行うことが多いですし、学校からの要請もあるので、毎週のように会の活動がある。私も、最初の頃は家族から不満を言われたことも。でも、イキイキとしているのを感じたのか、今では理解してくれています。他の仲間もそう。『来てください』と言われるのはうれしいですから」
緑化まつり、市総合防災訓練、消防展など平塚市のさまざまなイベントにも参加し、啓発活動を行っている。今や、『平塚パワーズ』の真っ赤なユニフォームを知らない市民はいないほどの存在だ。
平塚市総合防災訓練に参加する『平塚パワーズ』。この姿に憧れる女性も少なくない。「若い人に入会してもらえれば」と小林さん。
女性ならではの指導は子どもたちにも好評だ。
全員で行う全体研修のほか、各ブロックでも研修を実施。