Disaster Management NEWS— 防災の動き

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防災「教育」から防災「共育」へ 〜第5回「ぼうさい探検隊フォーラム」を終えて〜

日本損害保険協会では、ユネスコ等との共催で「小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」を毎年実施しています。2008年度もマップコンクール入賞団体の表彰式を兼ねて、防災・防犯・交通安全教育の重要性を考えていただくことを目的とし、去る1月24日(土)に第5回「ぼうさい探検隊フォーラム」を東京・両国で開催しました。

 日本損害保険協会では、社会貢献活動のひとつとして「ぼうさい探検隊」の普及に注力しています。この活動について、フォーラムの概要とあわせてご紹介します。

ぼうさい探検隊とは?

 「ぼうさい探検隊」は、阪神・淡路大震災をきっかけとして兵庫県西宮で生まれた防災教育プログラムです。このプログラムでは、まず子どもたちがグループごとに自分たちの住んでいるまちを探検し、防災に関する施設や設備を実際に見てまわります。その際に「どんな場所が危ないか」「消火器や防火水槽、防災備蓄倉庫がどこにあるか」等を子どもたち自身の目で確認し、気づいたことや感じたことをマップにまとめます。最後に発表を通じて振り返りを行い、意識や情報を共有するというのが基本的な流れです。

マップコンクールの実施

 当会では、この「ぼうさい探検隊」の普及を図るため、小学生を対象としたマップコンクールを2004年度から毎年実施しています。第5回となる今回のマップコンクールでは、241の小学校や団体から1235作品もの応募がありました。地域別に見ると46の都道府県から応募があり、この活動が日本全国に広がってきていることがわかります。また、テーマも防災のみならず防犯や交通安全にもわたっています。

ぼうさい探検隊フォーラムの内容

 この「ぼうさい探検隊」の活動は、主役となる子どもたちへの教育効果だけでなく、一緒に探検を行う指導者の方々や地域の大人たちにも大きな啓発効果をもたらします。
 そこで、今回のフォーラムでは、「教え育てる防災『教育』から、大人と子どもが共に育つ防災『共育』へ」を継続テーマとしてとりあげ、東京・両国のKFCホールにて3部構成で開催しました。
 第1部のマップコンクール表彰式では、入選15作品のうち、防災担当大臣賞、文部科学大臣賞などの入賞7作品について、受賞校・団体の代表児童と指導者をお招きし、表彰しました。
 表彰式では、各受賞作品を映像で紹介するとともに、評価された点を解説しました。壇上での代表児童インタビューでも「このマップを、町内の人たちに役立つように広めたい」などの力強い発言がありました。
 第2部では、「これからの小学校における防災教育について」と題した基調講演を、文部科学省 安全教育調査官の長岡佳孝様よりいただきました。講演の中では、2011年度から実施予定の「新しい学習指導要領」の随所に防災教育に関する要素が盛り込まれたこと、文部科学省としても地域ぐるみでの教育と子どもたちの安全の確保が重要と位置づけている、といったお話がありました。
 また、この「ぼうさい探検隊」の活動は、文部科学省の作成した教諭向け補助教材の中でも紹介されており、マップづくりをきっかけとして自分や地域の安全に関心をもった子どもたちが、将来の世界を担っていくことを期待したい、という結びの言葉がありました。
 第3部では、今回のマップコンクール応募校・団体を対象に実施したアンケートをもとに、地域での活動状況やマップ活用事例について当会職員から報告を行い、続いて「ぼうさい探検隊実践レポート」の発表を行いました。
 このレポートでは、昨年8月に東京・千代田区で実施された「麹町地域ぼうさい探検隊」の内容について、参加した小学生15名とNPO団体や地域の大人の方々に登壇いただき、子どもたちの素直な感想や、大人たちの意識の変化などを報告いただきました。
 子どもたちからは、「最初は何が始まるのかよくわからなかったが、まちなか探検をしてみたら楽しかった」「作ったマップを両親など多くの大人に見てもらいたい」といった感想がありました。地域の方からも「次年度以降もぜひ継続して実施していきたい」などの発言があり、会場からは大きな拍手が送られていました。
 最後に、本マップコンクールの審査員長である関西学院大学の室●(山へんに竒)益輝教授から、総評をいただきました。総評では、マップコンクールの活動を通じて数万人の子どもと大人が共に考えることの素晴らしさや、事前準備等を行ううちに実は大人が最も多くのことを学ぶこと、子どもたちの提案が「自分たちには何ができるか」という主体的なものになってきていること等のほか、まとめとして「子どもが変われば、親や地域も変わる。ぼうさい探検隊は、皆が共に育ちあう大切な活動だ」との言葉がありました。

各賞のプレゼンターの方々と、誇らしげに賞状や副賞を掲げる代表児童・指導者の皆さん


防災担当大臣賞受賞作品 制作:ふけ町ふるさとクラブ夜回り隊2008(滋賀県守山市)
一人暮らしの老人の防災対策にポイントをしぼっていること、自分たちにできることを宣言文としてまとめていることなどが高く評価された

文部科学省長岡調査官
「ぼうさい探検隊実践レポート」の様子

「ぼうさい探検隊」を地域で実施

 阪神・淡路大震災から14年が経過し、中学生以下の若い世代の防災意識の風化が危惧されているなか、新しい学習指導要領では防災教育の重要性が注目されています。また、この「ぼうさい探検隊」で作成したマップがきっかけとなり、地域の危険箇所が実際に改善された事例なども報告されています。教育効果が高く、安全で安心な地域づくりにも大きく貢献する活動として、当会ではこの「ぼうさい探検隊」をより一層広めていきたいと考えています。
 そのために、「まずは地域の方々や消防署などの協力を得て企画し実施してみる」「地域の定例行事として毎年実施する」「作成したマップを多くの場所で活用する」などを活動のヒントにしていただき、この4月から募集開始となる第6回マップコンクールにぜひ多くの方のご応募をいただけますよう、お願い申し上げます。
ぼうさい探検隊ホームページ ../../../../tolink/out73.htmlprotection/bousai/

今村 健二
社団法人日本損害保険協会 生活サービス部 安全安心推進グループ

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内閣府政策統括官(防災担当)

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