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特集 「もしも」のために今、できること 災害をイメージし、防災につながる行動へ【アクション編】

もし、平日にオフィスで地震が起きたら

高層ビルが立ち並ぶオフィス街。そこで地震にあったら、どのような被害に遭うことが考えられるのだろうか。エレベーター内にいたときや、上層階にいるときの対応・対策を聞いた。
もし、平日にオフィスで地震が起きたら

イラスト:井塚剛

 都市部に数多く存在する高層ビル。中でも、気になるのはエレベーターのことだ。
「最近のエレベーターは、地震を感知すると『最寄り階で停止』するため、以前のように階と階との間で閉じ込められることは少なくなっています」と中林先生。ただし、エレベーター管理会社の技術者がその状態を解除するまでは、一切使えなくなる。
 大地震が発生すると、大量のエレベーターが使用停止となる。技術者が個別に復旧させなければならないため、かなりの時間がかかり、高層階に取り残されてしまう。
「企業などに向け、上層階への非常食などの備蓄を呼びかけています。こうした事態にならないよう、地震を感知して止まったエレベーターが、自動で運転再開できるよう、技術開発も進められています」。
 すぐに外へ避難する方がよい?
「高層ビルが集まっている地域は、延焼の危険性が少ないため、多くは『地区内残留地区』に指定されています。火災もなく、揺れがおさまって建物の安全が確認されたら、むやみに避難しようとせず、建物内で待機しましょう。慌てて外に出ると混雑に巻き込まれます。もし、どこかの階で火災が発生した場合は、煙があがっていくため、中にいる人は煙に巻き込まれる危険性があり、注意が必要です」。
 高層ビルや高層マンションの耐震性は高そうに思えるが……。
「海溝型地震の場合、高層ビルの揺れはゆっくりと強く、数分以上続きます。ビルの高さによって異なってきますが、数秒間に数m揺れるため、キャスターのついたコピー機などは、床を走り回ります。家具を床に固定し、家具同士もしっかり固定することが大切ですね」。

長周期地震動による高層建物の大振幅に備える震動台実験(2008年1月)
独立行政法人防災科学技術研究所 兵庫耐震工学研究センター

私たちはこうしています 【森ビルの場合】

 「逃げ出す街から逃げ込む街へ」をコンセプトに都市開発を行っている森ビル(株)。中でも、地上54階の森タワーを中心に広がる六本木ヒルズには、約10万食の非常食、4万数千個の簡易トイレに加え、医薬品や生活用品を備蓄し、災害用井戸を2カ所に設置。また、都市ガスを使った独自の発電施設を持ちながら、電力会社とも連携しつつ、灯油による発電もできるダブルバックアップシステムを整備している。また、建物の耐震性の強化はもちろん、長周期地震動検知システムを導入したエレベーターなど、最新のビル設備で災害に備えている。
 一方、従業員には日々の業務に対応した災害時の役割を分担するとともに定期的な訓練を実施。さらに、全従業員に救命講習の受講を義務付けるなど、有事の際に迅速な初動活動が行える人的体制も整備している。

毎年1、9月に行っている六本木ヒルズ全体での総合防災訓練。そのほか、災害時の役割に基づく活動訓練、徒歩での出退社訓練、人事庶務班による安否情報訓練など、さまざまな訓練を行っている

災害用井戸。高性能フィルターを使用している。生活用水として利用
(写真提供:左右とも森ビル)

私たちはこうしています 【新宿区の場合】

 新宿区役所危機管理課では、新宿西口の高層ビル街(地区内残留地区)に、企業が高層ビルを建てる際、「防災備蓄倉庫」を東京都や区に提供するよう協力をお願いしている。
 倉庫には、毛布や水、発電機など、災害時における帰宅困難者や、周囲で発生した火災からの避難者のための物資が置かれる。
 また、新宿駅西口にあるパークハイアット東京やKDDIビル、新宿住友ビルなどの13のビルが結成した高層ビルによる町内会、「新宿新都心開発協議会(SSK)」と防災訓練などで積極的に連携している。
 新宿区は、首都直下地震の際に出現する、約16万7000人の駅前滞留者対策への協働も企業に呼びかけ、帰宅困難者を高層ビル内に受け入れたり、徒歩帰宅者への情報提供も行ってもらえるよう、訓練を実施している。

新宿区は、被災時における地域の課題を共有し、解決するための「図上訓練」を定期的に実施。防災に対する異業種同士の連携が深まっている(写真提供:新宿区)

首都直下地震ではトイレ不足が発生!

 首都直下地震の際、都心部においてトイレとトイレットペーパーが不足することが指摘されている。中林先生は、「簡易トイレを持つなら密封できる袋型。男性なら、ポケットティッシュをレジ袋に2個入れて小用をすれば、1~2回は可能です。女性は、大人用おむつをカバンに入れておくとよいでしょうか」。
 もし地震発生時にいたビルの安全が確保されたなら、そのままビル内にいた方がよい。バケツがあれば、ビルの受水槽に残された水の分だけトイレを使える。節水のため、小は3~4回分ためてから流そう。
 被災者などが、簡易トイレを用意したり、むやみに外出しないことで、被災時のトイレ不足問題を一挙に解消でき、マンホールトイレなどで町をトイレだらけにせずにすむ。もし、外出先から徒歩帰宅をする際には、1~2回分のトイレができる準備を持っていこう。

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内閣府政策統括官(防災担当)

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