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タレント 大桃 美代子さん

「突然、ゴーッというすごい音がして、何だろうと思っていたら、強い縦揺れ。椅子にしがみつくことしかできませんでした。家中のものがガシャガシャと動く音や家がギシギシ軋む音は今でも忘れられません」
平成16年10月23日、大桃美代子さんはシンポジウムの仕事で実家に戻っている時に新潟県中越地震に被災しました。それ以来、復旧から復興へと向かう新潟を見守り、応援し続けています。
阪神・淡路大震災も体験している大桃さんに「今、できること」をお聞きしました。

新潟の復興を応援することは私のライフワークです

 中越地震の夜、何度も続く余震に軋みをたてる家から、車に避難した大桃さん。携帯電話から地震直後の様子を全国に伝えました。
「瓦は落ち、塀は倒れ……酒屋さんを見たら、置いてあった酒瓶はすべて倒れ、お店の人は『しばらく営業ができない』と嘆いている。『地獄のお釜が開いた〜』と泣き崩れているおばあさんも。衝撃的でした」
 東京に戻る新幹線の中でも、ブレーキがかかる度に「地震じゃないか」と恐怖を感じたそう。でも、新幹線を降りた大桃さんの前にあったのは、買い物帰りの人が行き交う普通の風景。「その落差を納得するのに時間がかかりました」。
 当たり前のようにあった今までの生活を失い、苦しんでいる新潟の人のために何かをしたい。以来、「自分にできること」を探し続けます。
「魚沼といえば、白いお米。地元の農家の方を元気にするためにも、この美味しいお米をたくさんの人に食べてもらいたいと思ったんです。そのために私ができることは何だろうと考え、見つけたのが雑穀でした。魚沼の田んぼで黒もち米を作り、白いお米に混ぜて食べてもらう。父や周囲の人に手伝ってもらって農作業をしています。雑穀は健康にも美容にもいいんですよ。売り上げの一部を義援金にしています。
 それに、私がお米を作ることで、少しでも新潟を見てもらえればと思っています。新潟の人は、『震災、大変ですよね?』と聞かれても、つい『大丈夫です』と答えてしまう。でも、山古志村にようやく道が通り、復旧が終わっただけで、昔の生活に戻れる本当の意味での復興はまだまだこれから。慣れ親しんだ土地と離れて暮らしている人もいますし、鬱やアルコール依存症に苦しんでいる人もいるんです」
 東京中心の生活からふるさとに目を向けた生活へ。2回の震災が大桃さんの人生を変えました。地震に対 する意識も変わったそうです。
「実際に地震が来た時は、もう本当に動けないし、何もできない。日頃から、『もし、地震がきたら』というイメージをふくらませ、備えておくことの大切さを身をもって体験しました。家の補強、避難袋の用意、家族との連絡方法の確認など、できることはたくさんあります。私はなるべく、スニーカーを履くようにしています。新潟は未来のあなたの姿かもしれない。だから、もし機会があったら、新潟を訪れてください。まだ残る震災の傷跡を見れば、そのすごさが実感できます。そして帰りに新潟産のお土産や野菜を買う。地元の経済活動も活性化します。復興に向けて頑張っている人と触れ合うことは、いざ、自分が被災した時に『新潟の人たちみたいに頑張ろう』という勇気につながる、そう思うんです」
 新潟の復興を応援する。大桃さんは今日も活動を続けています。

 
大桃美代子さん

撮影:花井智子

大桃美代子さん

Profile おおもも・みよこ
新潟県魚沼市出身。ニュース番組をはじめ、料理、クイズ、バラエティ、情報と幅広い分野で司会として活躍。NHK「クイズ日本人の質問」に出演、大桃博士の愛称で親しまれる。NTV「ズームインSUPER!!」の司会を3年半務めた。17年11月に「魚沼特使」に任命され復興のために活動している。雑穀アドバイザー、野菜ソムリエ、おさかなマイスター・アドバイザーの資格を取得するなど食育や農業にも関心を持つ。日本災害復興学会名誉会員。

大桃さんが作っている「桃米」。白米に少量混ぜて炊くと、薄い紫色になり、お赤飯のように色づく。
糠部分の色素はポリフェノールの一種アントシアニン。体が老化する原因の一つ活性酸素の除去に役立ち、若さを保つ効果がある
問い合わせ先 株式会社 魚晃 蔵 TEL 0120-25-9681

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