Disaster Report 国内復興レポート

平成20年に発生した災害を振り返る — 被災地の復旧・復興状況と対策 —

昨年も、地震や水害など、多くの自然災害が発生しました。平成20年に発生した主な災害について現在までの復旧・復興状況を報告します。

平成20年(2008)岩手・宮城内陸地震

 6月14日8時43分頃、マグニチュード7.2、最大震度6強を記録した岩手・宮城内陸地震が発生。大規模な土砂崩れによる生き埋めなどで13人が亡くなり、いまだ10人が行方不明です。住家被害は、全壊33棟、半壊138棟、一部損壊2181棟です。
 宮城県栗原市では、計65戸の仮設住宅が建てられ、被災者は引き続き不便な生活を強いられています。仮設住宅を出られるのは、雪解け後の春先となる見通しです。岩手県一関市では小学校を利用した公民館の分館を改修して被災者の住居とし、今も2世帯11人が生活をしています。
 今後は、震災復興支援住宅を建設し、2月中旬頃に移る予定となっています。
 山間部を襲った今回の地震は、道路の崩壊や河道閉塞(天然ダム)の発生も被害の特徴です。幹線道路の復旧工事は順調に進められ、落橋した国道342号の祭畤(まつるべ)大橋は11月30日の正午に仮設橋が開通。祭畤地区までは通行できるようになりました。ただし、雪深い地域であるために、12月末にいったん工事は休止され、再開は4月の見通しです。水平方向に約300mも移動した荒砥沢ダム周辺の道路は、東の尾根筋の仮ルート建設に向けて、現在も調査が進められています。
 岩手・宮城県境の栗駒山周辺に発生した15カ所の河道閉塞については、仮排水路の施工が行われました。10月24日の降雨では湯ノ倉温泉地区の河道閉塞の水位が上昇して土砂浸食が起こり、仮排水路が被災したものの、11月20日に応急対策工事が終了しています。
 いまだ震災の傷跡は残るものの、年が明け、被災地では気持ちを新たに復旧・復興に向かっています。

今年行われた宮城県栗原市の成人式では、犠牲者を悼んで黙とうが行われた(写真提供:栗原市)

祭畤大橋の仮設橋。後ろは落橋した橋(写真提供:共同通信社)

2月23日から24日にかけての低気圧による被害

 2月23日から24日にかけて、日本付近は強い寒気が流れ込み、北日本から西日本にかけての広い範囲で暴風や暴風雪、周辺海域では6〜8メートルの大しけとなりました。この低気圧の影響で、北海道と山形県ではそれぞれ1人、富山県では2人が亡くなりました。また、北海道から広島県にかけての広い範囲で、重軽傷者89人、全半壊家屋20棟などの被害が発生しました。
 富山県下新川郡入善町では高波が発生。堤防を越えた波は住宅や水田を襲いました。家屋の全壊4棟、半壊7棟、床上・床下浸水119棟の被害が出ました。防波堤は破壊され、水田や井戸に海水が浸入し塩害を起こすなどの大きな被害となりました。復旧作業については、行政の支援や県内外からのボランティアの協力もあり、ライフラインの復旧や倒壊した家屋の撤去、消毒作業などは早い段階で行われ、現在では、ほとんどの世帯が通常の生活を送っています。被害の大きかった護岸施設の復旧工事は昨年11月に完了。第一堤防は従来より80cmかさ上げ。現在は第二堤防を建設中で、第一堤防で防ぎきれなかった波を住宅地に浸入させない役目を期待されています。

入善町芦崎海岸では、離岸堤や消波ブロックが数100mに渡って流され、砂地に散在した

護岸施設の復旧工事が終わり、整備された(写真提供:左右とも入善町)

局地的な大雨による被害

 昨年は局地的な大雨による被害が多発しました。7月28日、兵庫県神戸市では、都賀川に流され4人が亡くなり、河口付近では1人が遺体で発見されました。また、姫路市では落雷によって1人が亡くなりました。8月5日には東京都豊島区の下水管内で作業をしていた5人が流されて亡くなりました。「平成20年8月末豪雨」では、8月29日に愛知県岡崎市で1人が家の中で水死し、行方不明となっていた1人も31日に遺体で発見されました。一宮市では9月3日に用水路に転落して重傷を負った1人が亡くなりましたが、災害によるものかは確認中。
 被害を受けて、兵庫県と神戸市は、警報装置を設置することになりました。これは、大雨や洪水の注意報が発令されると、ラジオ電波を通じて、黄色い光が回転する回転灯です。現在、六甲山の南側を流れる県管理の12河川と市管理の3河川が予定されており、特に都賀川は今年度中の設置をめどに工事が進められています。親水施設では、「川で安全に遊ぶための注意事項」「橋の下での雨宿りは危険」など、誰にでも分かるような内容の看板に順次替えられていきます。その一方で、ソフト面での対策も実施。教育委員会が神戸の地形や気象のメカニズムをまとめた小中学校向けの防災教育の教材を作成し、昨年9月から随時、授業が行われています。また、都賀川周辺の自主防災組織に呼びかけ、大雨警報が出たときのパトロールも始められました。
 岡崎市では、床上浸水の被害を受けた被災者に防災ラジオを配布し、来年度からは、ほかの市民にも一部自己負担で提供する予定です。また、一、二級河川だけでなく中小河川にも監視カメラや警報装置の設置が検討されています。

岡崎市が配布している防災ラジオ(写真提供:岡崎市)

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