令和8年版 防災白書|特集 第3章 第4節 4-3 地震が起こったら


4-3 地震が起こったら

(1)身の守り方

緊急地震速報を見聞きした場合、地震の揺れを感じた場合にとるべき行動は、そのときの居場所によって異なる。例えば、

  • 家庭では、頭を保護し、丈夫な机の下などに隠れ、慌てて外に飛び出さず、無理をして火を消そうとしなくてよい
  • 人が大勢いる施設では、カバンなどで頭を保護し、割れ物の陳列棚から離れ、慌てて出口に走りださない
  • 屋外では、ブロック塀など倒れてきそうなもの、看板やガラス窓から離れ、頑丈なビルのそばにいる場合はビルの中に入る

など、生活の中の様々な場面を想定し、いざというときに適切な行動がとれるよう考えておくことが望ましい。

(2)情報収集・安否確認

災害時には身の安全を確保した上で的確な情報収集が必要となる。また、家族等が互いの安否を確認することも適切な行動につながる。災害時、電話などの音声通話に比べ、インターネット回線は比較的つながりやすい傾向にあり、情報収集や安否確認にはSNSやアプリが活用できる。

一方、SNSによるデマや偽情報の拡散には注意しなければならない。自分自身の不安を煽られるのみならず、救助活動や復旧の妨げになる事態も発生してしまう。インターネットの情報はすぐに鵜吞みにせず、真偽を冷静に判断する必要がある。政府や地方公共団体が運営する公式アカウントなど確かな情報の入手ルートを確保しておくことが重要である。

(3)帰宅困難者対策について

大きな地震が起こると、鉄道が運行を停止するなど公共交通機関の運行に支障が生じるほか、道路も大渋滞することになる。このため、地震が平日の日中に起こった場合、鉄道等に乗って通勤・通学している人は帰宅することが困難になるおそれがある。このようなときは、「むやみに移動を開始しない」という「一斉帰宅抑制」を実施することが重要である。

特に発災後72時間は、救命・救助活動や消火活動などの応急活動にとって重要であり、このときに帰宅を急ぐ人が道路にあふれて緊急車両の通行が妨げられると、救える命が救えなくなるおそれがある。また、群集事故などの二次被害に巻き込まれるリスクもあることから、会社や学校にとどまることができる人は、「一斉帰宅抑制」に御協力いただきたい。また、観光や買い物等で外出している人は、「一時滞在施設」にとどまるようにしていただきたい。

また、遠距離を徒歩で帰宅する場合は、「災害時帰宅支援ステーション」に立ち寄るなどして災害情報を確認したり、休憩を取ったりするなど無理をしないように心掛けることも重要である。普段から歩きやすい靴や服装、行動食、会社や学校から自宅までの経路を確認できる地図等を準備しておくことが望ましい。さらに、夏や冬に地震が起こることも想定し、季節に応じて暑さ対策や寒さ対策にも気を配るようにしたい。落ち着いて行動できるように、家族等の安否を確認する方法について、あらかじめ家族等で話し合っておくことも重要である。デマや流言に惑わされることがないよう、情報の発信元を確認するなどの対応も必要になる。

なお、「一時滞在施設」や「災害時帰宅支援ステーション」は、各施設の善意に基づいて開設されるものであることも踏まえ、利用時には、各施設や他の利用者の迷惑とならないような配慮も求められる。

鉄道などの公共交通機関が運転を再開して帰宅できるようになったときも、一斉に帰宅を開始するのではなく、会社や学校内で帰宅を開始する時間帯や方面を分散させる「分散帰宅」を実施することで、再開した公共交通機関が運転を維持しやすくなり、新たな混乱の防止にもつながる。なお、分散帰宅を実施した場合の方が、一斉に帰宅を開始した場合よりも、より多くの人がより早く帰宅できるとされている。

(参照:https://www.bousai.go.jp/jishin/kitakukonnan/index.html

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東日本大震災時の横浜駅周辺の様子
東日本大震災時の横浜駅周辺の様子
出典:横浜駅周辺地区 都市再生安全確保計画
災害時帰宅支援ステーションのロゴマーク
災害時帰宅支援ステーションのロゴマーク
(4)津波避難について

津波による人的被害を軽減するためには、住民一人一人が迅速に安全な場所に避難することが重要である。避難に際しては、家屋の倒壊や落下物、道路の損傷、渋滞・交通事故等が発生するおそれがあることから、徒歩避難を原則としている。

一方、令和7年7月30日に発生したカムチャツカ半島東方沖を震源とする地震による津波や、同年12月8日に発生した青森県東方沖を震源とする地震による津波では、自動車避難による交通渋滞の発生が報じられるなど避難の在り方については課題が残っている(図表4-3-1)。

指定緊急避難場所までの距離や要配慮者の存在など、地域の実情によっては自動車で避難せざるを得ない場合もある。その場合でも、交通渋滞等による逃げ遅れが生じないようにするため、各地域において、自動車利用の基準や避難経路の確保、駐車スペースの拡充など、あらかじめ安全に避難できる方策を検討しておくことが重要である。

津波は、水深10m程度であれば時速約36kmと自動車並みの速さで襲ってくると言われている。いざという時に困らないよう、事前にできる準備をしっかりと行うとともに、平時から避難訓練を実施し、避難に際しての課題を把握しておくことが、円滑な避難につながる。

図表4-3-1 カムチャツカ半島付近の地震に伴う津波に関する住民調査(令和7年11月内閣府)
図表4-3-1 カムチャツカ半島付近の地震に伴う津波に関する住民調査(令和7年11月内閣府)

また、カムチャツカ半島東方沖を震源とする地震による津波からの避難に際しては、避難時及び避難先での熱中症対策が課題となった。津波からの避難は一刻を争うため、熱中症対策を行ってから避難すると、逃げ遅れにつながる可能性がある。普段から外出時に熱中症対策を心掛けるとともに、避難先でも水分補給ができるよう備蓄を整えるなど、暑さ・寒さへの対策についても事前に準備しておくことが重要である。


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