第3節 企業に期待する防災対策
3-1 事業継続の取組の必要性
大規模災害が発生し企業の事業活動が停滞した場合、その影響は当該企業にとどまらず、サプライチェーンの途絶などにより、関係取引先や地域経済、ひいては我が国全体に多大な影響を与えるおそれがある。そのため、大規模災害等の発生時における企業の事業活動の継続を図ることは、極めて重要である。
内閣府では、企業の事業継続計画(Business Continuity Plan、BCP)の策定を促進するため、平成17年にガイドラインを策定し、本ガイドラインに沿ったBCPの策定を推奨している。
BCPとは、地震・台風等の自然災害のみならず、感染症の蔓延、テロ等の地政学リスク、サイバー攻撃、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など、不測の事態が発生したとしても、重要業務を中断させない、または中断しても可能な限り短時間で復旧させるための方針、体制、手順等を示した計画を指すものである。
また、BCP策定や維持・更新、事業継続を実現するための予算・資源の確保、事前対策の実施、取組を浸透させるための教育・訓練、点検、継続的な改善などを行う平時からのマネジメント活動は、事業継続マネジメント(Business Continuity Management、BCM)と呼ばれ、経営レベルの戦略的活動として位置付けられるものである。
初動段階において必要な対応として、従業員や来訪者の人命を守ることが挙げられる。耐震化や避難体制の整備、安否確認手段の確保など、平時からの備えが適切になされているか否かは、災害時の被害の大きさを左右する。さらに、企業が保有する設備・データ・在庫といった経営資産を守ることも、事業の早期再開に向けて不可欠である。これらの資産が失われ、復旧に長期間を要すれば、結果として雇用や取引先、更には地域経済にも深刻な影響を及ぼす。
くわえて、発災後に事業を継続し、早期に復旧できるか否かは、企業自身の存続のみならず、雇用の維持、取引関係の継続及び地域住民の生活支援といった地域経済全体の回復力を大きく左右する。企業一社一社の備えが積み重なることで、地域経済は災害に対する強靱性を高め、社会全体の早期復旧につながる。事前防災への取組に加え、BCPは、災害時の「備え」にとどまらず、地域経済を支える基盤として、その重要性が一層高まっている(図表3-1-1)。

