令和8年版 防災白書|特集 第3章 第2節 2-2 行政機能の維持


2-2 行政機能の維持

(1)国(中央省庁)の業務継続

首都直下地震の発生により政府機関等の業務継続に支障が生じた場合、情報の収集・分析が円滑に行われず、災害対応に必要な措置が遅れるほか、政府の緊急災害対策本部からの指示等が円滑に実施されないことにより、消火活動や救急救命活動の遅れを招き、多くの人命が危険にさらされるおそれがある。また、膨大な被災者への対応や国民生活、企業活動にも大きな支障が生じ得る。このため政府は、首都直下地震発生時においても、首都中枢機能を維持し、国民生活及び国民経済への影響を最小化するため、行政中枢機能の継続性を確保する業務継続体制の構築を進めている。

首都直下地震発生時に政府が維持すべき必須機能としては、「内閣機能」、「被災地域への対応」、「金融・経済の安定」、「国民の生活基盤の維持」、「防衛及び公共の安全と秩序の維持」及び「外交関係の処理」がある。政府は、これらに該当する非常時優先業務を円滑に実施するための対応方針を定めるとともに、必要な執行体制・執務環境等を確保するため、政府業務継続計画を策定している。

また、各府省等は政府業務継続計画に基づき、上記6機能に該当する所掌事務を非常時優先業務として位置付け、これに必要な執行体制・執務環境等を定める業務継続計画を作成し、継続的に見直しているほか、関係機関(他省庁、都道府県、市町村、民間事業者など)と連携して非常時優先業務に係る横断的な訓練を行うなど、実効性の確保に努めている。

さらに、各府省等における執行体制・執務環境の確保の具体的な方策として、非常時の参集要員の確保、庁舎の耐震安全性等、電力や通信・情報システムの確保等の取組を行っている。また、発災時から1週間又はそれ以上の間、電力や上下水道等のライフラインに機能支障が出る事態を想定し、非常用発電設備及び1週間分の燃料の確保並びに参集要員の1週間分の物資の備蓄等を行っている。

くわえて、首都直下地震等の大規模災害時にも政府が業務を継続できるよう、行政中枢機能のバックアップ体制の整備は重要である。このため、総理大臣官邸や中央省庁の庁舎の全部又は一部が使用できなくなるという事態、さらには東京圏において首都中枢機能の維持が困難となる最悪の事態も想定し、政府の代替拠点について事前の検討を推進する必要がある。

(2)地方公共団体の業務継続

地方公共団体は、災害時に応急対策業務等の主体として重要な役割を担う上、被災後も継続して実施すべき通常業務を有する。このため、地方公共団体は、災害時に優先して実施すべき業務の整理を行い、必要な人員や参集体制等を明確にした業務継続計画を策定して業務継続性の確保を図るとともに、定期的な訓練等の結果を踏まえて計画を改定することで、実効性の向上に努めている。

また、地方公共団体は、広域的な被災を想定し、近隣のみならず遠方の地方公共団体から応援を受け入れるための体制を、平時から構築することが重要である。このため、地方公共団体は、国や他の地方公共団体等からの応援職員等を迅速・的確に受け入れて情報共有や各種調整等を行えるよう、受援計画を策定し、受援体制の整備を進めている。


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