第2章 今後想定される大規模地震・津波の被害規模・様相
第1節 千島海溝地震、日本海溝地震
1-1 千島海溝地震、日本海溝地震とは
東日本では太平洋プレートが日本列島の下に沈み込み、深い海溝を形成している。択捉島沖から十勝沖の海溝は「千島海溝」、青森県東方沖から房総沖の海溝は「日本海溝」と呼ばれ、マグニチュード7を超える地震が何度も発生してきた。
これらの地域では、「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策推進基本計画」(平成18年3月中央防災会議決定)等に基づき防災対策が推進されてきたが、平成23年にマグニチュード9.0の東日本大震災が発生し、甚大な被害をもたらした。
この地震を受けて、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大な地震・津波を含めた被害想定を行い、今後の防災対策を検討するため、中央防災会議防災対策実行会議の下に、「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループ」が設置され、令和4年3月に最終報告書が発表された。
津波堆積物の調査結果から、東日本大震災の震源域より北側の北海道から岩手県の太平洋沿岸地域では、約300~400年の間隔で巨大津波が発生してきた可能性があり、最後の発生が17世紀であったことから、巨大地震・津波の発生が切迫している状況にあると推測されている。
被害想定を行うに当たっては、海域で発生した津波は、震源域に面した海岸で大きくなる特性を考慮して、千島海溝沿い及び日本海溝沿いのそれぞれで被害が甚大になると推測される地震を設定した。 過去6,000年間の津波堆積物から推定される最大クラスの津波を引き起こす地震として、北海道東部の太平洋沿岸(根室・十勝沖)を震源とする「千島海溝地震」、それ以西及び東北地方の太平洋沿岸(日高・三陸沖)を震源とする「日本海溝地震」が想定された。いずれもマグニチュード9クラスの巨大地震である。
