令和8年版 防災白書|特集 第1章 第1節 1-2 地震に伴う津波の発生


1-2 地震に伴う津波の発生

海域で規模の大きな地震が発生すると、海底には大きな地殻変動が生じる。その地殻変動に伴って、真上の海水が盛り上がったり沈降したりする。この海水の変動が津波になる(図表1-2-1)。また、津波は海域の地震によるものだけでなく、海底火山の噴火、海底の地すべり、海岸付近での大規模な崩壊などによっても生じる。

津波には、陸地に近づき水深が浅くなると、速度が遅くなるかわりに波高が急激に高くなるという性質がある。しかし、速度が遅くなるといっても、例えば陸地付近の水深約10mの場所では時速40km近くになる。また、波高は地震の規模・水深だけではなく、海底地形や海岸線の形に大きく影響を受け、湾や岬の形状などによっては更に津波が高くなることがある。

図表1-2-1 津波の発生の仕組み
図表1-2-1 津波の発生の仕組み
【コラム】
南海トラフ地震の早期検知・情報伝達に向けて

地震大国である日本の海域においては、平成23年に発生した東日本大震災を受け、北海道沖から房総半島沖に「日本海溝海底地震津波観測網(S-net)」が整備・運用されてきた。

発生が懸念される南海トラフ巨大地震の想定震源域では、紀伊半島沖から室戸岬沖に「地震・津波観測監視システム(DONET)」が整備・運用されてきた。西側の高知県沖から日向灘においては、令和元年から「南海トラフ海底地震津波観測網」(以下「N-net」という。)の構築を進め、令和6年7月に沖合システム、令和7年6月に沿岸システムの整備を完了し、10月から全システムの運用を開始した。

N-netの観測によって地震動を最大20秒程度、津波を最大20分程度早く直接検知することが可能となり、地震や津波から身を守るための時間が長くなることが期待される。観測データはリアルタイムで気象庁やJR西日本等に配信され、緊急地震速報や津波情報、地震発生時における山陽新幹線の列車制御等に活用されている(令和8年4月1日現在)。

このほか、地震や津波の即時予測・長期評価の高度化や地震発生のメカニズム解明、被害の想定や対策に資する研究開発の進展が期待されている。

また、令和6年8月8日に日向灘を震源とする地震(最大震度6弱)が発生した際には、試験運用中のN-net沖合システムで観測した地震・津波のデータが、政府の地震調査研究推進本部における地震の評価に活用された。


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