令和8年版 防災白書|特集 第1章 第1節 1-1 地震の起こる仕組み


第1章 地震・津波災害の概要

第1節 地震・津波のメカニズム

1-1 地震の起こる仕組み

地震は、地下の岩盤に力が加わり、ある面(断層面)を境にして両側の岩盤がずれ動く断層運動という形で発生する。プレートの運動により岩盤中に蓄積されたひずみのエネルギーは、急激な断層運動によりその一部が地震波となって放出される(図表1-1-1)。日本列島の周辺には、複数のプレートが存在し、プレート境界付近では岩盤中に大きなひずみが蓄えられるために、日本では多くの地震が発生する。日本列島やその周辺で発生する地震は、発生する場所や発生の仕方によって、「プレート間地震」、「沈み込むプレート内の地震」、「陸域の浅い地震」、「火山活動に伴う地震」などのタイプに分けられる。

図表1-1-1 地震の発生の仕組み
図表1-1-1 地震の発生の仕組み
(1)プレート間地震

日本列島の太平洋側の海底には、日本海溝や南海トラフといった、いくつもの海溝やトラフと呼ばれる深い溝状の地形が連なっている。ここでは、海のプレートが陸のプレートの下に沈み込んでいる。海のプレートが陸のプレートの下に沈みこむ際、陸のプレートの先端部も一緒に引きずり込まれる。陸のプレートと海のプレートが接する部分がひずみに耐え切れなくなると、そこを巨大な断層面として陸のプレートの先端が跳ね上がるような断層運動が起き、地震が発生する(図表1-1-2)。これを「プレート間地震」という。例として、大正12年(1923年)の関東地震(M7.9)、昭和19年(1944年)の東南海地震(M7.9)、昭和21年(1946年)の南海地震(M8.0)、平成15年(2003年)十勝沖地震(M8.0)、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)(モーメントマグニチュード9.0)がある。

図表1-1-2 プレート間地震の発生の仕組み
図表1-1-2 プレート間地震の発生の仕組み
(2)沈み込むプレート内の地震

プレート境界付近では、プレートの内部で大規模な断層運動が起こり、地震が発生することがある(図表1-1-3)。このような地震を「沈み込むプレート内の地震」という。このタイプの地震が被害をもたらした例として、昭和8年(1933年)の三陸沖地震(M8.1)や平成5年(1993年)釧路沖地震(M7.5)がある。

図表1-1-3 沈み込むプレート内の地震の発生の仕組み
図表1-1-3 沈み込むプレート内の地震の発生の仕組み
(3)陸域の浅い地震

日本列島が位置する陸のプレートでは、プレート運動による間接的なひずみが岩盤に蓄積され、地下数kmから20km程度までの比較的浅い部分で断層運動が起こり、地震が発生する(図表1-1-4)。このような地震を「陸域の浅い地震」という。陸域の浅い地震には、活断層で発生する地震もあり、地表で認められる活断層は、地下の断層運動のずれが地表まで達するような、規模の大きな地震を過去に繰り返し発生させてきたと考えられる。

図表1-1-4 陸域の浅い地震の発生の仕組み
図表1-1-4 陸域の浅い地震の発生の仕組み

陸域の浅い地震は、私たちが生活する直下の浅いところで起こるため、平成7年(1995年)兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)(M7.3)や、平成28年(2016年)熊本地震(M6.5、M7.3)のように、強い揺れによって甚大な被害がもたらされることがある。また、令和6年1月1日に能登半島で発生した地震(M7.6)のように、沿岸域の活断層で発生した場合には、強い揺れによる被害だけではなく、津波による被害がもたらされることがある。

(4)火山活動に伴う地震

東北や南関東、九州などには多数の火山が連なっている。これらの火山群の周辺では、火山活動に伴って岩盤の浅い部分に局所的に力が働き、中小規模の地震の発生が多く見られる(図表1-1-5)。大正3年(1914年)に発生した鹿児島県の桜島の大噴火に伴う桜島地震(M7.1)は、この種の地震としてはまれに見る規模の大きな地震であった。

図表1-1-5 火山活動に伴う諸現象と地震活動
図表1-1-5 火山活動に伴う諸現象と地震活動

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