4-2 防災施設設備の整備
(1)治山事業の推進
(再掲 第2章2-2(9))
農林水産省においては、森林の有する公益的機能の維持増進を通じて、安全で安心して暮らせる国土づくりを図るため、治山施設の整備等を推進する(後掲 第2章5-2(2)、6-2(3)、第3章2)。
(2)海岸保全施設の整備
(再掲 第2章2-2(11)、3-2(4))
農林水産省及び国土交通省においては、国土保全上特に重要な地域において、避難体制の充実・強化などソフト面の対策を組み合わせた総合的な対策を推進している海岸等における高潮、波浪、侵食対策等を重点的に実施する(後掲 第3章5)。
(3)総合的な農地防災対策
農林水産省においては、農村地域の防災力の向上を図るため、農業用ため池の防災・減災対策、農地等の湛水防除、地すべり防止対策など総合的な対策を推進する。
(4)盛土の安全確保対策の推進
(再掲 第2章2-2(15))
(5)建設機械の整備
国土交通省においては、風水害の災害対策に必要な機械を整備する。
(6)河川・ダム・道路管理用情報通信設備の整備
国土交通省においては、雨量、水位、路温等の水文・道路気象テレメータや、ダム等の放流警報設備、監視カメラ設備、雨量を高精度かつリアルタイムに捉えるMP(マルチパラメータ)レーダ雨量計等の整備を行うとともに、各部局及び地方公共団体が保有するデータの共有を推進する。また、東日本大震災、紀伊半島大水害、関東・東北豪雨等を踏まえた、情報通信設備の耐震対策、津波・洪水による浸水対策、停電対策等を実施する。
(7)土砂災害の防止
国土交通省においては、人家や公共建物を保全する砂防設備、地すべり防止施設の整備を推進するとともに、都道府県が実施する急傾斜地崩壊防止施設等の整備を支援する。
(8)道路における防災対策
国土交通省においては、大規模災害への備えとして、高規格道路の未整備区間の整備及び暫定2車線区間の4車線化、高規格道路と代替機能を発揮する直轄国道とのダブルネットワークの強化等を推進するとともに、災害時の交通機能を最大限活用するためのインフラ整備や道路構造令等の見直し等を推進する。また、渡河部の橋梁や河川に隣接する道路構造物の流失防止対策や法面・盛土の土砂災害防止対策を推進する。さらに、危険箇所等の調査方法の高度化に向けた取組を実施する。
(9)港湾における高潮・高波対策の推進
国土交通省においては、激甚化・頻発化する台風に伴う高潮・高波による港湾内の被害軽減を図るため、最新の設計沖波等で照査した結果を踏まえ、港湾施設の嵩上げ・補強等を推進する。
(10)「協働防護」による港湾における気候変動適応
国土交通省においては、様々な関係者が集積する港湾において気候変動への適応を図るため、すべての関係者が気候変動への適応水準や適応時期に係る共通の目標等を定めるとともに、協定等に基づきハード・ソフト一体の各種施策を進める「協働防護」を推進する。
「協働防護」の推進にあたっては、気候変動に対する共通の目標等を定める「協働防護計画」作成のための港湾管理者への補助や一定の基準を満たす民有護岸の嵩上げ等に対する固定資産税の特例措置をはじめとした支援を行う。
(11)下水道における浸水対策
国土交通省においては、都市化の進展や下水道の計画規模を大きく上回る集中豪雨の多発に伴う雨水流出量の増大に対応して、都市における安全性の確保を図るため、主として市街地に降った雨水を河川等に排除し、浸水被害を防止することを目的とした雨水幹線や貯留浸透施設等の下水道の整備を推進する。あわせて、内水ハザードマップの作成・公表や下水道の水位情報の提供等のソフト対策、また、住民自らの取組による自助を組み合わせた総合的かつ効率的な浸水対策を推進し、施設の計画規模を上回る降雨に対して被害の最小化を図る(後掲 第3章9)。
(12)風水害に強いまちづくりの推進
国土交通省においては、風水害に対する都市の防災性向上のための根幹的な公共施設の整備として、次の事業を実施する。
- 避難地、避難路、帰宅支援場所及び防災活動拠点となる都市公園の整備
- 避難路として活用される道路等における街路事業の実施
- 避難地・避難路の整備を都市の防災構造化と併せて行う土地区画整理事業の実施
- 避難地として活用される都市公園予定地等の取得を行う地方公共団体に対する都市開発資金の貸付け
風水害に強い都市構造の推進として、次の事業を実施する。
- 台風や洪水による風水害が想定される防災上危険な市街地における都市防災総合推進事業の実施
- 土地の嵩上げや避難路として活用される道路の整備等による防災性の向上に資する都市再生区画整理事業の実施
- 都市構造再編集中支援事業等を活用した災害時要援護者関連施設(病院、老人デイサービスセンター等)の移転や耐震性貯水槽、備蓄倉庫、避難空間等の整備の実施
- 事前復興まちづくり計画等に基づき行われる、防災拠点の形成に必要なインフラ整備の実施
- 土地が持つ雨水貯留浸透機能を活用したグリーンインフラの取組の実施
- 災害時に都市の機能を維持するための拠点市街地の整備の実施
- 都市・地域交通戦略推進事業を活用した、多くの人々が集まる駅・駅前広場と周辺地区等における防災力に資する整備の実施
(13)空港における浸水対策
国土交通省においては、空港における高潮・高波・豪雨等による大規模災害に備えるため、護岸の嵩上げや排水機能の強化等の浸水対策を実施する。
(14)港湾における走錨対策の推進
国土交通省においては、令和元年房総半島台風等で発生した走錨事故を踏まえ、港内避泊が困難な港湾や混雑海域周辺の港湾等において、避泊水域確保のための防波堤等の整備を推進する。
(15)港湾等の漂流物対策の推進
国土交通省においては、令和3年8月海底火山「福徳岡ノ場」の噴火による軽石により航路等が埋塞したことも踏まえ、船舶の航行安全に資するよう、漂流物の回収体制の強化を推進する。
(16)住宅・建築物の風水害対策等の促進
国土交通省においては、風水害に対する住宅や建築物の防災性向上のため、水害からの一時避難場所整備を促進するための支援及び住宅・建築物の風水害対策のための改修支援に関する事業を実施する。