第3章 令和6年度に発生した主な災害
我が国は、その自然的条件から各種の災害が発生しやすい特性を有しており、毎年のように水害・土砂災害、地震・津波等の自然災害が発生している。近年では、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震や平成28年(2016年)熊本地震、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風、令和2年7月豪雨、令和3年7月1日からの大雨、令和4年台風第14号、令和6年能登半島地震等の大規模な災害が発生している。令和6年においては、令和6年7月25日からの梅雨前線による大雨、日向灘を震源とする地震、令和6年台風第10号、令和6年9月20日からの大雨等により全国各地において被害が発生した。なお、令和6年9月20日からの大雨に係る災害については特集で取りまとめている。
第1節 令和6年7月25日からの梅雨前線による大雨等による災害
(1)概要
令和6年7月23日頃から梅雨前線が日本海から北日本に伸び、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、東北地方の日本海側を中心に北日本から西日本で大雨となり、山形県では25日に線状降水帯が発生するなど、山形県と秋田県で非常に激しい雨や猛烈な雨が断続的に降った。大雨による重大な災害の起こるおそれが著しく高まったため、気象庁は山形県を対象に25日の昼過ぎと夜遅くの2回大雨特別警報を発表した。23日から26日にかけての総降水量は、山形県の庄内や最上を中心に400mmを超え、平年の7月の月降水量を大きく上回った所があったほか、複数の地点で24時間降水量や72時間降水量などの観測値が観測史上1位を更新するなど、記録的な大雨となった。
(2)被害状況
令和6年7月25日からの梅雨前線による大雨等により、東北4県において国・県管理の37河川が氾濫し、浸水被害が発生した。これらにより、死者は5名(秋田県2名、山形県3名)、軽傷者は5名(秋田県1名、山形県4名)となった。住家被害は、全壊が25棟、半壊・一部破損が593棟、床上・床下浸水が1,521棟となった(消防庁情報、令和7年3月24日現在)。また、水道については秋田県と山形県で最大断水戸数2,805戸、電力については全国各地で停電が発生し、東北電力ネットワーク株式会社管内で最大停電戸数が約6,600戸に及ぶなど、ライフラインにも被害が発生した。
(3)政府の対応
政府は、令和6年7月25日13時05分に官邸連絡室を設置し、同日13時45分に関係省庁災害警戒会議を開催した。その後、26日0時58分に官邸連絡室は官邸対策室に改組され、関係省庁の局長級による緊急参集チームが招集された。同日15時15分に関係省庁災害対策会議を開催した。
8月21日には松村内閣府特命担当大臣(防災)(当時)が秋田県と山形県の被災現場を視察した。
災害救助法については、秋田県と山形県の26市町村に適用され、被災者生活再建支援法については、山形県の3市町村に適用された。また、激甚災害の指定については、6月8日から7月30日までの間の豪雨による災害として、9月6日に指定政令の閣議決定を行い、同月11日に公布・施行された。