2-2 地方公共団体の首長、職員に対する研修内容の充実
迅速かつ的確な災害対応は、地方公共団体の首長や防災担当職員の知識と経験によるところが大きい。このため、内閣府においては「危機事態に迅速・的確に対応できる人」や「国・地方のネットワークを形成できる人」を目指すべき人物像とした人材育成を行うために、平成25年度から地方公共団体の職員等を対象とする「防災スペシャリスト養成」に資する研修を企画・運営している。
令和6年度は、法令制度等の防災基礎から指揮統制等の防災マネジメントに至る防災業務全般の知識・技術を習得する「有明の丘研修」を、9月から11月期と12月から3月期にオンデマンド形式の座学と集合形式(対面)の演習で実施した。なお、令和6年度は、一部コースで職位別演習を実施するとともにテスト内容を見直すなど、より知識を習得・定着できるようにした。
また、地域特性による災害対応の課題を踏まえた地域防災力の向上を目的とし、都道府県及び内閣府の共催で実施している「地域研修」を全国6か所で実施した。なお、令和6年度は、地域のニーズが多い研修テーマに関する「標準カリキュラム(案)」を作成するとともに次年度の募集時期を大幅に前倒しするなど、より都道府県が応募しやすいものとした。
くわえて、災害対応の現場で防災業務を行う応援職員等が、短時間に担当業務の基礎的な知識を習得するための「災害対応eラーニング」については、令和6年8月に「遺体の取扱い」を公開するとともに、引き続き、「避難所開設・運営」、「住家被害認定調査・罹災証明書交付」、「避難情報の判断・伝達」、「災害廃棄物処理」の4テーマの運用を行った。
これら研修の企画・運営に当たっては、防災関連の有識者からなる「防災スペシャリスト養成」企画検討会を開催し、社会情勢・ニーズ等を踏まえた助言を勘案しながら研修内容等の見直しと拡充を図った。
大規模な災害発生時は、地方公共団体の首長や危機管理・防災責任者等が国や他の地方公共団体等と密接に連携しながら迅速かつ的確な災害対応を図る必要がある。このため、全国の市区長・町村長を対象とした「全国防災・危機管理トップセミナー」を内閣府及び消防庁の共催で実施し、災害発生時に十分なリーダーシップを発揮し、災害危機管理における対応力の向上に資する支援を行った。また、都道府県の部局長・危機管理監等を対象とした「防災・危機管理特別研修」や市町村の危機管理・防災責任者を対象とした「自治体危機管理・防災責任者研修」を内閣官房、内閣府及び消防庁の共催で実施し、初動対応や災害対応の各フェーズで必要となる知識・技術を深め、平時から「顔の見える関係」の構築を図った。