第3章 今後の防災対策に向けて
令和6年能登半島地震による被災地の復旧・復興支援はいまだ途上であり、今後も継続的に取り組んでいく必要がある。一方、今般の災害から得た経験、教訓を踏まえて、災害対応を不断に見直していくことが重要であり、令和6年能登半島地震においても、一連の災害対応を振り返る中で浮かび上がった課題を乗り越える方策や、災害対応上有効と認められる新技術等を洗い出し、初動対応・応急対策を強化するための措置等について、今後の対策に反映する必要がある。
このため、令和6年能登半島地震における地方公共団体支援、避難所運営、物資調達・輸送などの発災後の災害応急対応について、対応に当たった職員の経験を収集し、整理するため、内閣官房副長官補を座長とし、関係府省庁の幹部級職員を構成員とする「令和6年能登半島地震に係る検証チーム」を開催した13。
本検証チームでは、今回の災害応急対応について評価できる点と改善すべき点を抽出し、現在も復旧等に向けた取組が行われている被災地を含め、今後の災害対応に活かしていくことを目的として、点検作業を行うこととしている。点検の対象とする災害応急対応として、「令和6年能登半島地震被災者生活・生業再建支援チーム」を立ち上げて各府省庁が連携して対応した地方公共団体支援、避難所運営及び物資調達・輸送の3分野のほか、半島という地理的制約の中で、これまでの災害対応と比較しても困難な状況の下、初動対応・応急対策に大きく貢献したスタートアップの新たな技術にも焦点を当てることとした。
令和6年能登半島地震から得られた経験・教訓については、本検証チームの自主点検に加え、有識者を交えた検討を行い、制度面や運用面での改善につなげ、今後の災害対応に活かしていくこととしている。
災害時におけるインターネット上の偽・誤情報対策
災害時におけるインターネット上の偽・誤情報の流通・拡散は、迅速な救命・救助活動や円滑な復旧・復興活動等の妨げになりかねないものであり、また犯罪にもつながり得るものであることから、救命・救助、復旧・復興などの対応と併せて、当該問題への対応は重要である。
令和6年能登半島地震においては、「不審者・不審車両への注意を促す不確実な投稿」「存在しない住所が記載されるなど、不確かな救助を呼びかける投稿」といった真偽の不確かな投稿が流通したと指摘されている。総務省では、SNSの活用等により、偽・誤情報に惑わされないよう注意喚起を行っているほか、主要なSNS等のデジタルプラットフォーム事業者に対して、明らかに事実と異なり、社会的に混乱を招くおそれのある情報の削除など、利用規約等を踏まえた適正な対応をとっていただくよう総務省を通じて要請を行った。
また、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」において、「被災地におけるネット上の偽・誤情報対策」として、被災地の住民を始めとする国民の皆様に対する様々な広報手段を複層的に組み合わせた注意喚起の実施、偽・誤情報対策に係る技術の活用などの施策を推進している。
なお、総務省では、「デジタル空間における情報流通の健全性確保のあり方に関する検討会(座長:宍戸常寿 東京大学大学院法学政治学研究科教授)」において、国際的な動向を踏まえつつ、表現の自由をはじめとする様々な権利・利益に配慮しながら、デジタルプラットフォーム事業者を含む幅広い関係者の意見を踏まえて、総合的な対策を検討しているほか、啓発教育教材「インターネットとの向き合い方~ニセ・誤情報に騙されないために~」を作成・公表している。
(参照:総務省ホームページ https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/nisegojouhou/)

(参照:総務省ホームページ https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/fakenews/)

(参照:政府広報オンラインお役立ち記事 https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5920.html)

(参照:政府広報オンラインX https://x.com/gov_online/status/1749982855172595722?s=46)

13 内閣府ホームページ「令和6年能登半島地震に係る検証チーム」
(参照:https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/kensho_team.html)
