第1章 御嶽山噴火から10年、教訓を踏まえた火山防災対策について
長野県と岐阜県にまたがる標高3,067mの御嶽山は、活火山としては富士山に次ぎ日本で二番目の高さを誇る。古くから、信仰の対象とされてきた霊山であるとともに、「日本百名山」にも選ばれ、その眺望の良さから多くの登山客に親しまれてきた山である。
平成26年(2014年)9月27日午前11時52分、この日は久しぶりの好天に恵まれた、紅葉が最盛期の週末で、また、お昼時でもあったことから、御嶽山の山頂付近は多くの登山者で賑わっていた。そこに突如として水蒸気噴火が発生し、死者・行方不明者63名に上る人的被害をもたらした。被災者の救助・救出活動は、10月16日までの20日間にわたり、延べ1万5千余名の人員によって行われた。
本章では、御嶽山噴火直後の状況や救助・救出活動について改めて振り返り、その後の火山防災対策、そして登山者や観光客等に求められる備えについて述べる。
図表1-1 御嶽山の位置及び山頂部地図
第1節 御嶽山噴火を振り返る
長野県が取りまとめた「長野県御嶽山噴火災害対応記録集」に基づき、噴火直後の状況や救助・救出活動の記録について以下のとおり整理した。