第2節 令和5年台風第6号による災害
(1)概要
令和5年7月28日にフィリピンの東で発生した台風第6号は、8月2日から3日にかけて、大型で非常に強い勢力で沖縄地方にかなり接近した。その後、西へ進み、東シナ海でほとんど停滞した後、4日は進路を東へ変え、ゆっくりとした速度で5日から6日にかけて再び沖縄・奄美に接近した。7日には進路を北に変え、9日には九州の西の海上を北上し、10日に朝鮮半島で温帯低気圧に変わった。
7月30日から8月11日にかけての総雨量は、沖縄・奄美では多い所で700mmを超える大雨となり、平年の8月の月降水量の4倍を超えたほか、台風接近前から雨が降り続いた九州南部や四国地方では、多い所で1,000mmを超える大雨となり、平年の8月の月降水量の2倍を超えた地点があった。沖縄県、鹿児島県、熊本県、宮崎県、大分県、愛媛県及び高知県では線状降水帯が発生した。
沖縄地方では最大瞬間風速が50m/sを超え、8月の観測史上1位の値を更新した地点があったほか、再接近時にも暴風となり、台風の影響が長く続いた。8日以降は、台風の北上に伴い九州や四国地方を中心に風が強まり、九州南部では40m/sを超える最大瞬間風速を観測した地点があった。
(2)被害状況
令和5年台風第6号により、沖縄県を含む5県において土砂災害が発生したほか、鹿児島県等で県管理の9河川で氾濫が発生。これらにより、死者は1名(沖縄県)、重傷者は7名、軽傷者は96名となった。住家被害は、全壊が5棟、半壊・一部破損が273棟、床上・床下浸水が145棟となった(消防庁情報、令和6年3月6日現在)。また、沖縄電力管内で最大215,800戸の停電が発生し、台風の影響が長引き、停電復旧まで1週間程度を要した。
(3)政府の対応
政府は、令和5年7月31日15時45分に官邸に情報連絡室を設置し、関係省庁災害警戒会議を開催した。また、8月3日15時45分には関係省庁災害対策会議を開催し、同月7日までに同会議を計2回開催した。また、8月4日には谷内閣府特命担当大臣(防災)(当時)と玉城沖縄県知事との災害対応協議を実施した。
8月7日には離島の停電復旧のため、海上保安庁や自衛隊が、渡嘉敷島や伊是名島へ航空機にて資機材及び人員等の搬送を実施した。
「災害救助法」については、沖縄県の34市町村に適用された。