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令和6年版 防災白書|第1部 第3章 第1節 令和5年梅雨前線による大雨等に係る災害


第3章 令和5年度に発生した主な災害

我が国は、その自然的条件から各種の災害が発生しやすい特性を有しており、毎年のように水害・土砂災害、地震・津波等の自然災害が発生している。近年では、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震や平成28年(2016年)熊本地震、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風、令和2年7月豪雨、令和3年7月1日からの大雨、令和4年台風第14号等の大規模な災害が発生している。令和5年度においても、令和5年梅雨前線による大雨等、令和5年台風第6号、令和5年台風第7号、令和5年台風第13号、令和6年能登半島地震等により全国各地において被害が発生した。なお、令和6年能登半島地震については特集2で取りまとめている。

第1節 令和5年梅雨前線による大雨等に係る災害

(1)概要

令和5年5月31日から6月2日にかけて台風第2号が沖縄地方にかなり接近した。台風により、沖縄・奄美では大雨となった所があり、非常に強い風が吹いて、海上は猛烈なしけとなった。また、梅雨前線が1日から3日午前中にかけて本州付近に停滞した。前線に向かって台風周辺の非常に暖かく湿った空気が流れ込んだため、2日には前線の活動が活発になった。西日本から東日本の太平洋側を中心に大雨となり、高知県、和歌山県、奈良県、三重県、愛知県、静岡県で線状降水帯が発生し、1時間降水量が観測史上1位の値を更新した地点があった。また、降り始めからの雨量は東海地方で500mmを超えたほか、四国地方、近畿地方、関東地方でも400mmを超え、平年の6月の月降水量の2倍を超えた地点があった。

令和5年台風第2号経路図
令和5年台風第2号経路図
降水量の期間合計値分布図(6月1日~6月3日)
降水量の期間合計値分布図(6月1日~6月3日)

6月28日から7月6日にかけては、梅雨前線や上空の寒気の影響で、沖縄地方を除いて全国的に大雨となった。1日から3日は山口県や熊本県、鹿児島県(奄美地方)で線状降水帯が発生した。6月28日から7月6日の総降水量は、九州では700mmを超え、九州北部地方を中心に平年の7月の月降水量を超えた地点があった。また、7日から10日にかけては、梅雨前線が西日本から東北地方付近に停滞し、九州北部地方や中国地方を中心に大雨となった。8日は島根県で、10日は福岡県、佐賀県、大分県で、線状降水帯が発生した。気象庁は10日朝に福岡県と大分県を対象に大雨特別警報を発表した。総降水量は、九州北部地方で600mmを超え、九州北部地方や中国地方では、4日間で平年の7月の月降水量を超えた地点があった。11日から13日にかけては、本州付近に梅雨前線が停滞したほか、北海道付近を低気圧が通過し、山陰や北陸地方、北海道地方を中心に大雨となったところがあった。12日夜遅くには石川県や富山県で線状降水帯が発生した。

7月14日から16日にかけては東北地方に梅雨前線が停滞し、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、前線の活動が活発となり、東北地方の北部を中心に大雨となった。秋田県の複数の地点で、24 時間降水量が観測史上1位の値を更新したほか、総降水量は多い所で400mmを超え、青森県や秋田県では平年の7月の月降水量を大きく上回る記録的な大雨となった所があった。 また、18日から19日にかけても前線の活動が活発となり、岩手県や秋田県で日降水量が 100mmを超える大雨となった所があった。

降水量の期間(6月28日から7月16日まで)合計値
降水量の期間(6月28日から7月16日まで)合計値
(2)被害状況

令和5年5月31日から6月3日の大雨等により、各地で土砂災害による被害が発生したほか、愛知県等で国・県管理の44河川が氾濫し、浸水被害が発生した。これらにより、死者は6名(静岡県2名、愛知県1名、和歌山県2名(うち1名は災害関連死)、沖縄県1名)、行方不明者は2名、重傷者は5名、軽傷者は44名となった。住家被害は、全壊が21棟、半壊・一部破損が733棟、床上・床下浸水が9,359棟となった(消防庁情報、令和6年3月6日現在)。また、水道については最大断水戸数1,670戸、電力については東京電力管内で最大停電戸数約17,000戸、中部電力管内で約7,500戸に及ぶなど、ライフラインにも被害が発生したほか、道路や鉄道等の交通インフラ等にも被害が発生した。

6月28日から7月13日の大雨等により、15道県において、国・道県管理の119河川が氾濫し、浸水被害が発生した。特に、福岡県久留米市、佐賀県唐津市及び富山県南砺市では土砂災害が発生し、人的被害が発生したほか、車両水没に関連した人的被害も発生した。これらにより、死者は13名(富山県1名、島根県1名、山口県1名、福岡県5名、佐賀県3名、大分県2名)、行方不明者は1名、重傷者は10名、軽傷者は9名となった。住家被害は、全壊が63棟、半壊・一部破損が1,592棟、床上・床下浸水が6,255棟となった(消防庁情報、令和6年3月6日現在)。また、水道については最大断水戸数8,997戸、電力については中国電力及び九州電力管内で、最大停電戸数が約5,000戸に及ぶなど、ライフラインにも被害が発生した。

7月14日から19日の大雨等により、秋田県秋田市を中心に内水氾濫等による浸水被害が発生したほか、秋田県管理の16河川で氾濫し、浸水被害が発生した。これらにより、死者は1名(秋田県)、重傷者は1名、軽傷者は4名となった。住家被害は、全壊が11棟、半壊・一部破損が2,912棟、床上・床下浸水が4,097棟となった(消防庁情報、令和6年3月6日現在)。また、秋田県では最大で10,840戸の断水が生じ、自衛隊及び海上保安庁が給水支援を行ったほか、自衛隊は秋田市における患者輸送、災害廃棄物の撤去を実施した。

(3)政府の対応

令和5年5月31日から6月3日の大雨等について、政府は、6月1日15時30分に官邸に情報連絡室を設置し、関係省庁災害警戒会議を開催した。また、6月2日16時には関係省庁災害対策会議を開催した。6月9日には中野内閣府大臣政務官(当時)が茨城県と埼玉県の被災現場を視察した。「災害救助法」については、4県6市町に適用、「被災者生活再建支援法」については、2県4市町に適用された。

6月28日から7月13日の大雨等について、政府は、6月29日15時に官邸に情報連絡室を設置し、関係省庁災害警戒会議を開催した。その後、7月3日15時30分に関係省庁災害対策会議を開催し、同月14日までに同会議を計5回開催した。また、6月29日に設置した情報連絡室は7月10日6時40分に官邸連絡室に改組された。7月13日には谷内閣府特命担当大臣(防災)(当時)が福岡県と佐賀県、7月24日には富山県の被災現場を視察した。さらに、7月27日には岸田内閣総理大臣が福岡県の被災現場を視察した。

7月14日から19日の大雨等について、政府は、7月13日15時45分に官邸に情報連絡室を設置し、関係省庁災害警戒会議を開催した。また、7月18日11時15分には関係省庁災害対策会議を開催した。7月21日には谷内閣府特命担当大臣(防災)(当時)が秋田県の被災現場を視察した。

「災害救助法」については、9県39市町村に適用、「被災者生活再建支援法」については、5県9市町村に適用された。

激甚災害の指定については、令和5年5月28日から7月20日までの間の豪雨及び暴風雨による災害として、令和5年8月25日に指定政令の閣議決定を行った。

谷内閣府特命担当大臣(防災)(当時)による富山県の被災現場の視察(内閣府資料)
谷内閣府特命担当大臣(防災)(当時)による富山県の被災現場の視察(内閣府資料)
谷内閣府特命担当大臣(防災)(当時)による秋田県の被災現場の視察(内閣府資料)
谷内閣府特命担当大臣(防災)(当時)による秋田県の被災現場の視察(内閣府資料)

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