令和5年版 防災白書|特集2 第3章 令和4年台風第14号による災害


第3章 令和4年台風第14号による災害

(1)概要

令和4年9月14日3時に小笠原近海で発生した令和4年台風第14号は、17日には大型で猛烈な強さまで急速に発達した。本台風が暴風等の特別警報を発表する基準を満たす勢力で接近する可能性が高まったことから、同日、気象庁は、鹿児島県(奄美地方を除く)を対象とした暴風・波浪・高潮特別警報を発表した。18日19時頃に非常に強い勢力で鹿児島県鹿児島市付近に上陸し、19日朝にかけて九州を縦断した。その後進路を東よりに変え、中国地方から日本海を進み、20日3時に日本海で温帯低気圧に変わった。九州を中心に西日本で記録的な大雨や暴風となり、17日の降り始めからの総雨量は、宮崎県の多いところで900ミリを超えるなど、九州や四国の複数地点で平年の9月の月降水量の2倍前後となった。特に宮崎県では記録的な大雨となったことから、気象庁は宮崎県を対象とした大雨特別警報を発表した。また、鹿児島県屋久島町で最大瞬間風速50.9メートルを観測したほか、九州から中国地方及び近畿地方にかけての多くの地点で、最大瞬間風速の観測史上1位を更新した。

降水量の期間合計値・期間最大瞬間風速等
降水量の期間合計値・期間最大瞬間風速等

(2)被害状況

令和4年台風第14号により、宮崎県三股町で土砂崩れによる被害が発生したほか、宮崎県等で国・県管理の29河川が氾濫し、浸水被害が発生した。これらにより、宮崎県をはじめとする九州地方を中心に、死者は5名(広島県、高知県、宮崎県)、重傷者は20名、軽傷者は141名となった。住家被害は、全壊が17棟、半壊・一部破損が2,162棟、床上・床下浸水が1,310棟となった(消防庁情報、令和5年3月24日現在)。

また、水道や電力等のライフライン、道路や鉄道等の交通インフラ等にも被害が発生した。特に強風による電柱や電線の損傷により鹿児島県で最大約12万9千戸、宮崎県で最大約11万5千戸等の停電が発生した。

(3)政府の対応

政府は、令和4年9月16日15時に官邸に情報連絡室を設置した。9月17日15時には岸田内閣総理大臣から「国民に対し、避難や大雨・暴風・河川の状況等に関する情報提供を適時的確に行うこと」、「地方自治体とも緊密に連携し、台風の接近に伴い浸水、土砂崩れ等が想定される地域の住民の避難が確実に行われるよう、避難支援等の事前対策に万全を期すこと」、「被害が発生した場合は、被害状況を迅速に把握するとともに、政府一体となって、災害応急対策に全力で取り組むこと」について指示が行われるとともに、災害が発生するおそれがある段階では初めて特定災害対策本部が設置され、情報連絡室は官邸連絡室に改組された。同日16時には特定災害対策本部会議(第1回)が開催され(21日までに同会議を4回開催)、本部長である谷内閣府特命担当大臣(防災)から、各省庁に避難の支援・最大限の緊張感を持って対応することを要請したほか、各県へは被災するおそれのある県で「災害救助法」の適用ができること、国民へは躊躇なく避難することについて、呼びかけが行われた。また、9月18日には岸田内閣総理大臣出席の下、関係閣僚会議(第1回)が開催され(19日までに同会議を2回開催)、官邸連絡室は官邸対策室に改組された。9月24日には谷内閣府特命担当大臣(防災)が宮崎県の被災現場を視察した。

また「災害救助法」については、令和3年の同法の改正後初めて、災害が発生するおそれがある段階で、9県全286市町村に適用された。その後、住家に被害が生じた宮崎県の2市に、改めて「災害救助法」が適用された。

激甚災害の指定については、後述の令和4年台風第15号による災害とともに、令和4年9月17日から同月24日までの間の暴風雨及び豪雨による災害として、令和4年10月28日に指定政令の閣議決定を行った。

台風第14号に関する関係閣僚会議(第1回)(首相官邸ホームページより引用)
台風第14号に関する関係閣僚会議(第1回)(首相官邸ホームページより引用)
谷内閣府特命担当大臣(防災)による宮崎県の被災現場の視察(内閣府資料)
谷内閣府特命担当大臣(防災)による宮崎県の被災現場の視察(内閣府資料)

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