第2章 令和4年8月の大雨等による災害
(1)概要
令和4年8月3日から4日は、東北南部から新潟県にかけて前線が停滞し、前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだため、前線の活動が活発となった。複数の線状降水帯が発生し、雷を伴った猛烈な雨が断続的に降り続いたため、東北地方から北陸地方にかけての多くの観測地点で1時間降水量や24時間降水量の観測史上1位の値を更新するなど大雨となった。特に山形県と新潟県では記録的な大雨となったことから、気象庁は、山形県と新潟県を対象とした大雨特別警報を発表した。前線は次第に南下し、4日は石川県や福井県でも断続的に猛烈な雨が降り記録的な大雨となったほか、5日から6日にかけては福井県、滋賀県及び三重県等で大雨となった。
8月8日から14日は、前線が北日本から北陸地方に停滞した。北海道地方から北陸地方の広い範囲で猛烈な雨が降り、青森県や秋田県では7日間で平年の8月の月降水量の2倍を超える大雨となった。また、13日から14日は、伊豆半島に上陸した令和4年台風第8号の影響で、東日本太平洋側を中心に大雨となった。15日から22日は、前線や低気圧の影響により北日本から西日本で大雨となった。24日から25日は、低気圧の影響で東日本や西日本で局地的に大雨となった。
(2)被害状況
令和4年8月の大雨等により、青森県や新潟県では、土石流等による被害が発生したほか、14道県において国・道県管理の132河川で氾濫し、浸水被害が発生した。これらにより、死者は2名(岩手県、長野県)、行方不明者は1名(山形県)、重傷者は2名及び軽傷者は7名となった。住家被害は、全壊が37棟、半壊・一部破損が1,114棟、床上・床下浸水が6,264棟となった(消防庁情報、令和5年3月24日現在)。
また、水道については最大断水戸数14,044戸、電力については最大停電戸数8,072戸に及ぶなど、ライフラインにも被害が発生したほか、道路や鉄道等の交通インフラ等にも被害が発生した。
(3)政府の対応
政府は、令和4年8月3日19時15分に官邸連絡室を設置し、8月5日に関係省庁災害対策会議を開催した(同月23日までに同会議を計6回開催)。
8月7日には二之湯内閣府特命担当大臣(防災)(当時)が山形県の被災現場を視察した。また、谷内閣府特命担当大臣(防災)が4県の被害現場を視察した(8月20日:新潟県、同月30日:秋田県、同月31日:青森県、10月1日:山形県)。さらに、9月4日には岸田内閣総理大臣が新潟県の被災現場を視察した。また、「災害救助法」(昭和22年法律第118号)については、5県35市町村に適用された。
激甚災害の指定については、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」(昭和37年法律第150号)に基づき、令和4年8月1日から同月22日までの間の豪雨及び暴風雨による災害として、令和4年9月30日に指定政令の閣議決定を行った。
山形県の被災現場の視察(内閣府資料)
青森県の被災現場の視察(内閣府資料)