令和5年版 防災白書|特集1 第2章 第3節 3-2 高齢化の進展


3-2 高齢化の進展

(関東大震災当時の高齢化率は現在の5分の1以下)

我が国では高齢化が進んでおり、令和2年(2020年)の全国高齢化率(65歳以上人口の総人口に占める割合)は28.6%と、4人に1人以上が高齢者である。一方、戦後の我が国の人口構造は、0歳が最も多く、年齢階層が上がるにつれて減少する「富士山型」の人口ピラミッドを維持しており、高齢者の割合は現在よりもはるかに小さかった。大正9年(1920年)には5.3%と、20人に1人程度であり、その割合は現在の5分の1以下であった(図表2-8)。

図表2-8 全国の高齢化率及び圏域別・年齢階級別人口構成割合の推移
図表2-8 全国の高齢化率及び圏域別・年齢階級別人口構成割合の推移
(阪神・淡路大震災で注目された高齢者の災害関連死の問題)

戦後のベビーブームを経て高度経済成長が始まると、我が国は少産少死の社会に入ったが、高齢化率はしばらくの間は低位で推移していた。成長率の鈍化が生じた昭和後期には出生率の低下が進み、高齢化率もすう勢的に高まり始めた。

阪神・淡路大震災が発生した平成7年(1995年)には14.6%と、その5年前から約2.5パーセントポイントの上昇を記録した。同震災では、避難の長期化などに伴ういわゆる災害関連死が課題となったが、その背景には高齢世代の急増があった。

なお、高齢化率は、地方圏が先行する形で上昇し続け、東日本大震災(平成23年(2011年))当時には、地方圏の高齢化率が24.7%(平成22年(2010年))に達していた。

(今後東京圏でも進む高齢化)

高齢化は今後も一層進むことが見込まれており、高齢化率の全国平均は、令和2年の28.6%が令和27年(2045年)には36.8%に上昇すると推計されている。特に地方圏の水準は高く、令和2年の31.0%が令和27年には39.3%に上昇すると推計されている。

一方、東京圏の高齢化率は25.1%(令和2年(2020年))と、全国平均や地方圏と比べれば低いものの、今後は地方圏と同様に高齢化が進み、令和27年(2045年)には約33.7%に達すると推計されている。

このように、今後20年程度の人口動態予測を踏まえると、東京圏の人口の3分の1以上が高齢世代となり、さらに75歳以上の後期高齢者が増えるなど高齢者の高齢化も進むことが予測される。災害関連死の大半は高齢者の間で発生していることなどを踏まえると、首都直下地震等の巨大災害の発生時には、高齢者の心身のケアや避難の長期化を念頭に置いた避難生活の環境改善が一層の課題となる。


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