令和4年版 防災白書|第1部 第1章 第1節 1-3 防災訓練の取組


1-3 防災訓練の取組

災害発生時には、国の行政機関、地方公共団体、指定公共機関等の防災関係機関が一体となって、住民と連携した適切な対応をとることが求められることから、平時より関係機関が連携した訓練等、防災への取組を行うことが重要である。このため、防災関係機関は「災害対策基本法」、防災基本計画及びその他の各種規程等に基づき、災害発生時の応急対策に関する検証・確認と住民の防災意識の向上を目的として、防災訓練を実施することとされている。

令和3年度は、防災訓練実施に当たっての基本方針や政府における総合防災訓練等について定めた「令和3年度総合防災訓練大綱」(令和3年5月25日中央防災会議決定)に基づき、以下のような各種訓練を実施した。

(1)「防災の日」総合防災訓練

令和3年9月1日の「防災の日」に、地震発生直後を想定した政府本部運営訓練を新型コロナウイルス感染症対策に配慮して行った。まず、菅内閣総理大臣(当時)を始めとする閣僚が徒歩で官邸や各府省庁に参集し、緊急災害対策本部会議の運営訓練をオンラインで実施した。同会議では、山中横浜市長とのテレビ会議を通じた被害状況や支援要請の把握、各閣僚からの被害・対応状況の報告、人命第一での対応方針の確認や政府調査団の派遣、現地対策本部の設置等を行うなど、地方公共団体等と連携しながら、地震発生直後の応急対策の実施体制の確保、手順確認等を実施した。また、同会議の一部を報道機関へ公開した。会議終了後には、菅内閣総理大臣(当時)が記者会見を行い、NHK中継を通じて国民へ命を守る行動をとるよう呼びかけるとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を含めた避難所運営の支援等、政府の初動対応について発信を行った。

(2)九都県市合同防災訓練と連携した訓練

令和3年11月7日に神奈川県横浜市を主会場とする九都県市合同防災訓練が行われ、岸田内閣総理大臣や関係閣僚等が参加した。岸田内閣総理大臣は官邸からヘリコプターで同訓練会場に赴き、警察、消防、自衛隊が実施する救出救助訓練、水消火器による初期消火訓練、段ボールベッドや電源としての電気自動車の展示等の避難所運営訓練等を視察・体験した。

政府本部運営訓練(オンライン)(出典:首相官邸ホームページ)
政府本部運営訓練(オンライン)(出典:首相官邸ホームページ)
九都県市合同防災訓練で消火訓練に参加する岸田内閣総理大臣(出典:首相官邸ホームページ)
九都県市合同防災訓練で消火訓練に参加する岸田内閣総理大臣(出典:首相官邸ホームページ)
(3)政府図上訓練

令和3年6月に南海トラフ地震を想定した緊急災害対策本部事務局運営訓練を実施した。本訓練においては、関係府省庁職員及び南海トラフ地震防災対策推進地域内の地方公共団体職員等が参加し、オンラインで物資調達・輸送調整等支援システムを活用した支援物資の要請及び配分等を実践さながらに実施した。

令和4年3月に首都直下地震を想定した緊急災害対策本部事務局運営訓練を緊急災害現地対策本部運営訓練(東京)と連携しつつ実施した。本訓練においては、関係府省庁職員や東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の職員が参加し、訓練における新型コロナウイルス感染症対策のため、オンラインを活用した上で、関係機関との連携を要する課題について討議する討議型訓練を実施した。

南海トラフ地震を想定した緊急災害対策本部事務局運営訓練
南海トラフ地震を想定した緊急災害対策本部事務局運営訓練
首都直下地震を想定した緊急災害対策本部事務局運営訓練
首都直下地震を想定した緊急災害対策本部事務局運営訓練

地域ブロック毎の訓練では、被災が想定される都府県等と連携し、南海トラフ地震を想定した緊急災害現地対策本部運営訓練を実施した。四国及び九州においては、令和3年12月に現地に参集した上で、実際の災害に近い状況を模擬した状況付与型訓練と災害発生時に関係機関の連携を要する課題について討議する討議型訓練を実施した。なお、近畿及び中部においては、新型コロナウイルス感染症の急拡大に伴い、現地に参集せず、令和4年2月にオンラインを活用した討議型訓練のみを実施した。

緊急災害現地対策本部運営訓練(四国)にオンラインで参加する大野内閣府副大臣
緊急災害現地対策本部運営訓練(四国)にオンラインで参加する大野内閣府副大臣
南海トラフ地震を想定した緊急災害現地対策本部運営訓練(九州)
南海トラフ地震を想定した緊急災害現地対策本部運営訓練(九州)

これらの訓練によって、関係府省庁職員の知識・練度の向上や関係機関との連携を強化するとともに、これらの訓練を踏まえ、諸計画やマニュアルに規定された応急対策の有効性の検証を行った。


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