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令和4年版 防災白書|特集 第1章 第7節 ボランティア・NPO等による対応


第7節 ボランティア・NPO等による対応

(1)令和3年に発生した主な災害におけるボランティアの対応

令和3年7月1日からの大雨による災害においては、静岡県、島根県、広島県、鹿児島県において、社会福祉協議会により7市で災害ボランティアセンター(以下「災害VC」という。)が立ち上げられ、災害VCを通じて延べ約2,800人のボランティアが支援活動を行った(令和3年9月30日現在)。

令和3年8月の大雨による災害においては、長野県、広島県、福岡県、佐賀県、長崎県において、社会福祉協議会により11市区町で災害VCが立ち上げられ、災害VCを通じて延べ約4,700人のボランティアが活動を行った(令和3年11月30日現在)。

被災地では被災家屋の清掃や片づけ、被災ごみの運び出し、家屋内・水路の土砂搬出、避難所での物品配布、避難所からの引越し支援など、地域の実情に応じた被災者支援活動が展開された。

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、被災地ではボランティアを県内や市町村内に限定して募集するとともに、ボランティアにマスクの着用、手洗い、人と人との距離の確保など、基本的な感染予防の実施を求めた。静岡県熱海市ではボランティア希望者のための事前登録フォームをWeb上で開設し、活動地域や活動人数を事前に調整するといった取組も展開された。

また、災害VCを通じたボランティアの支援のみならず、専門性を有するNPO等により、土砂・がれきの撤去など被災家屋への技術的な支援や、被災地における災害廃棄物への対応、在宅避難者支援、仮設住宅への支援、生業支援など、幅広い分野で支援活動が行われた。佐賀県では、県内の中間支援組織である「佐賀災害支援プラットフォーム(SPF)」が、感染症対策を明記した「支援要請等のためのガイドライン」を作成し、被災者と支援者の安全確保を最優先した支援活動が展開された。

災害ボランティアの活動状況
災害ボランティアの活動状況
令和3年7月1日からの大雨におけるボランティア活動の様子(熱海市社会福祉協議会資料)
令和3年7月1日からの大雨におけるボランティア活動の様子(熱海市社会福祉協議会資料)
令和3年8月の大雨における災害ボランティア活動の様子(大町町社会福祉協議会資料(左)、佐賀市社会福祉協議会資料(右))
令和3年8月の大雨における災害ボランティア活動の様子(大町町社会福祉協議会資料(左)、佐賀市社会福祉協議会資料(右))
(2)行政・ボランティア・NPO等の連携

被災地の静岡県、福岡県、佐賀県では、行政・社会福祉協議会・NPO等の多様な被災者支援主体が、支援活動に関する情報を共有し、活動を調整するための場である「情報共有会議」を開催し、被災者のニーズ把握、在宅避難者への支援など、行政・ボランティア・NPO等による連携のとれた支援が実施された。

また、全国域でも、内閣府、特定非営利活動法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(以下「JVOAD」という。)、全国社会福祉協議会、災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(支援P)により、「全国情報共有会議(コア会議)」が開催され、各団体のもつ被災地の情報共有や今後の被災地支援の方法の検討などが行われた。

被災地における情報共有会議の開催状況
被災地における情報共有会議の開催状況
静岡県における情報共有会議の様子(静岡県資料)
静岡県における情報共有会議の様子(静岡県資料)
福岡県における情報共有会議の様子(災害支援ふくおか広域ネットワーク資料)
福岡県における情報共有会議の様子(災害支援ふくおか広域ネットワーク資料)
(3)佐賀県における避難所運営等に関する支援

内閣府とJVOADの協働事業として、避難所環境の確認及び改善サポートを目的に、佐賀県武雄市と大町町で避難所のアセスメントを実施した。避難生活環境の改善に関して専門的知見のある二つのNPO団体の協力を得て、両団体のスタッフに「避難生活支援アドバイザー」として活動してもらい、

  • コロナ禍における避難所の長期化を考慮した生活環境アセスメントシートの作成
  • 避難所支援に関わる関係各所(行政担当課や日本赤十字社佐賀県支部、保健所)へのヒアリング
  • 武雄市、大町町の避難所でのアセスメント及び避難環境改善のサポート
  • アセスメント結果の関係各所への報告、今後の改善に関する意見交換

を実施した。

アセスメントから避難所改善までの一連の取組を地元支援団体と伴走して取り組んだことにより、地元支援団体が継続して避難生活改善に関わる体制の整備につながった。今回の活動を、第3章第4節で後述する「避難生活支援・防災人材育成エコシステム」の構築の具体化に活かすこととしている。

「避難生活支援アドバイザー」の活動の様子(認定NPO法人レスキューストックヤード資料)
「避難生活支援アドバイザー」の活動の様子(認定NPO法人レスキューストックヤード資料)
[コラム]
JVOADによる「災害支援そなえ令和基金」の設立

近年、被災者のニーズが多様化し、災害時のボランティアやNPO等の活動領域が拡大する中、行政、NPO、ボランティア等の三者が連携・協働する必要性が一層高まっている。

平成28年に設立された特定非営利活動法人全国ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)は、災害時のNPO・ボランティア等の異なる組織の活動調整や活動支援を行う唯一の全国域の中間支援組織である。内閣府は、令和元年にJVOADとタイアップ宣言を行い、災害時に全国域の情報共有会議を開催するなど、JVOADと協力し、行政、NPO、ボランティア等の三者の連携・協働の促進に取り組んできた。

被災者へより効果的な支援を行うためには、平時から支援者同士の連携体制を構築し、地域の災害対応力を強化していくことが重要である。このためJVOADは、設立から5周年を迎えた令和3年11月1日、災害発生時にNPOやボランティア等によって行われる様々な支援を調整する「中間支援組織」を各地域に整備・育成するため、天皇陛下御即位に際してJVOADに賜与された御下賜金の一部を活用し、「災害支援そなえ令和基金」を設立した。

同基金は、ひろく企業、団体、個人等から賛同及び寄付を求めるもので、JVOADは、今後同基金を活用して全国の各地域において以下の事業を進めることとしている。

  • 災害支援者間のネットワーキング(都道府県域でのフォーラム・連絡会議の開催)
  • 災害支援のスキルアップ・人材育成(災害支援の担い手及びコーディネーターを育成するための研修の実施)
  • 災害支援体制の検討・検証(災害時の具体的な体制を整えるための検証等)

内閣府としても、引き続きJVOADと連携・協力を進めるとともに、災害支援そなえ令和基金を通じて、地域ごとの連携体制が一層強化されることを期待している。

JVOADによる「災害支援そなえ令和基金」の設立

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内閣府政策統括官(防災担当)

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