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令和4年版 防災白書|特集 第1章 第5節 令和4年福島県沖を震源とする地震による災害


第5節 令和4年福島県沖を震源とする地震による災害

(1)概要

令和4年3月16日23時36分に福島県沖の深さ57km(暫定値)でマグニチュード7.4(暫定値)の地震が発生し、宮城県登米市、蔵王町、福島県相馬市、南相馬市、国見町で震度6強を観測したほか、東北地方を中心に北海道から中国地方にかけて震度6弱から1を観測した。

各地域の震度(拡大図)
各地域の震度(拡大図)
(2)被害状況

この地震による死者は3名(宮城県2名(うち1名は災害関連死)、福島県1名)、重傷者28名、軽傷者217名となった(内閣府情報、令和4年4月19日現在)。

住家被害については、全壊111棟、半壊1,285棟、一部損壊19,048棟であった(内閣府情報、令和4年4月19日現在)。

(参照:https://www.bousai.go.jp/updates/r4fukushima_eq_0317/pdf/r4fukushima_eq_0317_08.pdf)

人的・住宅被害(令和4年4月19日現在)
人的・住宅被害(令和4年4月19日現在)

この地震の影響で、東京電力管内及び東北電力管内で最大223万戸の停電が発生するとともに、岩手県、宮城県、福島県、埼玉県、千葉県において最大69,999戸の断水が発生するなど、ライフラインへの被害のほか、東北新幹線の福島駅~白石蔵王駅間で脱線による運休等、交通インフラにも被害が発生した。

路面のひび割れ(福島県相馬市)
路面のひび割れ(福島県相馬市)
(3)政府の対応

令和4年3月16日23時38分に岸田内閣総理大臣から「早急に被害状況を把握すること」、「地方自治体とも緊密に連携し、政府一体となって、被災者の救命・救助等の災害応急対策に全力で取り組むこと」、「国民に対し、避難や被害等に関する情報提供を適時的確に行うこと」について指示が行われ、23時39分に官邸対策室を設置した。

3月19日には、二之湯内閣府特命担当大臣(防災)が福島県の被害現場を視察した。

さらに、28日に岸田内閣総理大臣より、二之湯内閣府特命担当大臣(防災)が中心となって、関係閣僚と連携し、被害状況や自治体からの要請を踏まえながら支援策を速やかに取りまとめるよう指示があった。これを受けて、4月8日に、被災者の生活と生業の再建に向け、緊急に対応すべき施策を「令和4年福島県沖を震源とする地震に係る支援策とりまとめ」として取りまとめた。

同支援策には、特例的な中小企業等グループ補助金による中小企業への支援や、特例的な半壊家屋の解体支援などに加え、高い技術力を要する伊達橋の復旧工事を国の権限代行で実施することなどを盛り込んだ。

激甚災害の指定については、福島県相馬郡新地町の区域に係る災害として、令和4年4月8日に激甚災害の指定の見込みを公表した(「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」(昭和37年法律第150号)第5条及び第24条の適用)(附属資料14-4参照)。

現地視察を行う二之湯内閣府特命担当大臣(防災)
現地視察を行う二之湯内閣府特命担当大臣(防災)
【コラム】
「海底火山「福徳岡ノ場」の噴火による軽石について」

令和3年8月13日から15日にかけて発生した小笠原の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火活動に伴い、大量の軽石が「いかだ」のように海面を埋め尽くした。この「軽石いかだ」は海流によって引き延ばされながら西に移動し、同年10月以降、日本各地の沿岸部においても、「福徳岡ノ場」の噴火により生じたと思われる軽石の漂流・漂着が多数確認された。これらの軽石は、港湾・漁港において船舶の出入りの妨げになるほか、航行中の漁船のエンジントラブルに繋がるなど、様々な面で影響を及ぼしている。令和3年度末時点では、沖縄県・鹿児島県(南西諸島)から茨城県にかけて、延べ91の港湾、154の漁港、62の市町村の海岸で軽石の漂流・漂着が確認され、フェリーの運休やエンジントラブルによる漁船の航行不能といった影響が生じている。

政府としては、令和3年10月28日、内閣官房副長官の下に「海底火山『福徳岡ノ場』の噴火に係る関係省庁対策会議」を設置し、関係省庁で連携して迅速な対応に取り組んできた。軽石による被害を防ぐため、関係省庁から都道府県や海運事業者等に対する注意喚起のほか、軽石の漂流・漂着が予測される太平洋側の港湾・漁港では、軽石の流入を防ぐオイルフェンスの設置・準備などの対応がとられている。港湾・漁港等に既に漂着した軽石の回収・処理については、災害復旧事業等により、国として財政的な支援を行っているほか、国土交通省港湾局と水産庁の連携による「漂流軽石回収技術検討ワーキンググループ」を設置、軽石回収技術に係る事例集を公表し、リエゾン等を通して技術的な支援を行っている。また、沖縄県の運天港においては、「港湾法」(昭和25年法律第218号)に基づく港湾管理者(沖縄県)からの要請を受け、運天港の港湾施設の一部管理を国土交通大臣が代行しており、軽石除去に関する全体計画の策定や海上からの軽石の除去等、様々な支援を行っている。また、国土交通省では、海運事業者が軽石対策を行う際の参考となる情報等を取りまとめた「軽石被害防止に向けた安全運航のポイント」及び「海運事業者における軽石対策事例集」を公表するなど、船舶への被害防止、安全運航の継続の観点から必要な取組を行っている。さらに、操業自粛や漁船の故障、それに伴う収入減といった漁業関係の被害への対応としては、漁業共済等により減収補填や漁船の修繕費用への支援が行われている。

福徳岡ノ場(令和3年8月26日)(海上保安庁資料)
福徳岡ノ場(令和3年8月26日)(海上保安庁資料)
運天港における軽石除去(国土交通省資料)
運天港における軽石除去(国土交通省資料)
【コラム】
「フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の噴火に伴う潮位変化と政府の対応」

トンガ諸島付近のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山において、令和3年12月から令和4年1月にかけて噴火が発生した。一連の噴火活動は12月20日の爆発的な噴火で始まり、1月に入って一時活動は低下したものの、1月14日、15日に規模の大きな噴火が発生し、その際の噴煙は気象衛星「ひまわり」でも観測された(下図)。特に、15日の噴火は非常に大規模であり、ニュージーランドのウェリントン航空路火山灰情報センターによると、噴煙は高度約52,000フィート(約16,000m)に達し、また、噴煙の上部が直径600 km以上にも広がった。米国スミソニアン自然史博物館によれば、この噴火により、フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山から70~100km東にある島々において、かなりの降灰があったと報告されている。

令和4年1月15日のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の大規模噴火発生時の衛星画像
令和4年1月15日のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の大規模噴火発生時の衛星画像

フンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山近傍のヌクアロファ(トンガ)で令和4年1月15日13時25分頃(日本時間)から火山噴火に伴うとみられる潮位変化が観測された。日本でも潮位変化が生じる可能性が予想されたことから、気象庁は、同日18時00分に遠地地震に関する情報(日本への津波の有無を調査中)を発表した。そして、日本への伝播経路上の海外の潮位観測点での潮位変化は小さかったことから、同日19時01分に遠地地震に関する情報(日本沿岸で若干の海面変動あり)及び19時03分に津波予報(若干の海面変動)を発表した。その後、日本国内の潮位観測点で、通常の地震による津波から予想される到達時刻よりも2時間以上も早く潮位変化が観測され始め、これらの潮位変化が大きくなる傾向が見られた。このため、災害が発生するおそれがあり、警戒・注意を呼びかける必要があったことから、同月16日0時15分に奄美群島・トカラ列島に津波警報、北海道太平洋沿岸部東部から宮古島・八重山地方までの太平洋沿岸などに津波注意報を発表した。さらに、同日2時54分には岩手県の津波注意報を津波警報に切り替え、同日4時07分に長崎県西方と鹿児島県西部に津波注意報を発表した。(その後、潮位変化の減衰に応じて、津波警報・津波注意報は順次切り替え・解除。)この潮位変化を津波の高さの測定方法で測ると、鹿児島県の奄美市小湊(気象庁所属)で134cm、岩手県の久慈港(国土交通省所属)で107cmを観測するなど、全国で潮位変化が観測された。

政府の対応として、16日0時15分に官邸連絡室を設置し、被害情報等を収集した。

この潮位変化により、漁船の転覆・沈没等については30隻、漁具・養殖施設・共同利用施設については158件、魚類養殖等については143件の被害が報告された。(令和4年4月15日時点)

今回の潮位変化は、通常の地震による津波到達時間よりも2時間以上も早かったこと、トンガから日本への経路上の観測点での潮位変化が小さかったことなどから、通常の地震に伴う津波とは異なるものであったが、国民に防災行動を呼びかけるため、津波警報等の仕組みを利用した。なお、潮位変化が観測された時刻において、日本の地上気象観測点で約2ヘクトパスカルの気圧の変化が観測された。

今回の一連の対応について、観測された時点では潮位変化のメカニズム等が明らかでなかったため津波警報等の発表までに時間を要したことや、噴火発生から津波警報等の発表までの間の情報発信が不十分だったこと等の課題があった。気象庁では、これらの課題を踏まえ、当面の対応として、海外で大規模噴火が発生した場合や、大規模噴火後に日本へ津波の伝わる経路上にある海外の津波観測点で潮位変化が観測された場合に、「遠地地震に関する情報」により、日本でも火山噴火等に伴う潮位変化が観測される可能性がある旨をお知らせする措置を令和4年2月から講じており、同年3月8日のマナム火山(パプアニューギニア)の噴火の際に、このお知らせを発表した。また、今般の噴火を踏まえた火山噴火等に伴う潮位変化に対する情報発信のあり方の議論に資するよう、今回の潮位変化がどのようなメカニズムで発生したと考えられるのか「津波予測技術に関する勉強会」にて有識者により検討され、今回の潮位変化が海洋と大気の相互作用によって発生したと考えられること等が報告書として同年4月に取りまとめられた。この報告書を踏まえ、同年5月から、大規模噴火等が発生した際の潮位変化に関する情報発信のあり方について、津波、火山、防災情報等に関する有識者や自治体の防災関係者、情報を伝える報道関係者も参加した検討会において検討を進めている。

また、今回の潮位変化を踏まえ、内閣府及び消防庁から都道府県を通じて市町村に対し、津波における避難指示の発令等について適切な対応を促す通知を発出した。

【コラム】
被災者生活再建支援金 新たに支給対象となった中規模半壊世帯

「被災者生活再建支援法」(平成10年法律第66号)は被災市町村や都道府県のみでは対応が困難な被害を及ぼす自然災害が発生した場合に、その生活基盤に著しい被害を受けた被災者に対し、都道府県の相互扶助の観点から拠出した基金を活用して、支援金を支給し、生活の再建を支援するための法律であり、これまで累次の改正が行われてきた。

令和元年6月に、被災者生活再建支援制度の在り方を議論するために、内閣府と全国知事会等で設置した「被災者生活再建支援制度の在り方に関する実務者会議」で行った実態把握調査によれば、半壊世帯(損害割合20%以上40%未満)のうち大規模半壊世帯には満たない半壊世帯の一部(損害割合が30%台)は、修理費の平均が500万円弱であり、主要な居室、機能等を含む大規模な補修を行わなければ居住できない状況との結果であった。

そのため、令和2年11月の臨時国会に、支給対象となる被災世帯として、半壊世帯の一部(損害割合30%台)を中規模半壊世帯として追加し、同世帯に対し、居住する住宅を建設又は購入する場合は100万円、補修する場合は50万円、賃借する場合は25万円を支給することとする「被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案」が提出され、衆参両院の審議を経て、同年12月2日に全会一致で可決・成立、同月4日に公布・施行された。

この改正法は、「令和2年7月豪雨」以降に発生した災害について適用することとし、これまでに(令和4年2月末現在)、被災者生活再建支援法が適用された5災害で、2,660世帯が中規模半壊世帯(従前の半壊世帯(損害割合20%以上40%未満)のうち31.7%)として新たに支給対象となっている。

改正後の被災者生活再建支援法が適用された災害における住家の被害状況(令和4年2月末現在)
改正後の被災者生活再建支援法が適用された災害における住家の被害状況(令和4年2月末現在)

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