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令和4年版 防災白書|特集 第1章 第1節 令和3年7月1日からの大雨による災害


第1章 令和3年度に発生した主な災害

我が国は、その自然的条件から各種の災害が発生しやすい特性を有しており、毎年のように水害・土砂災害、地震・津波等の自然災害が発生している。近年では平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(以下「東日本大震災」という。)や平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風、令和2年7月豪雨等により大規模な被害を受けた。令和3年度では、令和3年7月1日からの大雨、令和3年8月の大雨、令和3年10月7日の千葉県北西部を震源とする地震、令和4年3月16日の福島県沖を震源とする地震等により被害が発生した。特に令和3年7月1日からの大雨は、静岡県熱海市における土石流の被害を中心に複数の都府県において多くの人命や家屋への被害のほか、ライフラインなどにも甚大な被害をもたらした。

令和3年度に発生した主な災害
令和3年度に発生した主な災害

第1節 令和3年7月1日からの大雨による災害

(1)概要

梅雨前線が、令和3年6月末から7月上旬にかけて西日本から東日本に停滞した。梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が次々と流れ込み、大気の状態が不安定となったため、西日本から東北地方の広い範囲で大雨となった。

7月1日から7月3日にかけて梅雨前線は本州南岸に停滞した。7月1日には伊豆諸島で線状降水帯が発生し、日降水量が300ミリを超える大雨となった。7月2日から3日にかけては、東海地方から関東地方南部を中心に断続的に雨が降り、静岡県の複数の地点で72 時間降水量の観測史上一位の値を更新するなど記録的な大雨となった。

7月4日以降、梅雨前線は次第に北上し西日本から東日本の日本海側でも雨となった。特に7月7日には中国地方の日本海側で線状降水帯が発生し、日降水量が300ミリを超える大雨となった。7月8日には広島県を中心に日降水量が200ミリを超える大雨となった。7月9日夜から10日にかけては、九州南部を中心に雷を伴い猛烈な雨や非常に激しい雨が断続的に降り、9日からの総雨量が鹿児島県さつま町や伊佐市で500ミリを超える記録的な大雨となった。この大雨に対して、気象庁は鹿児島県、宮崎県、熊本県を対象とした大雨特別警報を発表した。7月12 日には全国的に広く大雨となり、青森県、三重県、島根県及び鳥取県で1時間降水量の観測史上一位の値を更新するなど記録的な大雨となった。

48時間降水量の期間最大値(令和3年6月30日~7月12日)・主な期間降水量(令和3年6月30日~7月12日)
48時間降水量の期間最大値(令和3年6月30日~7月12日)・主な期間降水量(令和3年6月30日~7月12日)
(2)被害状況

令和3年7月1日からの大雨により、静岡県熱海市における土石流の被害を中心として、死者は27名(静岡県)、行方不明者は2名(神奈川県1名、静岡県1名)、重傷者は2名(静岡県1名、鳥取県1名)、軽傷者は10名となった。住家被害は、全壊が59棟、半壊・一部損壊が440棟、床上・床下浸水が2,945棟であった(消防庁情報、令和4年3月25日現在)。

(参照:https://www.fdma.go.jp/disaster/info/items/210701baiuzennsenn36.pdf)

人的・住宅被害(令和4年3月25日現在)
人的・住宅被害(令和4年3月25日現在)

この大雨の影響で、停電や断水などのライフラインへの被害のほか、熱海市の土石流を含めて274件の土砂災害が発生した。

また、この大雨における「災害救助法」(昭和22年法律第118号)の適用団体は4県9市2町に上った。

令和3年7月1日からの大雨の被害状況
静岡県熱海市における土石流の被害(内閣府資料)
静岡県熱海市における土石流の被害(内閣府資料)
静岡県熱海市における土石流の源頭部(内閣府資料)
静岡県熱海市における土石流の源頭部(内閣府資料)
(3)政府の対応

政府は令和3年7月1日12時30分に関係省庁災害警戒会議を開催した。そして、同月3日10時30分頃に静岡県熱海市土石流災害が発生した後には、13時10分に官邸対策室を設置、14時45分に内閣府調査チームを静岡県庁に向けて派遣した。さらに同日17時から菅内閣総理大臣(当時)出席の下関係閣僚会議(第1回)を開催し、菅内閣総理大臣(当時)から「二次災害にも注意しつつ、機動的かつ万全の対応を進め、また、避難所等に対する必要な支援を迅速に行うこと」について指示が行われた。同日17時30分には令和3年7月1日からの大雨特定災害対策本部を設置し、19時に特定災害対策本部会議(第1回)を開催した(同月5日までに同会議を計2回開催)。

そして、7月5日11時に特定災害対策本部から非常災害対策本部へ体制を強化し、同日11時30分に菅内閣総理大臣(当時)出席の下「令和3年7月1日からの大雨非常災害対策本部会議(第1回)」を開催した(同月30日までに同会議を計3回開催)。

7月6日には棚橋内閣府特命担当大臣(防災)(当時)が、同月12日には菅内閣総理大臣(当時)が静岡県の被災現場を視察した。加えて、赤澤内閣府副大臣(当時)が3県の被害現場を視察し(同月20日:島根県、21日:鳥取県、28日:鹿児島県)、二之湯内閣府特命担当大臣(防災)が静岡県の被害現場を視察した(11月22日)。

7月6日には、各府省の事務次官級職員を構成員とする「令和3年7月1日からの大雨被災者生活・生業再建支援チーム」が、菅内閣総理大臣(当時)からの指示の下設置され、同月30日に被災者の生活と生業の再建に向け、被災地のニーズや地域ごとの特性を踏まえつつ、できることは全てやるという姿勢の下、緊急に対応すべき施策を「令和3年7月1日からの大雨に係る支援策とりまとめ」として取りまとめた。

激甚災害の指定については、令和3年8月7日から同月23日までの間の暴風雨及び豪雨による災害として、令和3年9月28日に指定政令の閣議決定を行った(附属資料14-1参照)。

令和3年7月1日からの大雨非常災害対策本部会議(第2回)(内閣府資料)
令和3年7月1日からの大雨非常災害対策本部会議(第2回)(内閣府資料)
静岡県の被災現場を視察する棚橋内閣府特命担当大臣(防災)(当時)(内閣府資料)
静岡県の被災現場を視察する棚橋内閣府特命担当大臣(防災)(当時)(内閣府資料)

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