2-2 地方公共団体の首長、職員に対する研修内容の充実
迅速かつ的確な災害対応は、地方公共団体の首長や防災担当職員の知識と経験に依るところが大きい。このため、内閣府においては、「危機事態に迅速・的確に対応できる人」や「国・地方のネットワークを形成できる人」を育成するために、平成25年度より国や地方公共団体の職員を対象とする「防災スペシャリスト養成研修」に取り組んでいる。
まず、令和2年度「有明の丘研修」は、コースごとにワーキンググループを開催し、コーディネーターとカリキュラム、研修指導要領、テキスト、テスト、人的ネットワークの取組等の検討・見直しを行った。また、令和元年度より実施している「地域研修」は、地域による自立した防災人材育成を推進するため、地域の実情やニーズに応じた内容を盛り込み、地方公共団体等の職員の防災に関する人材の育成に取り組んだ。さらに、「フォローアップ研修」において、有明の丘研修修了者を対象に更なるスキルアップと人的ネットワークの強化を図った。なお、今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、これらの研修を集合で実施することが困難であったことからオンライン研修により実施した。
加えて、主に市区町村職員を対象に、近年の災害において災害対応上の課題が多く挙げられた業務を学習できるコンテンツとして「防災スペシャリスト養成eラーニング」の開発を目指し、eラーニングの作成方法の標準化について検討を行った。
また、全国の町村長を対象とする「全国防災・危機管理トップセミナー」を内閣府及び消防庁の共催で実施し(市区長を対象とした同セミナーは新型コロナウイルス感染症拡大に配慮して令和2年度は中止)、災害対応の陣頭指揮をとる町村長の迅速かつ的確な判断能力の向上を支援し、首長としての初動対応の在り方や、実際に被災した地方公共団体の初動対応等について研修を行った。
さらに、内閣官房、内閣府及び消防庁の共催により、各都道府県の部局長・危機管理監等を対象とした「防災・危機管理特別講習」を令和2年6月にWeb会議により実施するとともに、各市町村の危機管理・防災責任者を対象とした「自治体危機管理・防災責任者研修」を同年11月と令和3年2月にオンライン研修により実施した。
新型コロナウイルス感染症を契機とした新しい生活様式を踏まえて、研修の効果や効率を向上させる取組を進めるとともに、これら研修等の内容の充実を図り、更なる防災力・災害対応能力の向上を図る必要がある。