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令和3年版 防災白書|第1部 第1章 第1節 1-10 男女共同参画の視点からの災害対応の取組強化


1-10 男女共同参画の視点からの災害対応の取組強化

大規模災害の発生は、全ての人の生活を脅かすが、中でも人口の51.3%は女性であり(総務省「人口推計」、令和元年10月1日現在)、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分に配慮された災害対応が行われることが、防災・減災、災害に強い社会の実現にとって不可欠である。

令和2年5月、内閣府は地方公共団体において、平常時の備え、初動段階、避難生活、復旧・復興の各段階で、男女共同参画の視点を取り入れた災害対応の取組を進めるため、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」(以下「ガイドライン」という。)を作成し、内閣府の男女共同参画局長と防災担当政策統括官の連名で、地方公共団体に対してガイドラインに基づく取組の促進について通知を発出した。また、国の防災基本計画を修正し、地域防災計画において男女共同参画部局と男女共同参画センターの役割を明確化することなどを新たに盛り込んだ。

令和2年7月豪雨においては、被災地に派遣される「内閣府調査チーム」の一員として初めて男女共同参画局の職員を熊本県庁に派遣し、男女共同参画担当課を支援した。具体的には、被災市町村や避難所を巡回し、ガイドラインの周知・活用の依頼等を行った。国の働きかけを踏まえ、熊本県では、県災害対策本部会議において男女共同参画担当課を所管する環境生活部長から、ガイドライン及び避難所チェックシートの活用について呼びかけるとともに、避難所に派遣される全ての県職員に避難所チェックシートを配布し、活用を促した。また、災害対策本部の下部組織として設置された避難所等支援室に、男女共同参画担当課の職員を配置した。

令和2年12月25日に閣議決定した第5次男女共同参画基本計画では、男女共同参画の視点からの災害対応の取組を更に強化するために、都道府県・市町村防災会議における女性委員の割合を令和7年までに30%とすることを成果目標とした上で、以下の取組を掲げている。

(参照:https://www.gender.go.jp/about_danjo/basic_plans/5th/pdf/2-08.pdf

  • 平常時より、国においても、地方公共団体においても、防災・危機管理部局と男女共同参画部局とが、より密接に連携・協働し、男女共同参画の視点からの防災・復興の取組を進める。
  • 都道府県防災会議における女性委員の割合について、各都道府県に対して、女性の参画拡大に向けた取組を促進するよう要請する。また、女性委員のいない市町村防災会議の早期解消とともに、女性委員の割合を増大する取組を促進するため、都道府県と連携し、女性を積極的に登用している市町村の好事例の展開などを行う(図表1-10-1、図表1-10-2)。
  • 地方公共団体の災害対策本部について、女性職員や男女共同参画担当職員の配置、構成員となる男性職員に対する男女共同参画の視点からの取組に関する理解促進等が図られるよう、平常時から働きかけを行う。
  • ガイドラインに基づく地方公共団体の取組状況をフォローアップして「見える化」する。
図表1-10-1 地方防災会議の委員に占める女性の割合の推移について
図表1-10-1 地方防災会議の委員に占める女性の割合の推移について
図表1-10-2 第5次男女共同参画基本計画における都道府県防災会議及び市町村防災会議の成果目標
図表1-10-2 第5次男女共同参画基本計画における都道府県防災会議及び市町村防災会議の成果目標

その他、地方公共団体において災害対応に携わる全ての職員が、ガイドラインの内容を参照しながら、男女共同参画の視点に立って防災施策を企画立案・実施できることを目的とした、「男女共同参画の視点からの防災研修プログラム」の改定を進めている。

【コラム】
地方防災会議における女性委員の参画拡大のための工夫

第5次男女共同参画基本計画(令和2年12月25日閣議決定)では、2025年までに地方防災会議における女性委員比率30%を目標としている。しかし、現状では、都道府県防災会議での女性委員比率は平均16.1%、市町村防災会議では平均8.8%と女性委員が極めて少ない※1

地方防災会議の委員は「災害対策基本法」第15条等によって定められている。女性委員が少ない要因として、職指定(いわゆる充て職)であることや、指定される職(各機関の長)がほぼ男性であることが挙げられる。一方、女性委員比率が高い防災会議では、地方公共団体の首長の男女共同参画推進に向けた強いリーダーシップの下、各々が女性委員を増やす工夫をしている。

地方防災会議における女性委員の参画拡大のための工夫
地方防災会議における女性委員の参画拡大のための工夫

徳島県は、地方防災会議における女性委員比率が46.9%(2020年度)と全国首位である。同県では、平成26年に条例を改正して委員の定数を20名増員し、積極的に女性を登用している。現在、県職員から知事が任命する第5号委員には、保健福祉部局や青少年部局の女性管理職等が登用され、12名中11名が女性である。また、自主防災組織や学識経験者から知事が任命する第8号委員には、女性・子育て、高齢者、障害者団体の代表等が就き、21名全員が女性である※2。同県では、平常時から地域で活躍する女性リーダーと連携しているため、県からの防災会議委員の要請を断る女性はほとんどいない。また、防災会議に女性委員が増えたことにより、災害対応における女性の課題について聞き取りやすくなり、女性や要配慮者のニーズに配慮した避難所運営ができるなどの効果が生じている※3

実際に、地方防災会議の女性委員の比率と常備備蓄の比率について、女性委員比率が高いほど、各種生活用品や女性、乳幼児用品等を常時備蓄とする比率が高いとの調査報告もある。地方防災会議や意思決定層に女性比率が高まることで、地域防災計画の中に女性の視点に立った対策が取り入れられ、男性が見落としがちなニーズや必要な対策に対応できるようになることが指摘されている※4

今後、内閣府では、地方防災会議で女性委員を積極的に登用している市町村の好事例を展開するなどして、地方公共団体に対し、地方防災会議への女性の参画拡大に向けた取組を促進するよう働きかけを行う。

※1:内閣府「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況」(2020年度)
(参照:https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/suishinjokyo/suishin-index.html
※2:徳島県HP「令和2年徳島県防災会議について」(令和3年2月9日閲覧)
(参照:https://anshin.pref.tokushima.jp/docs/2020102000010/
※3:徳島県危機管理環境部 とくしまゼロ作戦課へのヒアリング(令和3年2月4日)
※4:内閣府「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」(p.12)(令和2年5月)
(参照:https://www.gender.go.jp/policy/saigai/fukkou/guideline.html

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