1-2 防災推進国民会議と防災推進国民大会
広く各界各層が情報及び意見の交換その他の必要な連携を図り、中央防災会議と協力しつつ、国民の防災に関する意識向上を図るため、地方六団体、経済界、教育界、医療・福祉関係など各界各層の有識者から成る「防災推進国民会議」が平成27年に設立され、普及・啓発活動を行っている。
(1)防災推進国民大会2020
内閣府、防災推進国民会議及び防災推進協議会(災害被害軽減の国民運動推進を目的として活動する業界団体等で構成される組織)の共同主催により、令和2年10月3日に、行政、公益団体、学術界、民間企業、NPO等の様々な団体が日頃から行っている防災活動を全国的な規模で発表する「防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2020」を開催した。開催に当たっては、自助・共助の取組や多様な主体の連携を促進し、防災意識の向上を図ることを目的として、『頻発化する大規模災害に備える~「みんなで減災」助け合いをひろげんさい~』をテーマとし、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、当初の開催予定地であった広島からの発信に重きを置きつつ、オンラインで開催した。
オープニング・セッション(開会挨拶、ハイレベル対談)では、小此木内閣府特命担当大臣(防災)が開会宣言を行い、「本大会での防災をめぐる新たな出会いやつながりが、我が国の防災対応力の一層の強化に繋がることを期待する」と述べた。その後、大塚防災推進国民会議議長(日本赤十字社社長)から主催者挨拶、湯﨑広島県知事及び松井広島市長から開催地挨拶が行われた。有識者による「ハイレベル対談」では、「水害、土砂災害からの避難を促進する取組の進化」について、過去に広島で発生した土砂災害を教訓に、命を守る避難の大切さを訴えるために進めている我が国の避難の取組が話し合われた。
大会では、25のセッション、11のワークショップ、84のプレゼンが催された。内閣府や様々な団体が行うテーマ別セッションでは、平成30年7月豪雨などを踏まえ、今後必要となる自助・共助の取組について議論がされた。「ハイレベルセッション・災害の経験と地域防災力の強化」では、広島市長を始め、中国地方整備局長、内閣府、マツダなど官民の組織の担当者、地元住民などが、様々な立場から住民の避難行動促進の課題と対策、地域の防災力を高めるための方策、組織の連携について意見交換を行い、平時から地域住民や地域防災関係組織の横のつながり、顔が見える関係づくりが重要との提言がなされた。湯﨑広島県知事と鈴木三重県知事による「トップ対談・頻発する豪雨、切迫する巨大地震にどう備えるか」では、それぞれ過去の災害から得た教訓、現在の防災の取組について紹介した。「トークセッション・広島市防災セミナー 語り継ぐ防災~教訓を活かす~」では、広島での災害伝承に関する取組や、防災に関する学校教育の例を、地域の方々が紹介し、災害の教訓を活かすことの重要性が話し合われた。
また、ワークショップでは、新型コロナウイルス感染症や広島の土砂災害をテーマとしたもの、全国の多様な防災の担い手が集い、日頃からの防災・減災の取組事例や取り組む上での悩み・課題を共有するものなど様々な企画が実施され、プレゼンでは、東日本大震災の伝承や防災に関する最新技術など多くの防災・減災活動が紹介され、一部では、出展者と参加者によるオンライン面談も実施された。
クロージングセッションでは、秋本防災推進国民会議副議長による主催者挨拶、海堀広島大学教授より総評があり、締めくくりとして、赤澤内閣府副大臣から大会参加者への感謝と、次回大会(岩手県釜石市にて開催予定)への期待が表明された。約1万5千人の視聴を得た本大会を通じて、「公助」の取組ととともに、国民一人一人が「自らの命は自らが守る」という意識を持って災害に備える「自助」、そして、地域、企業、学校、ボランティアなどが互いに助け合う「共助」を組み合わせ、地域全体で防災意識を高め、あらゆる自然災害に備える「防災意識社会」を構築することの重要性が確認された。
(2)第6回防災推進国民会議
第6回防災推進国民会議は、令和2年12月15日に、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、総理官邸会議室にてテレビ会議により開催された。冒頭、菅内閣総理大臣は、防災推進国民会議の各団体に対する感謝の言葉とともに、「コロナ禍の中、各団体の普及啓発活動もあり、感染防止を意識した避難訓練等が行われるとともに、災害時には、避難所等における感染症対策によって、被災地での感染拡大を抑えることができた。頻発・激甚化する災害に対し、国民が一丸となって対応していくことが重要であり、全ての分野での取組と御協力が欠かせない」と本会議に寄せる期待を述べた。
続いて、「防災推進国民大会2020」などの活動報告等があり、公益財団法人日本消防協会及び一般財団法人日本防火・防災協会並びに全国連合小学校長会から自助・共助による防災意識の向上に向けた取組が紹介された。