6-2 事前防災・複合災害ワーキンググループについて
令和元年東日本台風や令和2年7月豪雨災害を始めとする近年の水害では、氾濫想定区域の高齢者福祉施設が被災するなど、災害ハザードエリアにおける事前防災の観点で課題が顕在化している。また、強い台風が東京湾を直撃する場合に備え、東京湾臨海部低地等における高潮等の対策について、その想定災害規模と併せ、広く理解を得つつ、対策を加速化する必要がある。
これに加え、南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模自然災害における事前防災の取組や、大規模自然災害と感染症等との複合災害への対応についても喫緊の課題となっている。
このため、内閣官房では、上記の問題意識に対応した今後の取組の方向性について議論するため、ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会の下に事前防災・複合災害ワーキンググループを設置した。
令和3年1月19日の第1回ワーキンググループの開催を皮切りに、
- 東京湾高潮対策の取組状況を踏まえ、高潮対策の甚大さを認識し地震対策や水害対策と同様に対応を進めるため、将来の気候変動により災害リスクが更に高まるゼロメートル地帯を始め、堤外地も含めた東京湾沿岸部での対策を重点的に進める必要性
- 流域治水・土地利用の課題と対応方策については、流域全体としての治水安全度を向上させるため支川合流部等で地方公共団体が管理する区間で相対的に整備水準の低い箇所の整備を重点的に進める必要性、土地利用はリスクと共存しまちづくりと連携して進めていく長期の視点が重要であり、また地域ごとの違いも大きく既存施設と新規立地対策、長期と短期などきめ細やかな対応を進めていくことの必要性
- 南海トラフ地震等大規模地震の事前防災については、南海トラフ地震と首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震で特徴や被害が異なるため、それぞれの地震毎に関係者が協働して対策を検討していく必要性、地震と高潮、水害等、自然災害の複合災害を想定した復旧・復興までの対応策検討の必要性
- 感染症蔓延下での災害対応の課題については、新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所運営以外の対応など自然災害と感染症の複合災害対策の必要性
- マルチハザードや地域ごとの特徴等を想定し地域における具体的施策につながるよう国土強靱化脆弱性評価の充実の必要性
などについて検討を行っているところである。