第6節 今後の防災・国土強靱化施策の検討に向けたワーキンググループ
近年、自然災害が頻発化、激甚化しているとともに、南海トラフ地震や首都直下地震等の巨大災害も切迫している。熊本地震から5年、東日本大震災から10年、阪神・淡路大震災から四半世紀が経過した節目の時こそ、巨大自然災害により失われる命を激減させていく新たな方策を検討していくときである。このため、令和2年12月に、デジタル技術、事前防災、防災教育・災害ボランティアに関し、有識者や関係省庁の参画を得て、内閣府特命担当大臣(防災)の私的諮問機関又はナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会の下のワーキンググループを設置し、検討を進めていくこととした。(以下の各ワーキンググループの検討状況は、令和3年4月30日現在)
6-1 デジタル・防災技術ワーキンググループについて
現在、人命にかかわる事前防災や被災後の人命救助に役立つ可能性があるデータの多くが散乱、埋没している状況にある。こうしたデータのデジタル化を推進し、データの解析により問題点の検出や解消を図るなど、先手を打つための意思決定を支援していく必要がある。
このため、内閣府では、防災対策におけるデジタル化を進めるための施策を検討する「デジタル・防災技術ワーキンググループ」を開催することとした。
本ワーキンググループは、現在の技術では実現が困難であっても、今後の技術革新等を見据え、中長期(10年程度以上)の時間軸で、デジタル・防災技術として目指すべき未来像を議論する「未来構想チーム」と、既に活用が進みつつある技術について、中短期(5年程度)の時間軸で、実装を見据え、技術・制度両方の観点からの課題の洗い出しや改善の方向性を議論する「社会実装チーム」で構成している。
未来構想チームは、令和2年12月21日より検討を開始し、
- デジタルツインによる被災・対応シミュレーション
- 空間・インフラ情報等をドローンやセンサー等を活用した、リアルタイムの情報収集と共有
- 会議や行政手続をオンラインで完結可能とすること等を内容とする行政機関等のデジタル移転
などの事前防災や人命救助の場面における、デジタル化により実現可能な目指すべき到達点について検討を行っているところである。
また、社会実装チームは、令和3年1月18日から検討を開始し、
- 災害時に必要となる情報項目や取得時間等の標準化
- 自治体等の災害対応に関する個人情報取扱いの整理
- 関係機関が人手を介さず必要な情報を収集・分析・加工・共有することができる体制の整備
などの防災分野のデジタル化の問題点及びシステムの使い勝手や機能の向上、高度化の方向性について検討を行っているところである。