令和3年版 防災白書|特集 第2章 第3節 3-2 各改正事項について


3-2 各改正事項について

(1)流域治水の計画・体制の強化

流域治水の実効性を高めるための対策として、第一に、特定都市河川浸水被害対策法に位置付けられている、流域水害対策計画を活用する河川(特定都市河川)を拡大することとした。具体的には、市街化の進展により河川整備で被害防止が困難な河川に加え、自然的条件により河川整備で被害防止が困難な河川を特定都市河川として指定することができることとした。

また、国、都道府県、市町村等の関係者が一堂に会し、官民による雨水貯留浸透対策の強化、浸水エリアの土地利用等、流域水害対策について協議するための協議会を創設するとともに、当該協議結果を流域水害対策計画に位置付けることにより、確実に対策が実施される環境を整備することとした。

(2)氾濫をできるだけ防ぐための対策

第二に、河川における対策強化の一環として、河川管理者、電力会社等の利水者等が参画する、利水ダムの事前放流の拡大を図るための協議会を創設することとした。

また、下水道における対策強化の一環として、下水道で浸水被害を防ぐべき目標降雨を計画に位置付け、整備を加速するとともに、下水道の樋門等の操作ルールの策定を義務付ける等、河川等から市街地への逆流等を確実に防止するための措置を講じることとした。

さらに、流域における雨水貯留対策強化の一環として、貯留機能保全区域を創設することにより沿川の保水・遊水機能を有する土地を確保するとともに、都市部の緑地を保全し、貯留浸透機能を有するグリーンインフラとして活用するほか、認定制度、補助、税制特例により、自治体・民間の雨水貯留浸透施設の整備を支援することとした。

(3)被害対象を減少させるための対策

第三に、水防災に対応したまちづくりとの連携や住まい方の工夫を推進する観点から、浸水被害防止区域を創設し、浸水被害の危険が著しく高いエリアにおける住宅や要配慮者利用施設等の洪水等に対する安全性を事前に確認する開発・建築許可制度を設けるとともに、防災集団移転促進事業のエリア要件の拡充等により、洪水等による危険エリアからの住居の移転を促進するほか、災害時の避難先となる拠点の整備や地区単位の浸水対策により、市街地の安全性を強化することとした。

(4)被害の軽減、早期復旧・復興のための対策

第四に、被害の軽減を図る観点から、洪水等に対応したハザードマップの作成を中小河川等まで拡大し、リスク情報の空白域を解消するとともに、洪水時等における要配慮者利用施設に係る避難計画・避難訓練に対する市町村の助言・勧告制度を創設することにより、避難の実効性を確保することとした。

また、災害からの早期復旧・復興を図る観点から、河川法において国土交通大臣の権限を拡大し、国が河川工事等の権限代行を行うことができる範囲を二級河川等から準用河川にまで拡大するほか、災害時に河川に堆積した土砂等の撤去を国が都道府県等に代わって行うことができることとした。


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