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令和3年版 防災白書|特集 第1章 第2節 2-1 令和2年7月豪雨による災害


第2節 令和2年度に発生した主な災害

我が国は、その自然的条件から各種の災害が発生しやすい特性を有しており、毎年のように水害・土砂災害、地震・津波等の自然災害が発生している。近年では平成23年の東日本大震災や平成28年の熊本地震、平成30年7月豪雨、令和元年においても房総半島台風や東日本台風により大規模な被害を受けた。令和2年度では、令和2年7月豪雨、令和2年12月~令和3年1月の大雪、令和3年福島県沖を震源とする地震等により顕著な被害が発生した。特に令和2年7月豪雨では、九州、中部、東北地方を始めとした広範囲の地域において多くの人命や家屋への被害のほか、ライフライン、地域の産業等にも甚大な被害をもたらした。また、12月以降、北日本から西日本にかけての日本海側を中心に断続的に強い雪が降り、普段雪が少ない九州や四国でも積雪となったところがあった。

令和2年に発生した主な災害
令和2年に発生した主な災害

2-1 令和2年7月豪雨による災害

(1)概要

令和2年7月3日から8日にかけて、梅雨前線が華中から九州付近を通って東日本にのびてほとんど停滞した。前線の活動が非常に活発で、西日本や東日本で大雨となり、特に九州では4日から7日にかけて記録的な大雨となった。また、岐阜県周辺では6日から激しい雨が断続的に降り、7日から8日にかけて記録的な大雨となった。気象庁は、熊本県、鹿児島県、福岡県、佐賀県、長崎県、岐阜県、長野県の7県に大雨特別警報を発表し、最大級の警戒を呼びかけた。

その後も前線は本州付近に停滞し、西日本から東北地方の広い範囲で雨の降る日が多くなった。特に13日から14日にかけては中国地方を中心に、27日から28日にかけては東北地方を中心に大雨となった。

7月3日から7月31日までの総降水量は、長野県や高知県の多い所で2,000ミリを超えたところがあり、九州南部、九州北部地方、東海地方及び東北地方の多くの地点で、24、48、72時間降水量が観測史上1位の値となった。

そして、令和2年7月豪雨は新型コロナウイルス感染症の影響下において、初めての大規模な災害となった。

48時間降水量の期間最大値(7月3日~31日)・主な期間降水量(7月3日~31日)
48時間降水量の期間最大値(7月3日~31日)・主な期間降水量(7月3日~31日)
(2)被害状況

令和2年7月豪雨により、死者は84名(富山県1名、長野県1名、静岡県1名、広島県2名、愛媛県2名、福岡県2名、長崎県3名、熊本県65名、大分県6名、鹿児島県1名)、行方不明者は2名(熊本県2名)、重傷者は25名(山形県1名、長野県2名、岐阜県1名、広島県2名、福岡県5名、長崎県1名、熊本県12名、大分県1名)、軽傷者は55名となった。住家被害は、全壊が1,620棟、半壊・一部損壊が8,103棟、床上・床下浸水が6,825棟であった(消防庁情報、令和3年2月26日現在)。

(参照:https://www.fdma.go.jp/disaster/info/items/210226_ooame56.pdf

人的・住家被害(令和3年2月26日現在)
人的・住家被害(令和3年2月26日現在)

また、九州地方、東海地方及び東北地方を中心に停電や断水が生じ、熊本県では約8,800戸(最大)の停電、約27,000戸(最大)の断水が発生した。加えて、通信障害の発生などのライフライン、道路や鉄道等の交通インフラ、農作物等にも大きな被害が生じた。

国が管理する7水系10河川、県が管理する58水系193河川で決壊等による氾濫が発生し(国が管理する1河川2ヶ所、県が管理する3河川3ヶ所では堤防が決壊)、がけ崩れや土石流等の土砂災害が961件発生した。

熊本県球磨村では特別養護老人ホーム千寿園の入居者14名が浸水被害により死亡し、この災害の死者の約8割が65歳以上となるなど、高齢者の被害割合が高かった。

令和2年7月豪雨による浸水推定図【球磨川(人吉市付近)】
令和2年7月豪雨による浸水推定図【球磨川(人吉市付近)】
令和2年7月豪雨の被害状況
熊本県(球磨村)の浸水被害(内閣府資料)
熊本県(球磨村)の浸水被害(内閣府資料)
熊本県(球磨村)の浸水被害(内閣府資料)
熊本県(球磨村)の浸水被害(内閣府資料)
熊本県(人吉市)の浸水被害(内閣府資料)
熊本県(人吉市)の浸水被害(内閣府資料)
熊本県(球磨村)の浸水被害(内閣府資料)
熊本県(球磨村)の浸水被害(内閣府資料)

また、災害救助法の適用団体は9県98市町村に上った。熊本県の市町村を中心に、合わせて34府県において避難指示(緊急)及び避難勧告が発令され、ピーク時における避難所での避難者数は10,963人超に達した(内閣府、消防庁情報)。

(3)政府等の対応

政府は、最初の大雨特別警報が発令された令和2年7月4日4時50分に、安倍内閣総理大臣(当時)から「国民への適時的確な情報共有」、「避難支援等の事前対策」、「被害が発生した場合の政府一体となった災害応急対策」に関する指示を行うとともに、同日から関係閣僚会議を開催し、さらに同日に熊本県庁と鹿児島県庁へ内閣府調査チームを派遣した。警察、消防、自衛隊、国土交通省等においても、発災直後から全国の部隊等を被災地に派遣し、救出救助活動や二次災害防止活動、生活支援等を実施した。

7月5日には安倍内閣総理大臣(当時)出席のもと第1回の「令和2年7月豪雨非常災害対策本部」を開催した(同月30日まで同会議を計12回)。

7月13日には、安倍内閣総理大臣(当時)及び武田内閣府特命担当大臣(防災)(当時)が熊本県の現地視察を実施した。加えて、武田内閣府特命担当大臣(防災)(当時)が5県(同月4、5、8日:熊本県、7、15、16日:福岡県、9日:鹿児島県、16日:大分県、23日:岐阜県)、小此木内閣府特命担当大臣(防災)が熊本県(9月26日)の現地視察を実施した。

7月6日には、各府省の事務次官級職員を構成員とする「被災者生活・生業再建支援チーム」が、安倍内閣総理大臣(当時)からの指示のもと設置され、同月30日に被災地のニーズや地域ごとの特性を踏まえつつ、緊急に対応すべき施策を取りまとめた「被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージ」を決定した。また、同月14日には約22.1億円、同月31日には対策パッケージの策定と合わせて1,017億円の予備費の使用を閣議決定した。

被災自治体に対しては、政府から生活に必要となる物資や感染症対策物資(マスク、消毒液、パーティション等)を調達・発送し、被災された方々の支援(プッシュ型支援)も行った。この際、令和2年4月から運用が開始されていた「物資調達・輸送調整等支援システム」を活用し、あらかじめ被災自治体が登録していた在庫情報をもとに、従来よりも効率的に物資が輸送された。

激甚災害の指定については、令和2年5月15日から7月31日までの間の豪雨による災害として、令和2年8月25日に指定政令の閣議決定を行った(附属資料14-1参照)。

この他、「応急対策職員派遣制度」に基づく被災自治体への応援職員の派遣が行われ、熊本県内の被災8市町村の災害マネジメントを支援するため、10県市から延べ約460名の総括支援チームを派遣し、災害対策本部の運営支援等を行った。また、同被災市町村への対口支援団体を決定し、11県市から延べ約5,900名の応援職員を派遣し、罹災証明に係る家屋調査等の支援を行った。

令和2年7月豪雨非常災害対策本部(第1回)
令和2年7月豪雨非常災害対策本部(第1回)
現地視察を行う安倍内閣総理大臣(当時)と武田内閣府特命担当大臣(防災)(当時)
現地視察を行う安倍内閣総理大臣(当時)と武田内閣府特命担当大臣(防災)(当時)

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