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令和3年版 防災白書|附属資料14 令和2年以降に発生した主な災害における各府省の対応


附属資料14 令和2年以降に発生した主な災害における各府省の対応

14-1 令和2年7月豪雨

<1> 災害の状況

7月3日から8日にかけて、梅雨前線が華中から九州付近を通って東日本にのびてほとんど停滞した。前線の活動が非常に活発で、西日本や東日本で大雨となり、特に九州では4日から7日は記録的な大雨となった。また、岐阜県周辺では6日から激しい雨が断続的に降り、7日から8日にかけて記録的な大雨となった。気象庁は、熊本県、鹿児島県、福岡県、佐賀県、長崎県、岐阜県、長野県の7県に大雨特別警報を発表し、最大級の警戒を呼びかけた。

その後も前線は本州付近に停滞し、西日本から東北地方の広い範囲で雨の降る日が多くなった。特に13日から14日にかけては中国地方を中心に、26日から29日にかけては東北地方を中心に大雨となった。

7月3日から7月31日までの総降水量は、長野県や高知県の多い所で2,000ミリを超えたところがあり、九州南部地方、九州北部地方、東海地方及び東北地方の多くの地点で、24、48、72時間降水量が観測史上1位の値を超えた。

この豪雨により、球磨川や筑後川、飛騨川、江の川、最上川といった大河川での氾濫が相次ぎ、土砂災害や低地の浸水等が発生した。令和3年2月26日時点で、死者・行方不明者86名、重軽傷者80名のほか、家屋の全壊1,620棟、半壊4,509棟、一部破損3,594棟、床上浸水1,652棟等となっている。また、九州地方を中心に停電や断水が相次ぎ、熊本県では停電が約8,800戸(最大)、断水が約2.7万戸(最大)発生するなど、ライフラインにも大きな被害が生じた。

<2> 各府省庁等の対応

政府としては、発災直後の7月4日から安倍総理より、避難や大雨・河川の状況等に関する情報提供を適宜的確に行うとともに、地方自治体とも緊密に連携し、浸水が予定される地区の住民の避難が確実に行われるよう、避難支援等の事前対策に万全を期すこと等の指示があった。その後、関係閣僚会議を開催し、安倍総理から、地元自治体と緊密に連携しつつ、政府一体となって、応急対策に全力で取り組んでいく旨の発言があった。同日には被害状況の直接確認等を行うため、武田防災担当大臣による熊本県現地視察(※)が行われたほか、内閣府調査チームを熊本県及び鹿児島県へ派遣した。5日には「令和2年7月豪雨非常災害対策本部」を設置するとともに(非常災害対策本部会議は計12回開催)、各府省の事務次官級職員を構成員とする「被災者生活・生業再建支援チーム」を設置し、被災者の生活や生業の再建を迅速に支援した。13日には安倍総理及び武田防災担当大臣による熊本県現地視察が行われ、14日には令和2年7月豪雨を特定非常災害に指定し、被災者の権利を守るための特別な措置を講じる等、政府の総力を挙げて災害応急対策を推進した。

※このほか、武田防災担当大臣は、7月5日:熊本県、7日:福岡県、8日:熊本県、9日:鹿児島県、23日:岐阜県を、武田防災担当大臣及び今井内閣府大臣政務官は、15日:福岡県、16日福岡県及び大分県を、小此木防災大臣は、9月26日:熊本県を、それぞれ現地視察。

警察、消防、自衛隊、国土交通省においては、発災直後から全国の部隊を被災地に派遣し、救助救出活動や二次災害防止活動、生活支援等を実施した。これらの実働部隊による活動規模は、警察災害派遣隊延べ約2,900人、緊急消防援助隊延べ約400人、自衛隊延べ約35万人、緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)延べ約1万人等となっている。

また、「被災市区町村応援職員確保システム」に基づき、被災市町村の首長への助言等を通じた災害マネジメントの総括的な支援や、被災市町村が行う災害対応業務の支援(対口支援)が行われた(総括支援チームとして、被災8市町村に対し、10県市から延べ約460名が、対口支援として被災8市町村に対し、11県市から延べ約5,900名が派遣。)。

7月13日に開催された第7回非常災害対策本部会議において、安倍総理から、被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージを取りまとめるよう指示があり、これを受けて政府では、被災者のニーズに応じた住宅再建等や、中小事業者や農林漁業者等への支援、災害復旧や災害廃棄物の円滑な処理等の施策を取りまとめるとともに、被災自治体が財源に不安なく取り組んでいただけるよう、7月14日に約22.1億円、7月31日には約1,017億円の予備費の使用を閣議決定した。7月31日には、令和2年7月豪雨を「大規模災害からの復興に関する法律」に基づく非常災害として指定することを閣議決定し、当該災害によって被害を受けた都道府県や市町村等が、災害復旧事業等に係る工事について国や都道府県に代行を要請した場合、国や都道府県は、要請をした都道府県や市町村等における工事の実施体制など地域の実情を勘案して、円滑かつ迅速な復興のために必要があると認めるときは、その事務の遂行に支障のない範囲内で代行できるようになった。

この豪雨による災害に伴い、9県98市町村に災害救助法が、6県54市町村に被災者生活再建支援法が適用された。

[災害救助法の適用]

【山形県】山形市、米沢市、鶴岡市、酒田市、新庄市、寒河江市、上山市、村山市、長井市、天童市、東根市、尾花沢市、南陽市、東村山郡山辺町、東村山郡中山町、西村山郡河北町、西村山郡西川町、西村山郡朝日町、西村山郡大江町、北村山郡大石田町、最上郡最上町、最上郡舟形町、最上郡大蔵村、最上郡戸沢村、東置賜郡高畠町、東置賜郡川西町、西置賜郡小国町、西置賜郡白鷹町、西置賜郡飯豊町、東田川郡三川町、東田川郡庄内町(適用日:7月28日)

【長野県】松本市、飯田市、伊那市、安曇野市、上伊那郡宮田村、下伊那郡阿南町、下伊那郡阿智村、下伊那郡下條村、下伊那郡売木村、木曽郡上松町、木曽郡南木曽町、木曽郡王滝村、木曽郡大桑村、木曽郡木曽町(適用日:7月8日)

【岐阜県】高山市、中津川市、恵那市、飛驒市、郡上市、下呂市(適用日:7月8日)

【島根県】江津市(適用日:7月13日)

【福岡県】大牟田市、八女市、みやま市、久留米市(適用日:7月6日)

【佐賀県】鹿島市(適用日:7月6日)

【熊本県】八代市、人吉市、水俣市、上天草市、天草市、葦北郡芦北町、葦北郡津奈木町、球磨郡錦町、球磨郡多良木町、球磨郡湯前町、球磨郡水上村、球磨郡相良村、球磨郡五木村、球磨郡山江村、球磨郡球磨村、球磨郡あさぎり町(適用日:7月4日)
荒尾市、玉名市、山鹿市、菊池市、玉名郡玉東町、玉名郡南関町、玉名郡長洲町、玉名郡和水町、阿蘇郡南小国町、阿蘇郡小国町(適用日:7月6日)

【大分県】日田市、由布市、玖珠郡九重町、玖珠郡玖珠町(適用日:7月6日)

【鹿児島県】阿久根市、出水市、伊佐市、出水郡長島町、鹿屋市、曽於市、志布志市、垂水市、薩摩川内市、いちき串木野市、曽於郡大崎町(適用日:7月4日)


[被災者生活再建支援法の適用]

【熊本県】県内全域(発生日7月4日)

【福岡県】大牟田市(発生日7月6日)

【大分県】九重町、日田市、由布市、玖珠郡玖珠町(発生日7月6日)

【島根県】江津市(発生日7月13日)

【岐阜県】下呂市(発生日7月8日)

【鹿児島県】鹿屋市、垂水市(発生日7月4日)

本災害に対する激甚災害指定の状況は以下のとおりである。

令和2年5月15日から7月31日までの間の豪雨による災害

指定見込公表 7月10日、13日、17日 閣議決定 8月25日 公布・施行 8月28日

附属資料14 令和2年以降に発生した主な災害における各府省の対応

14-2 令和2年台風第10号

<1> 災害の状況

9月1日夜に小笠原近海で発生した令和2年台風第10号は、海水温が高い地域を通過し、4日3時には非常に強い勢力に発達した。5日から7日にかけて大型で非常に強い勢力で南西諸島と九州に接近した後、朝鮮半島に上陸し、8日3時に中国東北区で温帯低気圧に変わった。長崎県野母崎で最大風速44.2メートル、最大瞬間風速59.4メートルとなり、南西諸島や九州を中心に猛烈な風又は非常に強い風を観測し、観測史上1位の値を超えるなど、記録的な暴風となった。また、宮崎県日向沖で11.4メートル、鹿児島県屋久島で10.4メートルの高波が観測されるなど、南西諸島や九州で猛烈なしけとなるとともに、宮崎県東臼杵郡美郷町神門で4日から7日までの総降水量が599ミリとなり、宮崎県の4地点で24時間降水量が400ミリを超えたほか、台風の中心から離れた西日本や東日本の太平洋側で24時間降水量が200ミリを超える大雨となった。

この台風により、宮崎県椎葉村で発生した土砂災害において死者・行方不明者4名が発生したほか、佐賀県、鹿児島県でそれぞれ死者1名が発生。九州地方を中心に負傷者が110名発生した。また、住家被害は鹿児島県を始めとする九州地方を中心に全壊7棟、半壊40棟、一部破損1,637棟、床上浸水31棟、床下浸水236棟が発生した(※数値は令和3年2月26日時点。)。

<2> 各府省庁等の対応

大雨や台風が接近する前の9月3日に武田防災担当大臣のもと関係省庁災害警戒会議を開催し、大雨等への警戒態勢を確保するとともに、9月4日15時30分には関係閣僚会議(第1回)を開催し、関係省庁に対して安倍内閣総理大臣から、<1>防災担当大臣を始め各大臣にあっては、国民の皆様への迅速かつ、分かりやすい情報発信を徹底すること、<2>自治体や関係機関と緊密に連携しながら、先手先手の対策を講じること、<3>各地に十分な数の避難所の確保を進めるとともに、新型コロナウイルス感染症対策も十分考慮の上、必要な態勢を整備することについて指示があった。また、国民に対し、<1>記録的な大雨・暴風・高波・高潮のおそれがあることから、備蓄品や避難経路の確認など事前の備えを進めること、<2>不要不急の外出を控えるとともに、自治体の避難情報に基づき早め早めの避難を心掛けることなど、油断することなく、命を守る行動をとるようお願いがあった。さらになお、特別警報級の台風の接近が予測されていたことから、同日16時15分より、武田防災担当大臣から国民に対して早期避難等を求める呼びかけを行った。

また、5日には、関係都道府県に、内閣府(防災担当)、総務省消防庁、厚生労働省、国土交通省、気象庁の連名による「台風第10号に係る早急な避難について」を発出するとともに、武田大臣から関係知事、副知事等に市町村長へ早期避難の働きかけ等を依頼した。さらに、6日には武田防災担当大臣から2回目の国民への呼びかけにより早期避難等を再度求めた。なお、同日、関係閣僚会議(第2回)が実施され、翌7日には関係省庁災害対策会議を実施し、警戒態勢や現地の被害情報の確認を行った。

14-3 1月7日からの大雪等

<1> 災害の状況

1月7日から8日朝にかけて、低気圧が急速に発達しながら日本海から北日本を通って千島近海へ進んだ。その後、日本の上空に強い寒気が流れ込んで11日にかけて強い冬型の気圧配置が続いた。これらの影響で、北日本から西日本にかけて広範囲で大雪・暴風となった。

7日から11日にかけて、北日本から西日本の日本海側を中心に断続的に強い雪が降り、普段雪の少ない九州などでも積雪となったところがあった。7日から11日にかけての期間降雪量は、新潟県上越市高田で213センチ、岐阜県大野郡白川村白川で192センチ、福井県大野市大野で158センチとなった。北陸地方を中心に7日から9日にかけて発達した雪雲が流れ込み続けたため、3時間に20センチを超える顕著な降雪量を観測し、新潟県上越市高田では9日に24時間降雪量103センチを観測し、観測史上1位の記録を更新した。

また、7日から8日にかけて北日本と東日本の日本海側を中心に広い範囲で非常に強い風が吹き、秋田県山本郡八峰町八森では7日に最大風速28.1メートル、最大瞬間風速42.4メートルを観測し、ともに観測史上1位の記録を更新した。

12月中旬及び年末年始の大雪で、北日本から東日本の日本海側を中心に積雪が多く残る中、1月7日からの大雪により更に積雪が多くなったことで、福井県や新潟県における多数の車両の立ち往生や、北日本から西日本にかけて道路の通行止め、鉄道の運休、航空機・船舶の欠航等の交通障害が発生した。また、除雪作業中の事故等による死者35名、重傷者375名や、車両の立ち往生による軽傷者7名の人的被害があったほか、住家被害は全壊1棟、半壊2棟、一部破損297棟等となっている(※数値は令和3年2月26日時点)。

<2> 各府省庁等の対応

1月6日に小此木防災担当大臣出席のもと関係省庁災害警戒会議を開催し政府としての警戒体制を確保した。8日には関係閣僚会議を開催し、10日には内閣府調査チームを福井県へ派遣した。北陸道及び東海北陸道において発生した車両の立ち往生については、警察、自衛隊、国土交通省、NEXCO中日本等が連携して除雪作業や車両の誘導、食料等の配布を行ったほか、滞留車両の運転手等のうち希望者のホテルへの移送も行われた。また、自衛隊では、秋田県、新潟県の各知事の要請を受け、高齢者施設等の除排雪作業を行った。14日には小此木防災担当大臣による新潟県及び富山県現地視察が行われ、翌15日には関係省庁災害対策会議(第1回)を開催し、現地視察結果の共有等を行った。18日には消防庁と内閣府(防災担当)が連名で、複数人での雪下ろし作業の実施など、事故防止に向けた注意喚起のための事務連絡を発出した。22日には関係省庁災害対策会議(第2回)を開催し、自治体の除排雪事業等への支援、農林漁業者・中小事業者に対する雪害への支援等について盛り込んだ「令和2年12月~令和3年1月の大雪被害に関する対応策」を取りまとめた。

また、この大雪等による災害に伴い、4県22市町村に災害救助法が適用された。

[災害救助法の適用]

【秋田県】横手市、湯沢市、大仙市、仙北市、仙北郡美郷町、雄勝郡羽後町、雄勝郡東成瀬村(適用日:1月7日)

【新潟県】長岡市、柏崎市、十日町市、糸魚川市、妙高市、上越市(適用日:1月10日)

【富山県】砺波市、小矢部市、南砺市、氷見市(適用日:1月9日)

【福井県】福井市、あわら市、坂井市(適用日:1月9日)
大野市、勝山市(適用日:1月10日)

14-4 福島県沖を震源とする地震[震度6強]

<1> 災害の状況

令和3年2月13日23時7分頃、福島県沖を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、宮城県蔵王町、福島県相馬市、国見町、新地町で震度6強を観測したほか、宮城県、福島県を中心に広範囲で震度6弱~1を観測した。この地震による被害は、死者1名、重傷者16名、軽傷者170名のほか、住家の全壊32棟、半壊259棟、一部破損8,846棟となっている(※数値は令和3年3月12日時点)。また、停電、断水等のライフライン被害のほか、道路の通行止め、鉄道の運休等、交通インフラにも被害が発生した。

<2> 各府省庁等の対応

政府としては、2月13日の地震発生後、直ちに総理大臣官邸の危機管理センターに緊急参集チームを招集し、菅総理大臣の指示の下、被害情報の収集に当たるとともに、自衛隊ヘリにより内閣府調査チームを福島県へ派遣した。14日朝には関係閣僚会議(第1回)を開催し、被害状況の把握や政府としての対応の共有、確認を行った。また自衛隊では、福島県知事の要請を受け、県内2町村で給水支援活動を行った。16日には、小此木防災担当大臣による福島県現地視察が行われた。

19日の閣僚懇談会において、菅総理大臣より、小此木防災担当大臣が中心となって、関係閣僚が連携し、早急に被害状況を把握するとともに、支援策を速やかに取りまとめるよう指示があった。これを踏まえ、26日に関係閣僚会議(第2回)を開催し、一日も早い被災地の応急復旧、生活の再建、生業の再建等に全力を尽くすべく、「令和3年福島県沖を震源とする地震に係る支援策のとりまとめ」を行った。

この地震に伴い、福島県17市町に災害救助法が、福島県3市町に被災者生活再建支援法が適用された。

[災害救助法の適用]

【福島県】福島市、郡山市、白河市、須賀川市、相馬市、南相馬市、伊達市、本宮市、伊達郡桑折町、伊達郡国見町、岩瀬郡鏡石町、大沼郡会津美里町、双葉郡広野町、双葉郡楢葉町、双葉郡富岡町、双葉郡浪江町、相馬郡新地町(適用日:2月13日)


[被災者生活再建支援法の適用]

【福島県】福島市、桑折町、新地町(発生日2月13日)


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