内閣府防災情報のページみんなで減災

内閣府ホーム > 内閣府の政策 > 防災情報のページ > 会議・検討会 > 防災白書 > 平成30年版 防災白書 > 平成30年版 防災白書|第1部 第1章 第2節 2-5 大雪等に対する警戒と政府の対応について

平成30年版 防災白書|第1部 第1章 第2節 2-5 大雪等に対する警戒と政府の対応について


2-5 大雪等に対する警戒と政府の対応について

我が国は大雪等による被害を受けることも多く、近年では平成17年度に152名、平成22年度に131名、平成23年度に133名、平成24年度に104名の死者を発生させている。平成29年度については、全国で死者116名、重傷者624名等の人的被害が発生し(消防庁情報)、住家被害や、電力、水道等ライフラインの被害、交通障害、農林水産業への被害等が発生している。

内閣府では、こうした降雪時期の警戒態勢を強化する目的で、中央防災会議会長(内閣総理大臣)名により、各指定行政機関や各指定公共機関等の関係機関に対し警戒を呼びかける通知(「降積雪期における防災態勢の強化等について」、以下「中防通知」という。)を毎年降雪前の時期に発出している。平成29年度は、平成29年11月21日付で中防通知を発出し、全国に大雪に対する事前警戒と諸対応について呼びかけるとともに、大雪になる前から関係省庁災害警戒会議を開催し、警戒態勢の確保に努めた。

平成30年冬(平成29年12月~平成30年2月)は、大気上層を流れる亜熱帯ジェット気流と寒帯前線ジェット気流が日本付近で南に蛇行するとともに、冬型の気圧配置が強まったことから、日本付近に強い寒気が流れ込むことが多かった(図表2-5-1)。

平成30年1月22日から23日にかけて、低気圧が本州の南海上を急速に発達しながら東北東に進んだため、首都圏を中心に広い範囲で大雪となり、東京都心の積雪量は最大で23センチを観測した。また、同年2月4日から、北日本から西日本にかけての日本海側を中心に断続的に雪が降り続き、福井県福井市では、昭和56年以来37年ぶりに積雪が140センチを超えるほどの大雪となり、北陸を中心に日本海側で記録的な大雪を観測した。北陸地方では、雪かき中の事故等により死者18名、重傷者103名の人的被害(消防庁情報、平成30年2月15日現在)を出し、農業用ハウスの倒壊等の物的被害も生じた。多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じていることから、福井県は同月6日に6市2町(同月13日に1市追加)、新潟県は同月14日に4市1町に災害救助法の適用を決定した。内閣府は、関係省庁災害警戒会議を随時開催し、情報を収集するとともに、各省庁に対し早急な対応を行うよう要請した。総務省は、今冬の大雪で被害にあった163市町村に対して、平成30年3月に交付予定であった特別交付税の一部(総額218.7億円)を2月26日に繰り上げて現金交付した。

図表2-5-1 平成30年冬の平均的な大気の流れに関する模式図
図表2-5-1 平成30年冬の平均的な大気の流れに関する模式図

国土交通省は、今冬の大雪を踏まえ、市町村道の除雪費の追加支援として、258市町村に国費約133億円の配分を実施した。また、補助国道と都道府県道については、27の道府県・政令市に対して、国費約180億円の配分を実施した。

首都高速道路では、平成30年1月22日からの大雪により約230キロメートルが通行止めとなり、全面通行再開までに4日間を要した。また、同年2月6日から福井県の県境付近の国道8号において最大約1,500台の車両が積雪により長時間立ち往生する事態が発生した。福井県知事からの災害派遣要請により、政府は人命救助のため自衛隊の災害派遣を行い、除雪車の応援、長時間滞留した車両への食糧等の配給等応急対策に努めた。同月24日には、大雪被害の状況及び現地の対応状況等を把握するため、小此木内閣府特命担当大臣(防災)を筆頭とする政府調査団を福井県に派遣し、往生現場等の視察や被災自治体の首長等と被害状況等の確認のための意見交換を行った。

国土交通省では、大雪に対する道路交通への被害を減らすための具体的な対策などを検討するため、平成30年2月下旬に「冬期道路交通確保対策検討委員会」を開催し、検討を行っている。

自衛隊による車両救出作業(国道8号あわら市牛ノ谷付近)
自衛隊による車両救出作業(国道8号あわら市牛ノ谷付近)
国道8号の熊坂除雪基地で説明を受ける小此木内閣府特命担当大臣(防災)
国道8号の熊坂除雪基地で説明を受ける小此木内閣府特命担当大臣(防災)
【コラム】
雪下ろしに注意~「雪おろシグナル」~

雪による人的被害の多くは、除雪作業中の事故によるものであり、死者状況の中で毎年半数以上を占めている。(平成29年度の大雪による人的被害の状況では、約9割となっている。)主に自宅など建物の屋根の雪下ろしや雪かき等の作業中に発生しており、高齢者の割合が高いことが特徴となっている。

平成29年度 大雪による人的被害の状況等における死者の内訳
平成29年度 大雪による人的被害の状況等における死者の内訳
一般向けパンフレット「除雪中の事故防止に向けた対策」
一般向けパンフレット「除雪中の事故防止に向けた対策」

過疎地では人手不足により、雪の重みによる家屋倒壊も起こっていることから、国立研究開発法人防災科学技術研究所は、新潟大学、京都大学と共同して積雪荷重計算システムを開発し、本システムを用いて推定される積雪重量分布情報を「雪おろシグナル」と命名、平成30年1月から新潟県ホームページで活用を開始している。

(参照:http://www.pref.niigata.lg.jp/kikitaisaku/1356885093295.html

「雪おろシグナル」は、積雪の高さだけではわからない積雪荷重による危険度や雪下ろしのタイミングを地図上の分布色により判断することが出来るため、家屋等の建造物の倒壊を防ぐための雪下ろし判断に活用できる。こうした情報を広く活用し、早めの積雪対策を心がけたい。

積雪荷重計算システム「雪おろシグナル」
積雪荷重計算システム「雪おろシグナル」

所在地 〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 電話番号 03-5253-2111(大代表)
内閣府政策統括官(防災担当)

Copyright 2017 Disaster Management, Cabinet Office.