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平成30年版 防災白書|第1部 第1章 第2節 2-4 噴火時等の政府対応と避難計画について


2-4 噴火時等の政府対応と避難計画について

平成29年度は複数の火山活動がみられた。このうち、草津白根山の本白根山鏡池付近において、平成30年1月23日に噴火が発生し、気象庁は噴火警戒レベルを1(活火山であることに留意)から3(入山規制)に引き上げた。この噴火により飛散した噴石により、草津国際スキー場において死者1名、重症3名、軽傷8名の人的被害が発生し、さらに、噴石の影響でロープウェイが停止し、81名が山頂駅に取り残された(消防庁情報、平成30年3月31日現在)。

この噴火を受け、各関係省庁は、防災ヘリコプターやドローン等により現地調査を行って情報を収集するとともに、現地県警、消防機関等が救援及び捜索活動を実施した。また、内閣府は国民への注意喚起を実施した。

今回のこの草津白根山の噴火は、近年活動が活発な白根山湯釜付近ではなく、有史以来噴火のなかった本白根山付近において、火山性地震や地殻変動に噴火の前兆と言えるような特段の火山活動に変化がないまま発生した。噴火直後から、草津白根山の観測体制を強化するため、気象庁や大学等関係機関において新たに監視カメラや地震計、空振計の設置を行った。これらの観測データは、気象庁における草津白根山の監視に活用されている。また、草津白根山では、草津白根山全体を対象とする噴火警戒レベルの運用を行ってきたところであるが、草津白根山防災会議協議会における気象庁や地元自治体等による協議の結果、同年3月16日から、草津白根山(本白根山)と草津白根山(白根山(湯釜付近))を対象とする噴火警戒レベルを運用することとなった。

気象庁においては、今回の噴火の特徴を踏まえ、火山の観測・監視における死角をなくす観点から、全国の火山観測体制の点検を行うこととした。具体的には、火山噴火予知連絡会において、50の常時観測火山を対象として(附属資料4(附-4)参照)、過去の噴火履歴の精査や監視カメラをはじめとする現在の観測体制の点検を行うとともに、今後の観測のあり方について検討を進めている。また、文部科学省においては、東京工業大学等の研究者に科学研究費助成事業(特別研究促進費)による助成を行い、「顕著な前駆的な活動がない水蒸気噴火プロセスの解明」「今後の火山活動の推移の予測」「融雪泥流発生リスクの評価」のための総合的な調査を進めている。

さらに、内閣府においては、御嶽山噴火災害(平成26年9月)の教訓等を踏まえ、平成27年に改正された「活動火山対策特別措置法」により、火山災害警戒地域として指定された地方公共団体(23都道県、140市町村)に対して地域防災計画に位置付けることなどが義務付けられた、噴火時等の避難計画の策定促進に取り組むなど、全国の火山の警戒体制の充実・強化を一層図ることとしている。具体的には、「噴火時等の具体的で実践的な避難計画策定の手引き」について、平成28年12月に、御嶽山噴火災害の教訓等を踏まえた改定を行い、迅速な情報提供や避難誘導など登山者、観光客対策を充実させるとともに、噴火警戒レベルがあらかじめ引き上げられる場合だけでなく、突発的に噴火する場合等も想定し、市町村、都道府県等、火山防災協議会の構成機関が取り組むべき対応事項について、活動主体を明確にして記載した。また、避難計画策定のノウハウをまとめた本手引きの解説資料の作成を進めている。

また、気象庁では、噴火警戒レベルが運用されている火山活動の状況等を把握し、噴火警戒レベルに応じた噴火警報等の提供を行っている(図表2-4-1)。噴火警戒レベルは、火山活動の状況に応じて警戒が必要な範囲と住民等がとるべき防災対応を5段階で区分し、平成30年3月31日現在において最も高い警戒レベルとして、霧島山(新燃岳)、桜島、口永良部島の3火山に噴火警戒レベル3(入山規制)を発表している。(参照:http://www.jma.go.jp/jp/volcano/

図表2-4-1 噴火警戒レベルが運用されている火山と警戒レベル
図表2-4-1 噴火警戒レベルが運用されている火山と警戒レベル
【コラム】
避難計画の手引きに基づく噴火時等の避難計画策定支援

警戒避難体制の整備を義務付けられた地方公共団体は、避難計画の手引きなどを参考に避難計画を検討するが、噴火を経験したことのある行政職員等はごく一部に限られ、また、噴火の規模や地域ごとの特性等は、火山により様々な違いがあるため、各地域が単体で避難計画の検討・作成を行うことは困難であることが多い。

そのため内閣府では、各火山地域が抱えている課題に対応する避難計画を内閣府と地方公共団体が協働して検討する取組を、平成28年度は17火山、平成29年度は12火山について行った。

登山道などの立入規制を行う基準、市街地など多数・広域にわたる避難対象住民を避難させる方法、インバウンドを含む多数の観光客の避難誘導の方法等の自治体職員が抱えている課題について、実際に内閣府職員が各火山地域に赴き、被害想定区域の現場を確認し、避難対象地区毎の避難経路や避難所の設定について、地図等を用いて具体的に検討を行った。

本取組によって、各火山地域における防災体制の着実な整備が期待される。

避難計画の手引きに基づく噴火時等の避難計画策定支援
避難計画の手引きに基づく噴火時等の避難計画策定支援

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