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平成30年版 防災白書|第1部 第1章 第1節 1-10 男女共同参画の視点からの取組


1-10 男女共同参画の視点からの取組

内閣府では、第4次男女共同参画基本計画(平成27年12月25日閣議決定)及び防災基本計画(平成28年2月16日中央防災会議決定)において、予防(平時)、応急、復旧・復興等のあらゆる局面において、男女のニーズの違いに配慮するとともに、防災・復興に係る意思決定の場への女性の参画を推進するよう求めている(図表1-10-1、図表1-10-2、図表1-10-3)。

また、東日本大震災等、過去の災害対応における経験を基に、男女共同参画の視点から必要な対策・対応について、地方公共団体が取り組む際の指針となる基本的な事項を「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針(平成25年)」としてとりまとめ、地方公共団体、関係機関・団体等と共有を図っている。東日本大震災においては、「女性用の物資が不足した」、「授乳や着替えをするための場所がなかった」など、物資の備蓄・提供や避難所の運営について十分な配慮がなされず、様々な問題が顕在化した。

本指針により、地方公共団体に対し、平常時から地方防災会議における女性委員の割合を高めることや地域防災計画の作成、修正に際し、男女共同参画の視点を反映する等の取組を働きかけてきたところであるが、熊本地震発災時には改めて、熊本県及び熊本市に対し、本指針に基づく男女共同参画の視点からの避難所運営等を中心とした対応を要請した。その後も県・市と連絡をとりながら、現地での取組状況の把握や必要な助言等を行っている。

図表1-10-1 地方防災会議の委員に占める女性の割合の推移について
図表1-10-1 地方防災会議の委員に占める女性の割合の推移について
図表1-10-2 都道府県における防災会議の委員に占める女性の割合
図表1-10-2 都道府県における防災会議の委員に占める女性の割合
図表1-10-3 第4次男女共同参画基本計画における都道府県防災会議及び市町村防災会議の成果目標
図表1-10-3 第4次男女共同参画基本計画における都道府県防災会議及び市町村防災会議の成果目標

我が国は、過去から地震や台風による水害等多くの自然災害により被害を受けているため、防災に関する取組などの蓄積は多いものの、平時からの社会参加・経済参加等の面においてジェンダーギャップが世界各国と比べて大きいことから、災害の局面で脆弱性が強調される恐れがある。東日本大震災以降、防災に関する政策・方針決定過程等における女性の参画や男女のニーズの違い等について配慮した取組が必要であることが一層認識され、「仙台防災枠組2015-2030」では、効果的な災害リスクの管理とジェンダーの視点に立った災害リスク削減のための政策、事業の立案等の実施においては重要な要素であるとされた。

このため、内閣府では、防災におけるジェンダー平等を目指すことにより、多様性のある地域の防災力向上となるか等を検証するため、平成29年5月から「ジェンダーと防災に関する有識者懇談会」を開催している。

ジェンダーと防災に関する有識者懇談会の様子
ジェンダーと防災に関する有識者懇談会の様子

同懇談会において、地域防災力における男女共同参画の実態や多様な主体が参画することによる地域防災力の向上等の諸課題について検討を行い、ジェンダー平等が実現された場合の防災の社会像についての方向性を提起し、どのような異なるニーズや被害があるか、また格差が解消されることによる地域防災力への影響等について、統計データやアンケート調査(図表1-10-4)などを活用し分析を行っている。

図表1-10-4 大地震に備えている対策(男女比)
図表1-10-4 大地震に備えている対策(男女比)
【コラム】
「女性の視点による防災ブック」

東京都は、女性の防災への参画を促すとともに、都民の一層きめ細やかな災害への備えを促進することを目的として、女性の視点から編集された防災ブック「東京くらし防災」を作成し、平成30年3月1日から図書館や郵便局、女性客が多い美容院など都内の市町村施設など約9,000ヶ所で無料配布を開始している。

平成27年(2015年)に都が都内全戸に配布した防災ブック「東京防災」に続く第2弾となり、女性6人の委員による検討委員会での意見を基に作成されている。内容は<1>日常から供えられる災害対策、<2>災害発生時の避難や安否確認の方法、<3>避難生活の工夫を主に構成され、都民が自然体で、日常生活の中で、無理なく取り組める防災対策や、避難所における授乳や防犯対策などの被災生活の様々な課題への対処法を掲載している。

防災対策については、被災者の視点に立って対策を推進していくことが重要である。災害時には、避難所における着替えや授乳場所の確保等、「女性の視点」が重要とされる場面も多い。東京都では、地域や企業で防災活動の核となって活躍できる女性防災人材を今後育成していく方針を決めた。女性の視点を反映することができるリーダーを育成し、防災活動を担う女性の人材を育成するカリキュラムを検討することを目的に、平成29年5月から「女性の視点からみる防災人材の育成検討会議」を開催している。平成29年度は基礎編の「防災ウーマンセミナー」と応用編の「防災コーディネーター育成研修会」も実施している。

「女性の視点による防災ブック」
「女性の視点による防災ブック」

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内閣府政策統括官(防災担当)

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