1-9 学術界の取組
我が国では、地震、津波、火山、気象等の自然現象、土木、建築、耐震等の構造物、救急医療、環境衛生等の医療・衛生、経済、地理、歴史等の人々の営み、情報、エネルギー等様々な領域において、防災についての研究活動が行われている。東日本大震災を受け、これらの分野の総合的で複合的な視点からの防災・減災研究が不可欠であり、専門分野の枠を超えた異なる分野との情報共有や交流を進め、学際連携を行うことの必要性が認識された。このため、日本学術会議や関係する学会等での議論を経て、防災減災・災害復興に関わる学会のネットワークとして、平成28年1月に47の学会が連携した「防災学術連携体」が発足した。平成30年3月末現在、56学会が同連携体に参加している。
同連携体は、「仙台防災枠組2015-2030」の4つの優先行動の着実な実施に向けた更なる具体的行動を策定するため、平成29年11月23日~25日に「持続可能な社会のための科学と技術に関する国際会議-災害レジリエンス構築のための科学・技術国際フォーラム2017-」を開催し、その成果を「東京宣言」としてとりまとめた。また、同年12月20日には、日本学術会議との共催により「2017年九州北部豪雨と今後の対策」の公開シンポジウムを開催し、多くの学会が発災以降、現地調査や研究に取り組んだ成果を広く発信した。
同連携体は、情報の共有・発信における連携が主体となっているが、参加学会が相互に調査・研究を行うなどの展開により、防災の実質的な効果をより高めていくことを目指している。