平成30年版 防災白書|第1部 第1章 第1節 1-4 津波防災に関する取組


1-4 津波防災に関する取組

津波の発生に対しては、迅速かつ適切な行動をとることで人命に対する被害を相当程度軽減することができる。11月5日の「津波防災の日」については、平成27年12月の国連総会において、同日が「世界津波の日」として制定されたことを受けて改正された「津波対策の推進に関する法律」も踏まえ、内閣府や関係省庁、地方公共団体、民間企業等において、同日に関連した防災意識向上に資する取組を各地で行っている。

(1)津波避難訓練

平成29年度は、全国各地で、国(14府省庁)、地方公共団体(155団体)、民間企業等(93団体)の主催する地震・津波防災訓練が実施され、約80万人が参加した。

そのうち、内閣府では、地方公共団体と連携し、住民参加型の訓練を全国9箇所(北海道厚真町、秋田県秋田市、千葉県富津市、東京都八丈町、愛知県武豊町、大阪府泉佐野市、福岡県行橋市、鹿児島県志布志市及び沖縄県うるま市)で開催した。これらの訓練には、計約4万4千人の市民が参加し、地震発生時に我が身を守る訓練(シェイクアウト訓練)及び揺れが収まった後に最寄りの避難場所等へ避難する訓練(避難訓練)を行った。また、地域によっては、避難所開設、災害対策本部設置、炊き出し、応急救護といった各種訓練等も併せて実施された。

避難所開設訓練(秋田県秋田市)
避難所開設訓練(秋田県秋田市)
要配慮者の避難誘導訓練(大阪府泉佐野市)
要配慮者の避難誘導訓練(大阪府泉佐野市)
我が身を守る訓練(鹿児島県志布志市)
我が身を守る訓練(鹿児島県志布志市)
小学生による津波避難訓練(沖縄県うるま市)
小学生による津波避難訓練(沖縄県うるま市)
(2)普及啓発活動

<1>「津波防災の日」「世界津波の日」の普及啓発活動

全国の企業、地方公共団体等における啓発ポスターの掲示、大手コンビニエンスストア・スーパーのお客さま向けレジ・ディスプレイにおける表示など、「津波」に対する適切な避難行動の認識が多くの方々に広がるよう、普及啓発を行った。

平成29年度啓発ポスター
平成29年度啓発ポスター
平成29年度津波防災啓発用イメージ
平成29年度津波防災啓発用イメージ

<2>平成29年度「津波防災の日」啓発イベントの実施

毎年11月5日の「津波防災の日」には、内閣府、防災推進国民会議及び防災推進協議会は、津波防災の普及啓発イベントを開催している。平成29年度は、東京大学本郷キャンパスの伊藤謝恩ホールで、津波やその対策に関する科学的知見に基づいた理解を深めるための啓発イベントを実施した。このイベントは、「津波防災スペシャルゼミin本郷~津波について学ぼう~」と題し、津波防災を専門とする講師の方々から、津波発生の基本的な仕組み、災害に強い地域づくり、被災からのよりよい復興(ビルド・バック・ベター)について講義が行われたほか、津波災害の被災地域における学生グループや、津波防災を研究する学生グループなどにより、地域に住む一人一人が協力して地域防災力を高める方策などについての研究発表が行われた。講演や研究発表を通じて、平時から一人一人が災害に備える自助、地域社会において助け合う共助の大切さが参加者と共有された。

学生グループによる研究発表の様子
学生グループによる研究発表の様子
【コラム】
「世界津波の日」2017高校生島サミットin沖縄

平成29年11月7日から二日間にわたり、沖縄県宜野湾市において「世界津波の日」2017高校生島サミットin沖縄が開催された。本サミットは、平成28年度の高知県黒潮町での開催に続き、第2回目となる。

サミットには、日本を含む世界26ヶ国、255名の高校生が参加し、「『みんなを守りたい』津波の脅威を知り、備え、いま自分ができること。~万国津梁の島から発信する『ゆいまーるの心』~」というテーマの下、「過去の事例と得られた教訓を学ぶ」、「災害に備える」、「発災直後の対応」の3つの分野別に各国の取組みが発表され、意見交換が行われた。また、高台への津波避難訓練などを通じ、参加高校生達の自然災害や防災・減災に関する知識を深めていった。

こうした国を越えた活発な議論の下、昨年高知県黒潮町で開催された第1回高校生サミットで採択された「黒潮宣言」を踏まえ、本サミットに参加した高校生が自国地域で実践するための行動計画が「若き津波防災大使ノート」として採択された。この宣言では、「私たちの大切な人、そして地域の人の命を守りたい。」という万国共通の願いを込め、津波の脅威を知り、備え、いま自分たちができることを実践していく決意が述べられている。本サミットに参加した高校生にとって、様々な国や地域の方と触れ合い、防災・減災の取組みを共有できたことは国際的視野を広げるための貴重な経験になったと思われる。将来、それぞれの国において、参加生徒達が「若き津波防災大使」(防災リーダー)として、災害に強く強靱な国づくりに向けて活躍するとともに、国や地域を超えたネットワークを構築していくことが期待される。

「世界津波の日」2017高校生島サミットin沖縄の様子
「世界津波の日」2017高校生島サミットin沖縄の様子

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