2-2 自然災害への影響
上述のとおり、地球温暖化が進行し、気温が上昇することで、大気中に含まれる水蒸気量が増加することから、降水強度が増加すると予測されている。
洪水を起こしうる大雨事象が日本の代表的な河川流域において今世紀末には現在に比べ有意に増加し、同じ頻度の降水量が1~3割のオーダーで増加することについて、多くの文献で見解が一致している。
強い台風の発生数、台風の最大強度、最大強度時の降水強度は現在と比較して増加する傾向があると予測されている。なお、長期的には西太平洋域における台風の発生数は多少減少する。
このように降水強度が増すことで、現在、たとえば「300年に1度」の頻度で発生する豪雨が、「100年に1度」の頻度で発生するようになるなど、これまでの想定に比べて高頻度化することが予測されている。
また、沿岸部(海岸)において、現時点においても強い台風の増加等を踏まえた高潮等の浸水による背後地の被害や海岸侵食の増加が懸念されている中、気候変動に伴う強い台風の増加等による高潮偏差の増大、波浪の強大化及び中長期的な海面水位の上昇により、さらに深刻な影響が懸念される。
このほか、短時間強雨や大雨の増加に伴う土砂災害の発生頻度の増加、突発的で局所的な大雨に伴う警戒避難のためのリードタイムが短い土砂災害の増加、台風等による記録的な大雨に伴う深層崩壊等の増加が懸念される。